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1 メアリーは転生者なの~!

「メアリー、私の事はお母様と呼びなさい。貴女のお父様は貴族よ」


「はいなの~」

「良い子ね。頭なでてあげるわ」

「嬉しいの~」


 私はメアリー、今年9歳になる幼女である。

 転生者である。日本のOLだった。結婚してしばらく働き子供が生まれてから退職した。

 5歳のころ。熱病に冒されて夢を見て気がついた。


 ここは中世ヨーロッパ、いや、ナーロッパか?

 何か特別な力があるかと思ったが何もない。

 現代知識で無双しろと?


 趣味講座で日本刀の作り方を学んでおけば良かったぜ。

 って無いか。


 お母様は伯爵家に仕えるメイドだった。

 伯爵のお手がつき。私を出産した。

 奥様と離婚をして迎えに来るそうだ。


 定番の浮気男の嘘ではないか?

 しかし、お母様は信じている。

 しかも幸せそうだ。


 そういや、レ・ミゼラブルのコゼットも私生児だったな。

 女神教の一夫一婦制が浸透していても私生児はいるのだな。

 しかも、お母様は孤児院出身、頼りになる親戚はいない。



「メアリー、しっかり勉強をするのよ。貴女は伯爵令嬢になるのだから」


「はいなの~」


 お母様は学校に行かせてくれた。

 この国に平民用の学校はあるが、あまり浸透していない。

 看板も絵が多い。


 私は孤児院併設の女神教会の学校に通う。


 大陸共通語、算数は簡単だ。しかし、この国、大人でも指を使って計算をしているのを見かける。


 国策として識字率を上げようとしているのが分かるがあまり上手く行っていないようだ。


「はい、今日は終わりですわ。お外に行かないでお庭で遊ぶこと」


「「「は~い」」」



 皆、仲が良い。

 前世では酸いも甘いも経験した大人だったが、


「メアリーがオーガな」

「待てなの~!」


 お、これは楽しい。私は狩る女だよ。


 追いかけっこの他に縄跳び、ケンケン、お手玉、お人形さん遊び。

 いいな。和むな。

 まだ、男と体力差はない。男の子に交じって遊んだ。


 ある日、ケントが転んで怪我をした。


「ウギャー!血が出ている!」

「「「「シスター様!」」」

「ヒィ、内緒にしてくれよ」


 魔法のある世界だ。パァとボーションで治すかと思ったが違った。


「ケント君は、薬を塗ったら、お部屋でしばらく養生よ」

「ウエ~ン」


 シスターは薬箱を持ってくる。


「ウォーターボール!」


 魔法で水を出して洗って。

 薬を塗る。


 何でも最近庶民用の薬が出回っていたそうだ。ポーションは高くて買えない。

 回復治療師や聖女様はお高いそうだ。



 しかし、数日後・・・・


 ケントは亡くなった。破傷風だ。薬を塗ったのに何故?



「「「「ウワ~~~~~ン」」」

「・・・皆、ケントは女神様の御許に行かれました。冥福を祈りましょう」


 改めて街を見る。

 馬糞だらけだ。


 そう言えば、産業革命後はロンドンに人口が集中した。

 馬車が多くなった。お馬さんはあちこちでウンチをする。

 そのうち、掃除がウンチの量に追いつかなくなった。


 識者たちはこのままでは馬糞でロンドンが埋まると予測した。

 丁度、その時に、自動車が発明された。

 自動車の発明は必然で、当時はエコだったのだ。


 と言うことは、馬糞が宙を舞っている。下水もネズミが顔を出すくらいだ。

 ナーロッパと言ってもそれは上流階級だけか?


 そう言えば、現代人が中世ヨーロッパにタイムスリップをしたら擦り傷で亡くなると身も蓋もない予測をしている人もいたな。



「マスクなの~!」


「うわ。変なの」


 孤児院とアパートの間はマスクをつけるようにした。布きれで口元を覆う。

 手洗い。うがいを敢行した。


「皆、大人になるまでは、メアリーちゃんの真似をしなさい」

「「「「はい!」」」


 シスター様は何となく理解したようだ。


 中世ヨーロッパは暗黒時代だとされるが、ルネッサンス前でも結構理性的な考えをする者がいたな。


 子供は抵抗力が弱い。死亡率も高い


 そんなとき、お母様が新しい職場に通い初めてから数ヶ月後に

 転機が訪れた。

 知らないおじさんと家来達が、お母様と私の住むアパートにやってきたのだ。




最後までお読み頂き有難うございました。

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