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9 幼女大災厄なの~

 女神歴1001年9月1日、聖都に恐怖の大幼女が降臨したと年代記にある。

 その姿は映写魔法により大空で映し出された。その幼女は聖女服を着ていたと云う。


 実態はメアリーである。


 第一声は。


【なの~!メアリーなの~!】


 手にはペロペロキャンディーを持っていた。それを掲げて。


【これはペロペロキャンディーなの~!】


 と叫んだとされている。


 民衆は恐怖に陥った。


「ヒィ、何だ。意味が分からない!」

「もう、何でもありね!」

「これが、女神様の法が消えた世界なのか!」




 ・・・はあ、私はだぎっているのか?リーゼさんに映写魔法をかけてもらっている。



「怖いわ-」

 と民衆の声がここまで聞こえてくるがメアリーちゃんも怖いぜ。


 私の隣には、女神様がいる。様付けで呼んでいいのか?

 女神様は何故か日本のリクルートスーツを着て、足で小刻みに床をならしている。


 カツカツと聞こえるな。

 イライラしているのを隠さない。



「メアリー8点ね」

「わーい、嬉しいの!10点満点中8点なの~」

「違うわ!100点満点中よ!」


 この女、いつの間にかに飛行船の中に現れやがった。


 女神の目的は・・・私を羊飼いにする事だった。メーメーさんではない。

 人族の羊飼いだ。


 羊は人間がいないと生きていけない。逃げ出した羊さんが2年ぶりに発見されたら、毛が生えすぎてご飯も食べられにくい状態だったとか。要は宗教無しでは生きていけない従順な人族を養成しろと言う事か?


「メアリーは羊飼いにもなれるのよ。何故、こんな迂遠な道筋を行く。魔族を殲滅しないの?せめて、人族・魔族の二重帝国を作りなさい。これは託宣よ!」


「やーなの~!」


 女神の弱点はDNAの範疇を出ない事だ。

 それが少しでも人族に益する事をするのならば殺されないと確信を得た。


「地球の人族は、兄弟たちを殺して来たのに・・」


 女神の言う人族の兄弟とは、ネアンデルタール人、デニソワ人とかであろうな。

 ホモ・サピエンスと同時代にいた他の人種である。


 ホモ・サピエンスがアフリカ東岸を出てから、行く先々で大型哺乳類や、他人種が絶滅してきた痕跡があるそうだ。まあ、ホモ・サピエンスの移動が原因の一つであろうな。これが原罪か?



 聖都にはワエキラエ王国のカゲや騎士が多く潜入をしている。

 ここからでも見えるな。

 ピエールさんたちが救出されたのを確認して作戦を続ける。


【エリア聖魔法なの~!光の舞!】


 ピカッ!

 光の粒子を聖都に振らせる。

 これは、気分を落ち着かせるものだ。


 良い子ピームは聖戦に赴く戦士の気分を高揚させる事も出来る魔法だった。

 逆もしかりだ。


 リーゼさんが手旗信号を確認してくれている。



「メアリーちゃん!召喚の神殿、人払い完了って連絡が来たわ」

「はいなの~!消滅ビームなの~!」


 ピカッ!


 空から光線を出し。神殿を解体し魔方陣を使えなくした。



【メアリーはお怒りなの~!】



 そして、地上ではカゲが仕事をしてくれている。アジテーションだ。




「キャア、ダミアン!見て、見て、教会は女神様の法は消え去ったというけど、聖魔法がこんなに降り注ぐわ」

「さすが、キャサリン、そう言えばおかしいな。案外大丈夫じゃない?」



 ザワザワザワ~


「そう言えば、あの幼女、聖魔法を出しているな」

「そうだ、まだ、女神様は健在なのではないか?」

「幼女・・・が怒るのが女神様がいなくなった後に起きる大災厄なの?」



 私は特にメーセージを残す事はなく、最後に破壊する建物は・・・勇者クルト君が指でさして教えてくれる。



「メアリー殿、猊下の豪邸はあそこです・・・本当にやるのですか?」

「やるの~、人払いOKなの~」


 法王の表向きの住居は粗末な家だが本当は違う。豪邸に住んでいた。

 勇者クルト君から教えてもらった。


「豪邸が隠し倉庫にもなっています・・」

「はいなの~、消滅ビームなの~!」



 女神様はその様子を見て、ピクピク眉間を震わせている。


「メアリーよ。託宣をする。人族・魔族の二重帝国を作り。魔族を奴隷とせよ。殲滅は無しだ。妥協してあげたわよ。神の妥協よ」

「やなの」


 そんなのすぐに崩壊するに決まっている。

 アメリカか?結構国際関係では失策が多い。


 イラク戦争の時、フセイン憎しの余りバース党員を公職から追放した。

 そしたら、公務員はほとんど追放され軍隊は解体になった。

 現地の米軍の指揮官は首をかしげたそうだ。


 それからイスラム国が出来たのだっけ?

 徴税が出来。武器も扱える最悪のアウトロー集団が出来上がったのだ。



 この場合、女神は魔族を殲滅出来ればそれで良いのだ。

 多少人口が減っても。魔族を殲滅させれば長い歴史で人族は復活するだろう。


「フン、大昔人族は人口三千人まで減ったのよ。だから、メアリー、少しぐらい人口が減っても大丈夫だわ」


「ウエ~ン、その殺される中にメアリーもいるの~」

「あら、よく分かったわね。その可能性はあるわ」



 とんでもねえ女だな。


 こいつ、どっかに捨てられないかな。



 厄介なのは法王様だ。性格を変える事は出来ない。こいつ、俗物であるが、それ故に組織を維持する能力だけは長けていた。


「良い子ビーム!中二病!」


 ピカッ!


 法王に中二病の記憶が定期的に浮かび上がる精神操作をしておいた。

 少し、大人しくなるか?



「うわー!夜這いはもうしません!」

「法王様!」

「ヒィ、10歳の時に、隣の未亡人に夜這いをしたのじゃ、したら、寂しくて来たのと勘違いされて添寝をされて・・ウワー恥ずかしー!」



 うわ。ろくでもない過去だな。魔法を通じて会話が聞こえてくる。



 その後、聖都はワエキラエ王国の騎士団が制圧した。


 列強は恐れおののいたが神罰など当たらなかった。

 結果、ワエキラエ王国の聖都占領は衝撃を与えたが、どこも救援出兵はしなかった。

 女神は女神教会に興味はない。その資金力を聖戦に使おうと考えていたようだ。



 王国に帰ったがまだいる。


「メアリー、つまらないわ」

「なら、どっかに行くの~」



 ワエキラエ王国王宮に報告に上がったがついて来る。これから女王陛下に謁見だ。




「ほう、委細分かった。女神教会はそのままでよかろう。ワエキラエ王国にピエール派の女神教会を作ろう。国教にするのじゃ。その本部は貧困ギルドで良いか?」


「はいなの~、でも、他の宗教には寛容にするの」


「で、メアリーはピエール派に名を連ねるのじゃ」


「分かったの~」


 やっぱり、ピエールだけではダメだ。私の名が必要らしい。

 名前もピエール派ではなく、聖女派で、私は大聖女だ。

 ピエール、こいつは贅沢だけはしないだろう。


 女神が口を開いた。

「フン、私は少女によって生み出された。その少女アルテが初代聖女だ。案外、その聖女派とやらが本流かもな」


「・・・メアリー、その方は?」

「女神なの~」



「はあ?」

「「「「女神様!」」」

 これは皆、驚いた。




 王宮を出てもまだついて来る。


 ロバート君を迎えに行ったら。



「ヒン、ヒヒヒン」(あら、メアリーもいいわね)

「ヒン」(だろ)


 マリアンネちゃんの女の子のポニー、マリーちゃんとぴったり肩をくっつけていた。

 これは・・・



「マリーちゃんのお腹に赤ちゃんがいるぅです」

「そうなの~!おめでとうなの~」


「ヒヒヒヒヒン、ヒン、ヒン・・」(すまねえ。メアリー、しばらくついていてあげたい・・・)


「分かったの。ロバート君はお父さんになるの~、おめでとうなの」



「あの、メアリー様、私、メアリー様のお絵かきしたのぉです」

「見せてなの、上手いの!」



 すると、女神は絵に興味を持った。

 ジィとみている。


「まあ、まあ、だわね・・・」


 女神様は興味を持ち。マリアンネちゃんの家に居候することになった。






 ☆女神回想、7万年前


 ああ、思い出す。私は洞窟で生まれた。あのときは、ドラゴンと巨人族が戦争していて、人族は地中に隠れていたのよね。

 他種族から・・・人族を守る存在が欲しいとの願いから生まれたわ。


 少女が岩壁に絵を描いて祈っていたわ。


「どうか、お願いします。部族の皆がお腹いっぱい食べられて、自由に地上を歩ける日がくることを・・・部族を守ってくれるすごい存在を描くわ」


「アルテ、何だ。それ、もっと、牛とかイノブタとか美味しいものを描いてくれよ」


「お父さん。これはすごい存在なの・・・ウウウウ。頭がいたい」

「アルテ、どうした!」


 少女の脳に変化が起きたわ。

 それで私が誕生した。


 アルテは抽象的な絵だけではなく神話を考えるようになった。この世がどうして出来たのかとかを説明を始めた。はっきり言って嘘だ。女神様が山を作ったそんな類いの話だ。


 しかし、それが大きな力になった。地球で言えば、社会契約説など嘘だが。それを元に憲法が作られ法律が出来。それによって社会が動いている。


 人族の大きな力になったわ。



 最も生産に関係ないとされた芸術や文芸が人族の思考を飛躍的に促進させ団結を維持するシステムになったわ。

 これは皮肉かしらね。


 それから、アルテは芸術を指す言葉になり。私の名前にもなったわ。


 アルテの子から少しずつ因子が変わって来たわ。それが今の人族よ。






 ・・・・・・・・・・・・・・





「メアリーはつまらないわ。もう、お別れね。しばらくここにいるわ」

「はいなの~、またの機会をよろしくお願いしますなの」



 マリアンネちゃんの一家にお願いした。

 こいつは核兵器のように危険だが害はない。

 マリアンネちゃんの絵を見てほっこりしている。

 今が逃げ時だぜ。



「マリアンネちゃん。このお姉さんお願いなの~、食べ物がいらない精霊さんだと思えばいいの~」


「わ、分かりましたぉ」



 フウ、やっと自由になった。


 私は青写真を描いた。まだ、人族国家は疫病の記憶が真新しい。国境を越えて活動できる組織が必要だ。


 魔族との貿易も国家レベルですれば戦いは起きにくくなるのではないか?

 医療・貿易の国際機関を作ろう。


 聖女派女神教会を母体にして、他宗教に寛容な宗教を作り上げるか・・・


 だが、それには大きな試練があった。


 骸骨先生が仰る。


「メアリー様、魔神様にお会して承認を受けて権力を強化するのじゃ」


 魔族の神、魔神に会わなくてはいけない。

 どうも、魔神のイメージがわかないな。



「メアリー様、私も一緒に行きます」

「クルト君・・分かったの」


 飛行船に乗り。魔族領奥地に旅だった。

 不安しかない。



最後までお読み頂き有難うございました。

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