4 お金の力で人を動かすメアリーなの~
「はいなの~!お金配ったの~、お金の配り方なの~」
・・・私、メアリーはここ10日間に行った事を女王に報告した。識字率のアップ。
平民に学問所に行かせる方法だ。
☆☆☆回想
市場の掲示板にメアリーはベッキー、王宮役人、警備兵と一緒に朝一に来たの。
人がいっぱいいるの~。
メアリーは何かを書いた文書を持っている。
それを指定された場所に貼ろうとして背伸びをする。が届かない。警備兵が手を出し助ける。
「これを掲げるの・・・よいしょと、届かないの!」
「はい、はい、嬢ちゃん。やってやるよ」
「メアリーの張り紙見て下さいなの~!」
「見て欲しいのです!」
ベッキーちゃんと一緒にしばらく声を出したの。呼び込みなの~。
「はん。こんなもの。俺らには関係ないね」
素通りする人が多かったけど。
一人の行商人が不思議そうに顎に手を当てて文字を読み始めたの。
「これ、本当かよ」
「内容を話したらあげないの。やらないのなら帰るの~」
「やるよ・・・よいしょっと」
掲示板の紙をとり。メアリーに渡したの。そしたらお駄賃渡すの。
【ご苦労様なの~!はい、金貨10枚なの~!】
わざと大声で、金貨の中味が見えるように渡したの。
「「「「「!!!!!」」」」」
「何だと!あんな簡単な事で!俺らの年収の半分ももらえるのかよ!」
「やらせろ!俺、文字読めないけど読める奴知っている。連れてくる!」
「文字、読める人限定なの~、今日はおしまいなの~、お引き取りをお願いするの~」
メアリーの張り紙の内容は、
『この張り紙をとり。目の前の幼女メアリーに渡したら金貨10枚を進呈する』
これだけだった。
これは、古代中国でも似たような話がある。
メアリーはそれを実行したのだ。
また、次の日は、簡単な計算を解けたら金貨10枚あげると書いたの。
・・・・・・・・・・
わからん。これは何じゃ。人の欲望に火をつけた。
手段は悪だが、目的は善だ。
「三回やったからマンネリ気味なの~、後は定期的に懸賞金を掲げれば良いの~金貨70枚返すの~」
「分かった・・・して、褒美を取らそう。何が良いかのう。もしかして、グフタフの婚約者の座か?ドレスと宝石なら思いのままじゃ」
「じゃあ、メアリーは公爵令嬢になりたいの」
「ヒィ、メアリー、メアリーは私の義妹でしょう。私と一緒に頑張るのよ」
女王の目は輝いている。それを察知したミレーヌはメアリーを引き留めようとしたが、メアリーはもちろん断った。
「やーなの。嘘つき女は嫌いなの~!」
それから、私はイザベラ様のグリケル公爵家の令嬢になった。義妹だ。
この家門、古くからある。違う系統の王族が別れた家門なので肩身は狭い。
一族必死でイザベラ様に命運を賭けたのだ。
そして、イザベラ様にお願いした。
「お母様を呼んで欲しいの~」
「いいわ・・・」
すぐに、お母様を連れて来てくれた。
「メアリー!ごめんなさい。あんな男の言うことを信じて!」
「お母様大好きなの~!グスン、グスン」
あれ、泣いているよ。私、こんなにお母様の事好きだったのか?
結局、お母様は公爵家で働く事になった。
「やなの。お母様は楽隠居するの~!」
「フフフ、そうもいかないわ。ところでメアリー・・・・報告することがあるの。私の幼なじみのトムとね・・・所帯持つかも知れないわ」
ガーン!
「メアリーがいなくなってから慰めてもらったの。同じ孤児院出身よ・・・・私、もう、騙されないわ。伯爵が置いて行った金貨、まだ、使っていないわ。
これ、メアリーちゃんにあげるから、自由に使って」
「お母様!グスン、グスン、トム連れてくるの~!」
本当につれて来やがった。どこかで料理人をしているらしい。
「初めまして、メアリーちゃん。お母様を下さい!」
朴訥な青年だ。
ガシ!ガシ!
足を蹴った。
「お母様はやらないの~!」
「メアリーちゃん・・・どうしたら許してくれるかな」
フン、分かっている。許すけどただでやるわけにはいかない。
「もし、お母様を不幸にしたら、チン蹴り100回なの~!」
「もちろんさ。だけど、幼女がそんなこと言ってはいけないよ」
こいつも公爵家の厨房で働く事になった。
公爵と夫人は善い人ではあるが、領地経営だけで細々と暮らしている。
「う~む。これからどうしようかなの~」
「メアリー様、お茶なのです」
「ベッキー有難うなの~」
平和だ。部屋でくつろぐ。後はイザベラ様が王妃におさまれば全て上手く行く。
イザベラ様が部屋まで来られた。
「メアリーちゃん。大変、伯爵が来られたわ!今、お父様が対応しているから一階に来ないでね」
「行くの~!」
「メアリーちゃん!」
あの男、理由をつけて私を伯爵家に戻すつもりだ。
やっぱり公爵様と押し問答をしている。
一階のロビーだ。公爵様の他に執事が対応している。
「メアリーの母、リリーに合わせてもらいたい。実は引き取ると約束をしておりました。ついでにメアリーも返してもらいたい」
「はあ、それは本人の同意がなければどうにも出来ませんな」
お母様を引き取り。私を呼ぶみたいだ。どうやって。
「リリーには第二夫人の地位を約束します」
まだ、お母様は自分に恋をしていると思っているのか。
その時、お母様が出てきた。
「おお、リリー待たせたな。メアリーと一緒に帰ろう」
「お断りですわ!もう、伯爵様に未練はありません」
「ドレスと宝石を用意するぞ。メイドから第二夫人に出世だ」
「いりません」
トムがお母様の前に出て庇っている。
「君は何だね。間男か?」
「リリーは私が幸せにします」
良いね。私も伯爵の前に出た。
「おお、メアリー、帰ろう。さあ・・・グギャ!」
ガン!と金貨の入った袋を投げつけた。
あの私を引き取るときにお母様に渡した金貨だ。
「貴様、何をする!」
「ハゲなの~!カツラ知っているの。メアリーは公爵令嬢なの。伯爵ごときが偉そうにするななの~!」
フンガーと両手を挙げて威嚇した。
公爵はフッと笑って伯爵に言い放った。
「お帰り下さい。当家にも武がたつ護衛騎士はおりますゆえ」
「クゥ、覚えておれ」
伯爵は金貨を拾って退散した。やっぱりお金に困っているか?ロビー活動をしているのだろうな。
公爵様に頭をなでてもらいながら褒めてもらった。
「メアリー、良く言ったな」
「お義父様は二人いるの~」
トムと公爵様だ。
そうだ。イザベラ様が負けたら伯爵が幅を利かせ。また、嫌がらせに来るかも知れない。公爵家を目の敵にするだろう。
絶対に、イザベラ様を王妃につけようと決意した幼女の夏であった。
最後までお読み頂き有難うございました。