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2 惹かれ合う二人、キャなの~





※肥料の話があります。お食事前の方には不快感を与えるかもしれません。

 ☆☆☆貴族学園数学科控室



「メアリー先生!私は男爵家ですが実は金があります。上の階級の優しくて美しい令嬢と結ばれたいです」


 メアリーは、知恵が湧き出る泉ではないよ。いたいけな9歳の幼女だ。

 何、こんな欲望ギンギンの相談をするのか?


 こいつは小太りで黒がかった金髪に、お顔は・・ゴホン!


 まあ、仕方ない。


「そう思っているうちは無理なの~!勉強を頑張るの~!」


「そんな。勉強は苦手だから聞いているのですよ!」



 カチン!ときた。



「なら、金で作った靴を履いて、令嬢の前を歩いて、脱いで靴下で歩くの~!『あっ、靴落としちゃった。テへ』と言ってお笑いをとるの~!」


「そんな。出来ません」

「帰るの~!ベッキー塩をまくの~!」

「はい、メアリー様」


 平成の大学生のノリか?

 貴族学園は15歳から18歳、日本の高校に相当する。思春期まっさかりだな。



「あの、メアリー先生に相談があって参りましたわ」


 またか。今度は女、勉強の相談だったら良いな。


「実は伯爵家ですが貧乏です。侯爵家以上、第2子でイケメン高身長、私を溺愛してくれて王宮の役職に付いている婚約者が欲しいのです。お知恵を貸して下さい」



 ねーよ。スパダリみたいな男はいねえよ。とは言わないが、そう言っている女にスパダリは来ないのだよ。



「無理なの~!勉強やマナーを頑張れば可能性はあるの~!」


「そんなー頑張るのが苦手だから相談しているのですわ」



 髪は薄い橙色、目は黄色か。顎に肉がついている。一言で言えば、ピンクブロンドもどきだ。

 いや、ピンクブロンドだって自分でアプローチをしたではないか?



「なら、笑いがある家門には福が来るの~!これを持って、金の靴を履いている男の頭を叩いて『何でやねん!』と言うの~!」


「何ですか?これ」


「ハリセンなの~!」


 予備のハリセンをこの令嬢にあげた。


 ハリセン、使用した反故紙で作った。この世界には植物紙がある。

 そうか、だから識字率を上げて文書行政をしようと女王陛下は思っていたのか?



 私はハリセンを持って学園内を見回りに行くようになった。


「ベッキー行くの~」

「はい、見回りですね」



 ・・・・・・・・



 学園内を巡回する。すると、ミレーヌの派閥の令嬢が勧誘をしてやがる。

 3人で1人を誘うやり方だ。


「ねえ、貴女、新入生ですわよね。ミレーヌ様のお茶会に来ない?」

「お姉様、申し訳ございません。私は中部の派閥ですので」

「大丈夫よ。派閥は関係ないわ。ミレーヌ様の素晴らしさを紹介するだけだわ」



 段々、巧妙化している。

 何も私がイザベラ様に有利になるからやっているわけではない。


 保護者からクレームが来たからだ。

 派閥は通常、子供は親の派閥に入る。

 親と子供の派閥が違ったら、いろいろめんどい事になるのだ。


 だから、ハリセンでミレーヌ派の令嬢を叩く。





 パチン!パチン!パチン!


「何しているねんなの~!折伏かなの~?」


「シャクブク?」

「ヒィ、暴走幼女メアリー!退散よ!」

「「はい」」


 勧誘された令嬢は新入生か?丁寧にお礼を言ってくれた。


「有難うございました」


「いいの。メアリーは用事があるから行くの~」



「ふう、講堂に行くの~」

「はいなのです」



 午後から学会がある。希望する生徒は視聴出来る。今日は私の発表の日だ。

 お、イザベラお義姉様がいた。


「メアリーちゃん。発表を楽しみにしていますわ」

「はいなの~」


「やあ、メアリー嬢、発表を期待しているぞ」


 講堂にはグフタフ殿下が既にいた。

 イザベラ様は、一瞬、目がギョッとなって、すぐに平静を保った。


 この王太子殿下は偽物だ。つまりカゲ武者だ。

 そうだ、唯一のワエキラエ王国の直系の子孫だ。殺されたら、王位は傍系の王族、大公家に行くだろう。王子を産んだミリンダ女王の権力の根拠はなくなる。それか院政か?






「グフタフ殿下にご挨拶をします」

「しますなの~!」


 私はイザベラお義姉様の後ろに隠れた。人見知りの強い幼女の設定だ。偽物だからめんどいカーテシーをしたくはないのだ。


 講堂には100人近くいた。

 平民が少数と貴族が大多数か?ミレーヌと取り巻き達もいた。

 私は登壇する。


 ミレーヌは抜け目なく、殿下の隣に位置取りをする。偽物と気がついていないな。


「まあ、グフタフ殿下、お隣宜しいですか?」

「もちろん、いいですよ。イザベラ嬢も隣にどうぞ」


「いえ、大丈夫ですわ」




 今日、私の発表の議題は王都の衛生環境の改善だ。



「貴族学園庶務課付教務課出向数学科教師見習候補及び魔道科アドバイザー並びに軍部教官補佐見習のメアリーなの。

 人口が増え王都はお馬さんのウンチであふれているの~!議題はウンチなの~!掃除は小規模、雨で下水に流すのが主流なの~、それだと、下水が詰まって悪臭が漂い衛生環境が悪化しているの~」


「ヒィ、糞?」

「何て、下品な!」

「行こう。スザンナ」

「ええ、期待外れだわ。どんなお知恵があるのかと思ったら」



 こうなるのであろう。席を立つ人達が大多数だ。


 ミレーヌはハンカチで口を覆い気分悪そうに殿下をさそう。


「まあ、殿下、気分が悪くなりましたわ。エスコートして下さいませ」

「ミレーヌ嬢、大丈夫かい?」



 大げさだな。王太子はミレーヌと消える。送り狼になって欲しそうだな。ミレーヌの目は笑っていた。

 さあ、続けるぞ。



「問題の解決はウンチがお金になれば良いの~!肥料にするの~!ウンチを買い取れる体制を作るの~」


 この世界、肥料はある。魔道師がいない地域では行われていると調べた。


 ザワザワザワ~と野次も飛んできた。


「やめろー!汚い」


 という者もいれば。


「土魔法師の仕事がなくなる!」

「聖女様の御業よ!」


 既得権益もある。

 それは考えていたよ。

 例えば、現代でも人糞肥料で作った野菜で食中毒が起きた事例があった。


 輸入した某国産のキムチに大腸菌が検出された。つまり、ウンチが葉についたとしか思えない原因。または、バキュームカーで運んだとかいろいろ憶測が飛んだ。


 マスコミは、何、耐性がつくと無責任に報じたな。


 だから、農民を教育し正しく国家や商会が肥料を作って、寄生虫の殺菌を魔法で出来ないか?

 土魔法は、畑に窒素を入れる技法だと思っている。恐らくぶつかり合わない。



 ザワザワザワ~




 そろそろ、騒ぎが大きくなったから、一喝しますか?と思ったら、イザベラ様がたしなめてくれた。



「皆様!真面目な議題ですわ!きちんと聞いた方がいいですわ。野次を飛ばす方は出て行って下さいませ!」


 また、私の太極拳の教え子のニッキーたちもイザベラ様に賛同してくれた。


「まず。話を聞かないと、判断出来ないでしょう!」

「そうだ。タイキョクケンで魔力が増大したぞ。きっと何かあるはずだ」



 結局、数十人が講義を聴いてくれた。


 これはただのお気持ち表明みたいなものだ。協力者が名乗り出てくれた。



「あの、平民のトーマスと申します。確かに肥料の話は知っています。協力させて下さい」

「マーリエの子爵家の領地に肥料を使っている農民たちがおります。調査をさせます」

「はい、ヘレン様、お任せ下さい」


「有難うなの~!」


 これで成果が確認されたら、予算を申請して、国家の事業として、肥料作りをいそしめる。


 破傷風で亡くなったケント君へのせめてもの供養だ。


 お、グフタフ殿下が戻って来た。早い。ってか。こっちは本物だろう。



「やあ、メアリー嬢、資料を私にもくれ」

「はいなの~」


 イザベラお義姉様の目はほっこりしている。

 今度は本物だ。


「殿下、当家でもお父様に進言をして協力しようと思いますわ」

「おお、イザベラ嬢、助かる」



 イザベラお義姉様は王太子殿下に恋をしている。


 王太子殿下は、イケイケのCEOだ。合理的な判断が出来る。しかし、それだけだ。

 現状維持になりやすい。

 行き先を示す北極星がイザベラ様だ。イザベラ様の民を想う気持は貴重だ。


 民を大事にして、この国を守らなければと思わせたら経済は発展するだろう。


 このような男女は引かれ会う。イザベラ様は非情な判断は下せまい。

 足りない所を補い合うのだ。



 とメアリー我思うをしていたら、恋愛相談をした男女がカップルになっていやがった。


 ピンクブロンドモドキは、ハリセンで嬉しそうに成金子息の頭を叩く。


 パチン!


「メアリー様、本当に金の靴をはいた殿方を見つけましたわ。・・・お金持ちですわ」


 成金子息も言う。


「メアリー様、有難うございます。メアリー様の言う通りに金の靴を履いて令嬢の前で脱いだら本当に身分の高い女性と出会えました!」


 あ、そう。どうでも良いわ。


 これは割れ鍋綴じ蓋か?



 しかし、王太子妃選定の儀は近い。

 今度は、軍事か?




 ☆☆☆王宮



「女王陛下!東の辺境伯より怪鳥便でございます」


「そうかのう、・・・・・フムフム、ガイア王国が数万規模で出兵するとの事じゃ、大本営を立ち上げるのじゃ!」


「「「「御意!」」」」


 国境から怪鳥で3日、馬車で一月の距離だ。


「国軍は近隣の国境に迎える部隊はすぐに援軍に向かわせるのじゃ。委細は将軍達に任せる!」


「御意」


「それと、即応体制が終わったら、イザベラとミレーヌを呼ぶのじゃ」


「御意です。しかし、すぐにではないのですか?」


「いたら邪魔じゃろ?準備が終わってからで良いのじゃ」


「ご慧眼にございます」


 メアリーの予想通り。婚約者の選定の儀は軍事の知見を求める事になった。

 恐らく次で決まるだろう。


 この報はすぐに社交界に広まった。


 ミレーヌの父は慌てて軍学の家庭教師を招聘した。


 一方、イザベラの父、グルケル公爵は軍事教育を施さなかった。


「今更学んでも付け焼き刃だ」


「なの~」


「メアリー、サポートを頼む」


「はいなの~」


 メアリーも同意見だった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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