復讐を啜った子は バケモノを殺した
「バケモノの子」の舞台見終わった後に書き殴ったネタです。
殺す…ッ。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すッ…!!!!!
バケモノは皆殺しだ!!! 眼球を潰して、腸を抉って、内蔵を引き摺り出して駆逐してやる!!!!
腹の中で渦巻いた憎悪が爆発的に膨れ上がり、その炎に理性さえも溶かしていく。
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アルカは俺が知る中で最も強い。本人はまだまだ井の中の蛙だと言うが、きっとどれだけの研鑽を積んだバケモノであろうとアルカには勝つことができないだろう。
アルカは俺が知る中で最も自由だ。やりたいことを、やりたいときに、やりたいだけやる。アルカを縛るものは何もない。それこそが頂点の強さを持つバケモノの特権。
アルカは俺が知る中で最も美しい。楽しく笑うときも、物思いに耽るときも、相手を威圧するときでさえ、アルカ以上に美しいバケモノを見たことがない。
アルカは俺が知る中で最も理解できないバケモノだ。バケモノの存在で人間である俺を育て、人間を愛している。戦いを楽しんでいるようで、その実影で疲弊している。
…バケモノを誰よりも殺したかった。その憎しみだけか生きる動力だった。なのに、アルカに出会った。出会ったことが、全ての誤りだった。
殺意だけでよかった。他の感情など生きる上で必要ないはずだった。だと言うのにバケモノの頂点に立つアルカが俺に多くのものを与えた。いや、裏をかけば俺の殺意を奪ったのだ。
「螢…、お前はまだ強さが欲しいか?」
配膳も終わり、食事に手をつけていた時だった。アルカが此方を見ずに答えだけを待っていた。
「あぁ。力がなければ復讐もできない。弱いだけの人間は死ねばいい」
「……そうか」
「螢、お前に伝えなければならないことがある」
「私はバケモノ、……ではない」
「私は約千年前までは人間の世界で生きていた人間だったんだ。それが」
「私はあと数年もすれば完全に理性を失うだろう」
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バケモノの長 アルカ
顔半分が人間で、もう半分が蜘蛛のような外見をしている。
孤児院が正体不明のバケモノに襲われた際生き残った唯一の子ども 征
バケモノの気まぐれ(全身黒)で生かされバケモノを憎悪し皆殺しにすると誓う
最後の血戦で正体が分かり、怒りのあまり我を失う。
実親を亡くし叔父夫妻の虐待から救ってくれた孤児院が、ある日何者かに襲撃され犯人の気まぐれによって命を助けられる。(声なし)
人ならざるものの正体に、警察に話しても錯乱状態だと判断され役に立たない。大切な家族を無惨に殺された怒りは果てしなく、雨の中を徘徊していたところ自らをバケモノだというアルカに声をかけられる。
このとき犯人の残したバケモノ特有の匂いにアルカが気づき、フードで隠されたアルカの姿を一瞬捉えた征が殺しにかかる。
征の一切の躊躇ない攻撃に何かを感じ取ったアルカは理性を忘れた征を気絶させバケモノの世界へと連れ帰る。
目覚めたところでまた殺しにかかる征をボコボコにし、また気絶させる。これを何度か繰り返して征が話を聞く状態までにする。
征はバケモノを皆殺しにすることを宣言し、そんな征にある事実を伝えるアルカ。それは人間とバケモノの世界を繋ぐ道は三つの家紋によって警備されており、その道を通って人間界に行くことができるのはその家紋の当主か身近な人間のみであること。
バケモノの総帥であるアルカはどの道も自由にできるが犯人ではないということ。その事実を知った征はひとまずアルカを信じ、その三人の当主から犯人を捜すことを決める。
殺意に満ち溢れた征だが、アルカは「身の程知らず」と罵る。三大当主は代々バケモノの中でも強い地位を誇り、力・権力・地位において勝るものはないという。
ひとまず弟子兼ペットとして傍に置くことを決め、三大当主に劣らない力を得るため修行を行う。
まずは体力作り。笑顔で崖から突き落とす。本当に殺されると思ったが地面につくギリギリで止められる。なぜ岩に掴まらなかったと笑われ、その後何度も何度も突き落とされる。
一ヶ月後、豆だらけになった腕で何とか岩に掴まるがそこから上ることができず落下。助けられる。
三ヶ月後、最後に足をかけて這い上がり、第一修行をクリア。百クリアすれば木刀を握ることができると告げられる。
第二修行は崖わたり。細かな突起の上を渡っていくが落ちたら自力で上る他ない。そのための第一修行である。
バランス感覚を研ぎ澄ます第二修行は二週間と三日でクリア。
第三修行は目隠しでアルカの木刀を避けること
。これを終えると城下町に降りる許可をもらい、フードを被ってアルカの後ろをついていく。
アルカがどれほどの存在かを理解しつつもバケモノに対する殺意が隠しきれず見回りをしていた当主に正体がバレる。
アルカは素直に白状し、今後面倒を見ることを宣言して家に帰る。部屋に戻った直後頬を叩き、お前が今度殺す相手だと名指す。
アルカの元だ面倒を見られている間も他のバケモノ達から力が弱い人間だと虐められるが静かに憎しみたけを募らせていく。
アルカとの生活がバケモノの憎悪を薄めていくことに危機感を感じ、わざと虐められることで憎悪を保っていた。
それをアルカも黙認しており、見聞を広めるためにも征と旅行する。
様々な出会いと共に人ならざる強さを手に入れ十七才で屋敷に戻る。
アルカへの猜疑心は完全に消え失せすっかり飼い犬になる。
それから五年、バケモノへの殺意を完璧に隠し総帥の裏の組織長として十三年前の事件について証拠を集める。囮操作や潜入捜査。はたまた人間の世界でも地位を確立していく。
そんな成長を見せた征に、一年後に開かれる後継試合の存在を伝えるアルカ。実はバケモノではなく、千年前は人間であったことを明かす。バケモノの世界で生き残るために皇蟲家の呪いを引き継ぎ生きてきたこと。もう人としての理性が保てる時間が少なくあと一度でも力を解放してしまえば完全かバケモノになるということ。
そのために急遽後継者を決める大会を開いたという。征を弟子にしたのは三大当主の内に裏切り者がおり信用できないため後を継がせたかったこと。
日に日に蝕まれる苦痛にもはや限界は近く、もう時間もあまり残ってはいない。総帥の座は四大家紋の内から後継者の儀で決められるため、一家紋につき一人が代表で選らばれる。
最後に事件の犯人を知った征だが理性を失い瀕死状態にされる。妨害防止のためにひいた結界も何者かの手により主導権を奪われたことを知ったアルカは征の呼吸が浅くなっていることに気付き最後の力を振り絞って結界を打ち破る。最初から民には気づかせないようしていたがクマも酷く足つきも覚束なかった。
犯人を壁に衝突させた後でバケモノになり言葉も話せなくなったアルカに意識が戻った征か頬をさすり「綺麗だ」という。涙を流すこともできず「キー、キー」と鳴くアルカ。
完全なバケモノとなったせいで媒体を失った呪いは次の標的である征に向かう。喜んでそれを受け入れた征。身体は完全に治り、未知の力で力はさらに、強大となる。
犯人を刀で首を切り、最後に総帥となってアルカと過ごした家でバケモノとの共存を目指して終わる。




