乙女ゲームの皇女は実弟を溺愛する
顔面偏差値の高い世界
転移してきた聖女と王達の間に生まれた
前世で虐待された時に助けてくれたおじいさんを盲愛している。
しかし突然死んで転生する
魔法の才に溢れながらも自分の居場所が感じられない為に無意味に生きる。
卓越した美貌に誰もが虜になるが、聖女である母親以外に心を開かなかった。
男がへりくだりハーレムを作るこの世界に半ばウンザリしている。
しかしご歳の時にできた弟イグ、ルクを溺愛。
イグ 剣の才は無いが潜在的な魔力に溢れ植物学や政治に富んでいる。 糸目で常識人
怒るという感情はない。
「大好き。大好きよ、ルク」
ほっぺや額にキスしまくる。
最初はほっぺのキスだけではにかんだように照れた。
ある日の誕生日の夜渡されたひよこのぬいぐるみに喜ぶ。そのぬいぐるみをいつも持っていたらお茶会で抜け出していると伯爵令嬢がぬいぐるみを寄越せと言い張り縫い目が解けそうになったのを見て初めて魔力が暴走する。
結果解けた縫い目はお母さんが直してくれ、初めて癇癪を見せたせいか周囲がさらに甘やかす。
師匠とも言える宮廷魔法師からそういうときの対処法を学ぶ。
「皇女様にもそのような感情があってむしろ良かったと思いますよ。」
「今度厄介な輩に絡まれた際は最初から実力を見せるか重要な人間を傍に呼んでください。しかし色々状況もあるでしょうから此方を」
「呼び笛?」
「これを吹けば必ず私が駆けつけます」
皇女の顔が知られていないということで社交界デビューする。
社交界デビューから数日。
大量の求婚状が届く。
その中から適当に友好国の第三皇子との顔合わせがされる。
容姿に興味を持たず唯一話が通じそうだった為ある提案をする。
「私達、取引しない?」
「取引ですか?」
「うん。私は好きな人がいるから、貴方とは結婚できない。だけどこれから一々求婚状が来るのも嫌。だから形だけ婚約して、成人したら解消して欲しいの」
「…我が国との交易は構わず続けてもらえるのですか?」
「もちろん。むしろ私の取引を受け入れてくれたらそれ相応の対価は払うわ」
「…失礼でなければ、何故お慕いしている方と婚約しないのか聞いてもよろしいですか? 貴方は大国の唯一の皇女であり、貴方が望めば全て叶えられるでしょう」
「…できないよ。弟だもん。私の好きな人」
「第六王子殿下なのですか…?」
「うん。私はイグが好き。家族じゃなくて、異性として。皆は家族愛の延長線だって言うけど、本気なの。私はイグしかこれからも好きにはなれない。だから結婚はしない」
「イグ殿下も同じお気持ちにですか?」
「ううん。違うよ。イグは、私をちゃんと姉として慕ってる。それ以上でも、それ以下でもないよ」
「…皇女殿下は、本当にそれで良いのですか?」
「良いも何も、私はイグの傍に入れたらそれでいいかな。他には何も望まないし、幸い国も安定しているから国政に巻き込まれる必要も無いし。王族としての責務は果たすけど、政略結婚もないと思うし」
「ウィリア王女のことどう思ってる?」
「(泣いた顔が少しお姉様に似て)可愛らしいただと思いますが」
「そっか…、」
ぎゅうっとドレスを掴んで泣き笑いしたあと部屋を去る
ルクと結婚できないのなら…、




