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8 恐怖の大メアリーなの~

 勇者パーティーの一行が魔王城に向かっている報が届き。魔族の幹部が城に集まった。

 私は豪華な椅子に座らされて、謁見している状態なのか?


「フンギル参上!」

「鉄斧のスヒン!」

「魔道部隊をまとめました。魔道師団長ゴーサン!」

「死霊部隊のキュバエルじゃ」

「ボブデス、ゴブリンノオサ、ダイオウサマ、メイレイスル!」


「なんなの~」


 あの骸骨先生はキュバエル・・・という名だったか。ボブって誰だよ。

 すごい流れだ。濁流だ。逆らえない急流、私は魔王になってしまった。

 勇者パーティーがこの城までやってくるとな。私は討伐されちゃうのか?



「お金を持ってくるの~!」

「「「はい」」」


 お金で解決しようと思ったら、事態は更にとんでもない事になっていた。


「これです。魔族領独自発行の10万メアリー金貨です。サーファエルフ、ワエキラエ王国の通貨と同じ含量です」


「はの~!」


 絵柄が私だ。そうか。可愛い子にしろと言ったら、私になったか。

 可愛いは罪だな。通貨の単位がメアリー!だと。




「勇者は何で来たの?」

「地竜車に乗って、人族が作った道を通って来ました」


 何だ。政治家が人気を得ようと、道路や橋を作ったら、住民が流出してしまった地方の逆バージョンか?

 外敵が来たらどうする?


 そう言えば、何で、勇者パーティーは魔王城まで単独で来られるのだろうか?

 魔王軍は常備軍じゃないし。とにかく指示を出した。


「避難勧告を出すの~」

「勇者一行は魔王城に通すの~!」

「ゴーサンは魔族で殺された者はいないか調べるの~!」



 その日のうちに、魔王城で謁見と相成った。

 魔族を殺していないそうだ。良かった。これで平和裏に事が進む。

 私一人で謁見することになった。


 賄賂を渡し、平和裏に帰ってもらう。これで私は黒メアリーだよ。



 勇者パーティーは5人、女3人と男2人だ・・・驚く、日本人がいた。召喚されたのか?中学生か高校生ぐらいの男子だ。あのナーロッパ白人の子が勇者で、

 その他は女魔道師、女剣聖、女格闘士だろう。ハーレム要員か?


 日本人の子が挨拶も無しに口を開いた。


「え、魔王ってロリババ設定なの?聖女服、受ける~」


 失礼な奴だな。そりゃ、中身は大人だけど・・・

 しかし、私は日本人の男子を見て、思わず震えた。



「あ、震えている。そうだよね。若くして継いだばっかりだ・・どうする?」

「サカイ様、魔王です。首を取りましょう」

「そうだな。可哀想だけど、これも異世界に入っては異世界に従えだからな」




 だって、あの日本人の男の子は死んでいる。いや、情報だ。体はこの世界の物質だ。・・・・転移魔法、この世界にあるが、ファックスだ。

 情報だけ転送して転移先で魔素で再構築する。だから、各国は使っていない。

 空間を越えても平気なのは・・・神ぐらいであろう。



 しかも、あのサカイ君は、生命機能が停止したら、聖魔法が爆裂するように出来ている。厄介だ。



 男のナーロッパ白人がサカイを諫めるように言う。こいつが勇者か?


「サカイ殿・・・それはあまりに不憫でございます」

「クルト、君は荷物持ちだから意見は求めていないよ」


 あれ、クルトって子が勇者じゃないのか?この子も高校生くらいだ。

 サカイ君は・・・人型兵器じゃないのか?

 思わず口に出た。



「クルトしゃんが勇者じゃないの~」


「ああ、クルトは俺が来るまでの勇者なの。俺が圧倒したのだから!」


 サカイが剣を取った。聖剣か?


「シャイニング!ブレード!」


 ピカッ!


「量子結界!」


 結界で防いだ。


「な、それなら、これは、どうだ!・・・」


 私は何故かつぶやいた。まるで女神のように。


「成仏!」


 ピカッ!


 すると、サカイ君は光の粒子になって空に昇った。


「どうか、魂は日本に行きますようになの~」


 女三人は何かそれぞれの獲物を構えたので。


「良い子ビームなの~!」


 ピカッ!


「「「キャアアアーーーー」」」


 まあ、はっきり言う。禁断の良い子ビームを使って洗脳をした。


 クルトって子には効かないだろうな。



「魔王殿・・・話会いをしましょう」

「はいなの~」


 この子は赤茶髪、団子鼻、どこか、ミリンダ女王陛下に似ている。


「亡国ファモール王国の貴族出身、今は平民のクルトでございます」

「メアリー・グリケルなの~、ワエキラエ王国魔族領派遣隊長兼帳簿長兼建設現場応援隊長兼・・・魔王かもしれないの~」

「事情をお聞かせ下さい」


 事情を話したら、納得してくれた。


「何と・・・」


 後のハーレム娘たちは・・・


「「「メアリー様!」」」


 状態だ。これは、頭のすげ替え信心か?カルト教信者が、脱退しても同じような宗教を渡り歩くと聞いた事がある。


 クルトから聖都の事情を聞いた。


「私は勇者候補でした。しかし・・・聖都のやり方に異議を唱えました。異界から召喚するなど、生命の尊厳を傷つけます」


 こいつは強いだろうな。多分、サカイ君に圧倒されたと言うけども、魔道爆弾が破裂しないように、手加減をするように言われたのか?

 まあ、それは聞かない。


「何故、日本から召喚するの~」


「ニホン?分かりませんが、黒髪族の国と呼んでいます・・その地域から召喚したら最も強力なスキルを得るからです」



 ああ、あれか、思い出した。日本すごいですねーじゃないが・・・



 ☆回想


 あれは、中二病の時に宗教の勧誘を受けた事がある。ナンミョー先生の教団の子だ。


『星子、見て、海外の友が動画をアップしたよ』

『え、何・・・・』


 驚愕した。仏壇の前でタイツを着た金髪の女の子がダンスを披露している。

 ・・・これは、何かダメな気がした。仏壇、キリスト教のお婆ちゃんも仏壇には敬意を払っている。



『星子も雑談会に来ない?世界200カ国と地域の友、世界市民とつながれるんだよ』


 私はこの日以来、中二病を卒業した。


 そう言えば、アメリカでは、クレジットカードで悪魔払いを受けられると蘇我先生から聞いたな。何か違和感がある。


 こう言った神聖な場所を感じ取る能力は日本人は強いと思う。




 ・・・・・・・・



「クルトしゃんも来るの~」

「はい、魔王殿」

「メアリーなの~」


 女神への対策をしなければならない。どうすれば良い。魔神をぶつけるか?


「骸骨博士しゃん。魔神は?」

「ほい、北の山岳に住んでおるのじゃ」


「住んでいる・・?とな」


 何故だ。いや、どっか次元の違う空間に神は住んでいるのではないのか?

 あの国民的バトル漫画の地球の神は塔に住んでいた・・・


 ・・これは、フラッシュバックのように前世の記憶が浮かんでくる・・・



 ☆大学


 あれは科学史の講義の時。一人の学生が手を挙げた。


『先生~ビックバンは法華経に書かれていますよ!ビックバンの発祥は古代インドにまで遡ります』

『まあ、そうなの、大変ね』


 皆は無視だ。この日本でもマインドコントロールされる人はいるのだ。


 後で先生に聞いた。


『あれは日蓮系の子なのね。極右、極左の思想にもなりやすい不思議な思想なの。これは学界の暗黙の了解らしいけども、日蓮の研究者を絶やさない伝統があるって話だわ。この本を読めば、彼らの思想は分かるわ。って、私も人文学部の先生の受けいりだけども・・・』


 その本を読んだ。日蓮系の大学の人が書いた本で、日蓮の著作、日蓮が学んだ経典、当時の教養の本を読みあさり鎌倉時代の教養を身につけようとした。

 そしたら・・・・



『あれ、天に法華経の世界があるんのではないか?』


 と思うようになったそうだ。仏様は空から見ているは、本当に空から見ているのだ。

 比喩ではない。



 現実の天だ。

 そう言えば、聖書ではエデンの園も4つの川の源流だとも書かれているという。

 神はこの世界に住んでいるのだ。



 何か、薄らと女神への対抗策が思い付いた。

 あれが人族の守護神だったら、何を望むのか・・・



「ワエキラエ王国に通信なの~!魔道通信機を使うの~、エルフ屋を通してお話するの~!」


「「「はい!」」」

「わかったのじゃ」


「クルトしゃんは一緒に来るの~」

「彼女らは?」

「どうでも良いの~」



「魔王軍集結なの~!」

「「「御意!」」」




 ☆☆☆聖都


 女神歴1001年、女神の法が地上から消え去る年とされた初年、聖都では魔女の処刑が行われようとした。


 聖教会は崩れ落ち。瓦礫の山である。その前の広場には磔台が二つあり。それぞれ薪の山が積まれている。火刑に処するのだ。


 魔女とされたのは・・・


【ピエール!とその情婦ルビア、女神様を冒涜した罪で火刑に処す!】


 法王は、拡声魔法で高らかに宣言する。



【ピエールは、法王を輩出したフォッセ家の出である!なのに魔女に堕ちた!今年は女神様の法が消滅した年、故に、どこから魔が出てくるのか分からないのだ!!】


 求心力を高めるためだけの処刑である。

 当初、法王は、ピエールと法論をしようと呼びかけ。


 対話に目覚めたピエールは周りが止めるのを聞かずに出頭したのだが、ついて来たのはピエールの話し相手になったルビアである。彼女はメアリーに救われた元娼婦である。


「さあ、最期の慈悲だ。ピエールに何かを言わせろ。拡声魔法をかけろ」

「「「御意!」」」


 ピエールは馬鹿だ。トンチンカンな事を言い出し、民衆から失笑を買うと予想したが、



【馬鹿者!ルビア殿と我輩はそのような関係ではない!

 我輩は名門フォッセ家の出である。だが、人の価値は家柄ではない!人はその行いで評価されるべきだ!しかるに、女神教会は悪しき血統主義に陥った。この現法王も、息子を高職につけているではないか?

 お前の息子が何をした?ただ、鐘をついてるだけではないか?貧民を救ったか?説法で人を感動させたか?】



 本来、世俗のアンチとして機能する教団がすっかり堕落してしまっている状態をピエールは嘆いていた。



 ザワザワザワ~


 民衆は女神教の批判をしたら処刑されるから言葉を発しないが心は動揺していた。



「もう、良い。火をくべろ・・」

「「「御意」」」


 薪の山に火がつけられ、燃えさかろうとした瞬間、


 空が暗くなった。空には・・


 民は一度見ている。空鯨、飛行船が広場上空を滞空している。それが5隻もある。飛行船が太陽の光を遮った。

 聖都の民にとっては、空鯨からメアリーが聖魔法の雨を降らせた記憶が新しい。


【凝結なの~!】


 晴天だが雨が降り。炎が消えた。



 ピカッ!


「何だ。空に、幼女の姿が映し出されている・・・」

「あれは聖女様の格好をしているわ」

「でも、手には棒付きペロペロキャンディーを持っているわ・・」



【なの~!メアリーなの~!】



 聖都の大空にメアリーの姿が映し出された。




最後までお読み頂き有難うございました。

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