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女商人アリアは、置き去りにした外道勇者に復讐を誓う!  作者: 冬華
第2章 女商人は、独裁者を破滅に導く

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第66話 女商人は、ポトス訪問を決断する

「……すると、その盗賊のうち、500名を預けていただけると?」


「ええ。わたしの復讐成就のためにも、新しい町の発展のためにも、船の建造は必要だからね。シーロにはその先頭に立って働いてもらいたいと思ってるわ」


「……あくまでも、『勇者への復讐』が優先されるのですね……」


 シーロが半ば呆れた表情を見せるが、アリアは堂々と胸を張って「あたりまえよ」と答えた。


「……まあ、それならそれでも構わないのですが、従魔石の精製はともかく、船の建造について誰か詳しい人はいるのですか?」


「えっ?そこはシーロがいつものように百科事典を見て、パパっとするんじゃ?」


「……アリアさん。いくらなんでも、それは無茶振りかと」


 シーロが言うには、船の建造に関する内容は百科事典にも記載されているが、それだけではわからない所が色々あるという。


「実際に作っている現場を見ればわかるだろうというレベルなので、一か八かでいいなら作ることはできますが、それでは人命を危険にさらしてしまいますので……」


 以前アリアに言われた言葉をかみしめながら、シーロはそう告げた。


「……船を作ってるところねぇ」


 アリアは考えるが、そんなことをしているのはポトスくらいしか思い浮かばなかった。


(ん?ポトス?)


 ポトスに行くには、盗賊団の勢力圏を横切らなければならなかったため、これまでなら海路しか選択肢はなかった。しかし、盗賊団は先頃こちら側に降伏した。


「行ける……。ポトスに行けるわ!!」


 突然何を言い出すのかと呆れるシーロの手を取り、アリアは飛び跳ねて喜んだ。


 つまり、盗賊団が降伏した今、陸路においてポトスとの往来を妨げる存在はなく、いつでも行こうと思えば行けるようになったのだ。


(ポトスまで行ければ、ルクレティアにも帰れる)


 今はまだ帰るつもりはないが、直行便が出ていたはずだ。そう思えば、故郷はグーンと近く感じる。ポトスまで陸路を馬で約10日。そこから1週間ほど船に乗れば、辿り着くことができるのだ。


 アリアの気持ちは高揚した。


「……アリアさん。ねえ、アリアさん?」


「あっ!ごめんなさい!!」


 ひとり自分の世界に入って、目の前のシーロのことを忘れていたことに恥ずかしくなり、アリアは謝った。


「……だいたい、わかりましたよ。つまり、陸路でポトスに行って、造船所を見学させてもらえばいいのですね」


 シーロも盗賊団の降伏のことに思い至ったのだろう。アリアの言いたいことを正しく理解していた。


「ただ、そうなると、どうやって見せてもらうのか、という問題はありますね?」


「……というと?」


「ポトスの造船所では軍艦も作っているのでしょう?そんな場所って、なんのコネクションもなしでは見せてもらえないのでは?」


 シーロの言葉にアリアは唸った。解決したと思ったら、振出しに戻ったのだ。


「そういうことなら、俺に任せてもらえるかな?」


「レオ?いつ帰ったの?ディーノさんといっしょに盗賊団のアジトに行っていたんじゃ?」


 そう言いながら、答えに思い当たる。どうやら、また【転移魔法】を使ったようだと。


 しかし、シーロがいるこの場でそのことを言うわけにはいかない。レオナルドが屈指の魔法使いであることは、目撃したヤンたちネポムク族の上層部を除いて、この村ではアリアしか知らないことなのだ。


「……それで、いきなりやってきて『任せろ』という根拠は?」


「な~に。以前うちに出入りしていたブラスって商人に少しばかり伝手があるから、話を聞いてくれるんじゃないかって思ったわけさ」


「……ブラス?……ポトスの商人?……あっ!!」


 アリアは声を上げて、すぐ手で押さえてごまかした。だが、確かにその商人なら、話を無碍に断ることはできないはずだ。ただ……。


(レオに任せると、やりすぎるのよね……)


 ヤンから届いた顛末書に書かれた内容を思い出し、アリアはそう思った。


(だったら……)


「……それじゃあ、わたしも行こうかしら?」


「「えっ!?」」


「だって、ポトスまで行けば、母に手紙を送ることができるわ。うん、そうしましょ」


 ……正直に、レオナルドのストッパー役として行くとは言えず、アリアはそう言ってごまかすのだった。

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