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女商人アリアは、置き去りにした外道勇者に復讐を誓う!  作者: 冬華
第2章 女商人は、独裁者を破滅に導く

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第38話 女商人は、懺悔する

「……では、迷える子羊よ、入りなさい……って、アリアさんじゃないっスか!?こんな所にどうしたんスか?」


 ここは、オランジバークに設けられた教会の懺悔室。窓越しに座るアリアの姿を確認した神父姿のボンが驚きのあまり、素で返してしまった。


「……ボン?わたしがここに座るのがそんなにおかしいかしら?」


 少しイラっとして、アリアが言い返すと、ボンは慌てて額を机に擦り付けて謝る。


「どうか、どうかお許しを!!女装刑だけは……それだけはご勘弁くださいませ!!」


 ……これでは、どちらが懺悔する側なのかわからない。アリアは、ため息を吐いた。


「……あなたがわたしをどう見ているのか、よーくわかったわ。……今日、わたしは自分のそういうところを懺悔しに来たんだけど、話を聞いてくれる?」


 素直なアリアに驚きつつも、ボンは頷いた。





「気にしなくてもいいと思いますわよ。誰しも完璧な人間なんていませんから。王様でも、教皇様でも同じようなことで、くよくよなされて、懺悔されてますし」


 悩んでいること全てを吐き出したアリアに、イザベラがそう答えた。しかし、アリアの気持ちは晴れない。すると、そのことに気づいたのか、イザベラは「ただ……」と付け足して、もう少し話を続ける。


「要は、失敗をどのように生かすかが、人生にとって重要なのではないでしょうか?例えば、今、アリアさんはレオナルドさんやシーロさんにやり過ぎたと思ってらっしゃいますよね?」


「ええ。それは……」


「で、あれば、例えば、わたしがここでレオナルドさんと抱き合っていたとします。どうされますか?」


「問答無用で、ぶっ飛ばす!!」


 鼻息荒く言い放ったアリアを見て、どこが反省しているのかとボンは問い詰めたいと思ったが、イザベラの優しい笑顔を見て黙り込む。


「……あなたに、神の御加護を。ボンさん、次の方、お通ししましょうか?」


「待って!!見捨てないで!!」


 その言葉に、容赦なく見捨てられたと悟ったアリアはイザベラに縋った。


「では、まじめに答えましょうか。……その場合は、今後どうされますか?」


「えぇーと……殴る前に、話を聞くことにします?」


「疑問形なのが気になりますが……話を聞いて、どうされますか?やっぱり、殴りますか?」


「殴る……かな?浮気されたら、腹立つし……」


 アリアは素直に答えた。すると、イザベラは「そこです」と言った。


「腹が立ったとき、冷静に考えられませんよね?そんなときは、一旦どうするか保留にして、落ち着いた後で考える、あるいは人に相談されて判断すればよいのではないでしょうか。失った後では、取り返すことができない物も世の中にはありますからね」


 この言葉に、アリアは妙なことではあるが、それまで頭の中でグルグルと渦巻いていたものが消えていくような気がした。そして、気がついた。あの夜、レオナルドに謝られたとき、何に思い当たり焦ったのかということを。


 それは、『もし、レオナルドが謝らなければ、婚約は高い確率で解消されていた』ということだ。


 もちろん、アリアにそんなつもりはなかった。だが、頭に血が上り、気がつかないままその方向に話を持っていってしまったのだ。イザベラの言う通り、即断しなければ他の選択肢があったことに思い当たり、アリアは同じ過ちを繰り返さないことを肝に銘じた。


「ありがとう……」


 そうアリアが告げると、イザベラも「どういたしまして」と返してくれた。二人は笑った。


「ところで……」


 帰り際、教会の扉の前でアリアはふと思いつき、こう尋ねた。


「もし、ボンがこの教会でわたしと抱き合っていたら、イザベラさんならどうしますか」と。


 すると、イザベラは笑顔のままで……


「もちろん、ギタンギタンのボッコボコにして、悪さできないように【あれ】もちょん切って神に捧げますわ」


 ……と穏やかではあるが、豪快に言い放った。


 「わたしより、苛烈じゃないの!!」と思いつつも、口に出さずにアリアは教会を後にした。後には真っ青な顔をしたボンを残して。

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