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一般人  作者: かねぴ
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第3章:仲間(3-2-2)

3-2-2 ”予祝”


横を向くと、先ほどマホの紹介で挨拶を交わした初老の男性が会釈している。


「よろしくお願いします。さっきはありがとうございました。」

「あぁ!先ほどはどうも!そうしたら改めて僕から始めて大丈夫でしょうか?」

「ぜひ!」


「僕は今サラリーマンを勤めてかれこれ20年以上経つんですが、働き方に疑問を感じて、知人の紹介を通じて参加しています。今はバーを開業する為の資金を貯めておりまして、3年以内にサラリーマンを辞め、バーをオープンさせて、5年後には3店舗まで拡大するのが目標です。」


「うわ〜。素敵な夢をお持ちなんですねぇ。」


悠介は自分よりも一回り以上、年上の方でも夢を諦めず邁進する姿に感嘆した。


自分はこの男性のような明確な目標はなく、ただただ漠然と「何者」かになりたくて、卓に憧れ今この席に座っていることに気付いたが、自分なりの言葉で表現してみることにした。


「僕は今販売員をしているんですが、ただ過ぎ去る日々に焦りを感じていまして。そうですね、まずは半年以内に転職して、3年以内にTOEIC900点以上をとって、年収500万円を目指します。そうして資金を貯めたら5年後には独立して、ビジネスオーナーになれるようにしたいです!」


「...お若いのに志が高くて素晴らしいですねぇ。なんかちょっと感動しちゃいましたよ。そうだ、今度ローマさんの”予祝”しましょうか!」


「よしゅく...?」

「まだ知りませんでしたか!目標達成を先に祝うんです。言霊みたいなものです!」


(...別に嫌な気持ちはしないけど、なんかちょっと独特な雰囲気だな...。)


悠介はこの男性から激励の言葉をもらうことにより、人とは違う道を進み始めた自分が認められたような気がして、少し照れくさいような奇妙な感情に包まれていた。


「はーい皆さん!目標を口にすることができましたか〜?」


気付くと10分間が経過し、さーやんと名乗っていた女性が再び壇上に立っていた。


「それではここでお待ちかね、卓さんに登場していただきましょ〜う!」


会場からは、けたたましいビートを刻む大音量のBGMとともに、割れんばかりの拍手が沸き起こり、PCを小脇に抱えた卓が小走りで壇上へ向かっていった。


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