表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女商人アリアは、置き去りにした外道勇者に復讐を誓う!  作者: 冬華
第2章 女商人は、独裁者を破滅に導く

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/495

第40話 女商人は、利益よりも安全第一を説く

 アリアがラモン族の村から帰って来てから2週間。すでに11月に入り、翌月に結婚式を控えるアリアの周りは慌ただしくなった。


「アリアさん、動かないで」


「は……はい……」


「ホント、細いわね。うらやましいわ」


 ドレスの採寸のため、前村長の夫人であるマチルダの家をレオナルド共に訪れたアリアは、着せ替え人形のようにされるがままになっていた。


(あれ?わたし、旦那さんの仇なんじゃ……)


 実の娘のように接してくれるマチルダ夫人に、はじめて会ったときアリアは戸惑いを覚えたが、レオナルド曰く、「この開拓地で、いつまでもそんなことにこだわっていては生きていけない」らしい。


 事実、他の処刑された人たちの奥さんもその大半がすでに再婚しており、マチルダ夫人がこうして隔意なく自分に接してくれているのは、夫人なりに折り合いをつけているということなのだろうと、アリアは理解している。


「でも、ホント残念ね。ポトスから船が来れば、向こうの様式にあったウエディングドレスも手に入ったのに……最近来なくなったから」


 マチルダ夫人は、「こちらの部族衣装もきれいだけどね」といいつつも、残念そうに言った。


 もっとも、本来であれば、先月までには来ていたはずのポトスの交易船が、まだ来ていない原因は自分たちがやった政変劇にあるため、アリアは苦笑いを浮かべるしかなかったのだが。


「はい、いいわよ。それじゃ、この寸法で衣装係に回しておくから。ところで、今日はゆっくりしていけるの?できたら、お茶でもどうかなって」


 そういって、マチルダ夫人はアリアを誘ってくれたが、残念なことにこのあとの予定は詰まっている。


 アリアは、丁重にお断りし、その代わりとして、「今晩の夕食はレオナルドと共にご一緒させてください」と伝えた。





「……やはり、ティーロ族産の物だと、完全に……とはいかないのね」


「はい。一応は錬成することはできたのですが、耐久性に問題があります。これを使った場合、うまくいく日もあれば、いかない日も出てくるでしょう」


「うまくいかない日に当たれば……みんな死んじゃうわね」


 マチルダ夫人の家を後にした後、シーロの研究室を訪れたアリアであったが、研究の成果が芳しくないことを知り、ため息をついた。彼にはすでにジャラール族からの入手はできないと伝えている。


「しかし、1度でもポトスに辿り着くことができれば、【従魔石】は自作しなくても購入することができます。ここは、多少の犠牲を払ってでも、その1回を目指されては……」


「命は失ったらおしまいでしょ!?軽々しく『多少』だなんて言わないで!!」


 アリアはシーロを叱責した。しかし、シーロはどうも納得していない。


「シーロ……。言いたいことがあるなら、今吐き出しなさい。何を言われても、怒らないから」


 このままでは、アリアの知らない所で強行しかねないと思い、そう言った。すると、シーロは息を一つはいて、話し出した。


「……アリアさんの言われていることは、もちろんわかっているつもりです。でも、僕はこうも思うのです。これからアリアさんの進む道に、犠牲者は全く出ないなんてことはあり得ないと。それならば、そこに血が数滴加わったとしても、誤差の範囲ではないかと」


「シーロ……」


「いや、わかっています。その『誤差』の中にも、人生があり、それぞれ大切にしているものがあることは。そして、自分が安全圏にいるからこそ、そんなひどいことを言えるということも……」


 そこまで言って、シーロは口を閉ざした。心の内を吐き出しきったようで、先程と比べて表情が柔らかになった。もう大丈夫だと判断し、アリアは宣告した。


「とにかく、別の方法を考えるわ。この件については、一先ずここまでにしましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ