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女商人アリアは、置き去りにした外道勇者に復讐を誓う!  作者: 冬華
第3章 女商人は、悪総督を懲らしめる

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第89話 女商人は、帰国の途に就く

「さて、たんまり稼いだことだし、帰りましょうか!!」


「……ははは、目的変わってない?」


 レオナルドは思わず突っ込んだ。すると、アリアは「そうだったわね」と答えて大笑いする。


 クリスとカジノに行ってから1週間。あの100万Gのウェディングドレスを始め、欲しい物は粗方買い尽くしたというのに、まだ部屋には金貨が入った箱が山積みのままになっている。


「でも、シーロの用事も済んだでしょ。お金に余裕はできたから滞在費は気にしなくてもよくなったけど、ほら、町の建設工事も進められていることだし……」


 アリアはそう言ってレオナルドに説明する。帰ったら帰ったで、やることはあるのだ。


「でも……」


「ん?どうしたの?」


 なにか、気になることがあるのか、レオナルドは素直に「うん」と頷かない。


「まだ用事が残ってたかしら?」


「あ……いや、ほら。アリアのお母さんからの手紙が届くかもしれないじゃないか」


「そんな帰って来るかわからない手紙を待つわけにはいかないでしょ。それに、フランシスコさんに頼んでおくから問題ないわよ」


 アリアはバッサリとレオナルドの主張を切り捨てた。しかし、それでもレオナルドは奥歯にものが挟まったような態度をする。アリアはイラっとした。


「さっきから、何なのよ!!もしかして、愛人でも作ったの?それなら、許さないんだけど!!」


「いや……そういうわけでは……」


「だったら、帰るわよ。いいわね!!」


「……はい」


ついにレオナルドは白旗を上げた。こうして、アリアたちの帰国が決まった。





「おい……おまえは見たか?」


「え……なにをだ?」


「お姫様だよ」


「は?」


「ポトスにお姫様が居たんだよ」


 フランシスコとレベッカに帰国の挨拶を行った後、ポトスを離れてオランジバークへ向かう道すがらで、兵士たちが囁き合っている声が聞こえてきた。


「おまえ馬鹿だな。ポトスは植民地だぞ。なんで、お姫様が居たりするんだよ」


「そうだよ。どこかの金持ちのお嬢さんをそう思っただけじゃないのか?」


 そう言っている連中は、その場面に居合わせていなかった者たちだろう。耳にしたアリアもそう思った。しかし……。


「ああ、それなら俺も見たわ。確かに、ただの金持ちのお嬢さんとは思えない気品があったよな?シーロ」


「ええ……。それに、馬車にはなにやら『紋章』のようなものもありましたし、あながち間違ってはいないでしょうね」


 兵士たちの会話はレオナルドとシーロにも聞こえたようで、二人も馬上から会話に参加した。


 ちなみに、シーロが見た『紋章』というのは、馬車をそれらしく見せるための飾りにしか過ぎなかったが、日頃からの彼の博識を知っているだけに、誰もその主張を疑う者は誰もいなかった。


(へぇ……お姫様が来てたんだ。見てみたかったな……)


 共和制が敷かれているルクレティアでは、王子様とかお姫様とかは存在しない。ゆえに、アリアも同じように思った。


「すると、レオナルドさんはご覧になられたんですね?どうでした」


「そりゃ……とびっきりの美人だったなぁ。しかも、俺にいきなり手を振ってくれたんだぜ。あれは絶対、俺にホレたぞ?どうしよう……俺には婚約者がいるって言うのによ?ははは!!!」


 得意げに語るレオナルド。一瞬、アリアはイラっとするが……


(あれ……?この話って……)


 不意にカジノ店に向かう途中にすれ違ったことを思い出した。


「ねえ、シーロ。そのお姫様って、いつ、どこであったの?」


「あ……。ええとですね、7日前に造船所から帰る途中の南三番街の通りで……」


(それって、わたしのことじゃん!!)


 アリアは、真実に行き当たった。


 しかし、レオナルドの独演会は止まることなく続いていた。


「きっと、今頃、執事のじいやが俺を探しているはずだぜ。ああ……俺は何という罪作りなことを……」


 兵士たちから羨望の眼差しを向けられて、気持ちよく語る。そのとき、シーロが何かに気づき、青ざめた顔で囁いた。


「……レオナルドさん。横……見た方がいいですよ?」


「あぁん?あ……」


 シーロの忠告に、何だろうと言われるままに横を振り向くと、そこには顔を赤く染めたアリアが笑っていた。


「ア…アリア……?」


「そうなんだ。そんなにそのお姫様。レオの好みだったんだ」


 いつもと違って、怒っていない。しかし、それが不気味さを一層引き立て、レオナルドは恐怖を覚える。


「いや……決してそのようなことは……」


 取り合えず、言い訳を試みるが……


「ああ、なるほど。それで、その執事さんが来るかもしれないから、帰国しようと言ったら躊躇ったわけね?フフフ……」


 胸の内を言い当てられて、レオナルドはギクッとした。そんなレオナルドに、アリアは問いかけた。


「じゃあ、聞くけど、そのお姫様とわたし、どちらがきれい?」


「え……」


 そんなの比べるまでもないと思いながら、正直に言えないレオナルド。額から汗が流れ落ちる。


 しかし、それを見て何故か満足そうに笑うアリア。


(よし!!今夜、あのお姫様ルックで驚かしてやろう!!)


 そう心に決めて、張り切って先を急ぐのだった。

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