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女商人アリアは、置き去りにした外道勇者に復讐を誓う!  作者: 冬華
第1章 女商人は、人攫い村長に復讐する

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第21話 女商人は、絶体絶命の危機を迎える

「アリアさん!逃げて!!ぐわぁ!!」


「姐さん……早く……うっ!!」


 マルスとシーロがアリアを逃がそうと男に立ち向かうが、一瞬で倒され地に臥せる。


「マルス!?シーロ!?」


 アリアは二人の元に向かおうとする。しかし、ボンがそれを許さず、彼女を外へと連れて行こうとする。


「離して、ボン!!マルスとシーロが死んじゃう!!」


「ダメっスよ!!今は逃げないと!!マルスとシーロを無駄死にするんスか?」


 アリアはボンの言っていることが理解できなかった。いや、したくなかった。彼らは大切な仲間なのだ。それを見捨てて行くことなどできるはずはなかった。


「!!」


「おや、残念。実は逃げ道なんてなかったのよ」


 坑道に入り口を塞ぐように武装した兵士たちが槍をこちらに向けてそこには並んで立っていた。それでも、道を開けようとボンが突進していく。


「アリアさんは、とにかく逃げて!!」


「ボン!?待って!!」


 しかし、ボンは止まらない。彼は槍を振るい兵士たちと交戦した。が、やはり多勢に無勢。なすすべもなく、槍に貫かれて地に臥した。


「ボンっ!!!!」


 アリアは悲痛な声で叫んだ。しかも、彼の決死の突撃にもかかわらず、アリアの退路は切り開かれなかった。


「これでわかったかな?あなたには救いの手が差し出されることはないことを」


 地の底から聞こえてくるような声。アリアは振り返り、せめてもの抵抗と回し蹴りをかます。……が、難なく男に防がれて、逆に投げ飛ばされる。


「いててて……」


 激しく地面に打ちつけられて、アリアはその痛みですぐに立ち上がることはできなかった。


「さあ、これから楽しもうか?あのシスターも中々よかったけど、俺はどちらかといえば、アンタの方が好みだ」


 男は手をいやらしく動かしながら、そんなアリアを見てこれ幸いにゆっくりと近づいてくる。


「こ…こないで……」


 後ろに下がろうとするも、打ち所が悪かったのか、それとも恐怖からなのか、体が思うように動かない。すると、男はアリアの胸元を掴むと、一気にそれを引き裂いた。


「きゃあ!!」


 シャツが引き裂かれ、むき出しになった白い下着。それをアリアは右腕で必死に隠そうとするが、男は難なく払いのけて、今度は下着をはぎ取ろうと手を伸ばす。


(誰か……助けて……)


 アリアは、これからわが身に降りかかる悪夢を想像し、神様か、それとも違う何かに祈った。そのとき、願いが届いたのか、異変が起こった。


「なんだ!?ぐわっ!!」


「えっ……なんで!?ガハっ!!」


 坑道の入り口で兵士たちが次々と叫び声をあげる。今にもアリアを犯そうとしていた男も、その騒動は無視できなかったようで、下着をはぎ取ることを中断して振り返る。


「なんで、おまえが……!?」


 その登場に男はまったく予期していなかったようで、驚きの声を上げる。しかし、直後に無数の風の矢が男と兵士たちに降り注ぎ、問答無用で突き刺さっていく。


「サンタナ……言ったよな?俺の女に手を出したら殺すって」


 すでに物言わぬ屍となっていた男に吐き捨てると、「いつまでアリアに乗っかってんだ」と無慈悲に蹴り飛ばす。サンタナと呼ばれた男は、ぬかるんだ土にキスするように崩れ落ちた。


「レ…レオ……」


「大丈夫か?アリア」


 感情が欠落したように呆然としているアリアを見て、レオナルドはやさしく手を差し伸べた。しかし、アリアはその手を掴まずに、抱き付いた。


「ちょっ…ちょっと……アリアさん?」


「レオぉ…レオぉ……こわかったよぉ……」


 危機を脱出できた安堵がもたらしたのか、いつもの強気な彼女と想像もつかない弱弱しい姿で泣き続けるアリア。レオナルドは何も言わず、ただあやすようにやさしく抱きしめ続けたのだった。それが今自分にできる唯一の事だと思って。

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