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Part9:狼男

フリーイラスト その9【狼男】


線画バージョン

挿絵(By みてみん)

URL:https://37616.mitemin.net/i731351/


彩色例

挿絵(By みてみん)

URL:https://37616.mitemin.net/i731352/


◆◆◆

シチュエーション例・ショートショート


 赤ずきんは早く逃げなければと、足を早めていました。

 ここは深い深い、森の中。おばあちゃんのお見舞いで通い慣れたはずの道なのに、その日の赤ずきんはとっても不安です。


「ヤァ、赤ずきん。そんなに急いでどこに行くんだい? もしかして、迷子か?」

「別に、迷子になんかなっていませんよ?」

「そうかい? それにしちゃぁ、いつもとルートが違うぞ? 迷っちまったんなら、おばあちゃんの所まで案内してやろうか?」

「まっ、間に合っています!」


 今日ばかりは、狼を頼る訳にはいきません。普段は楽ができるからと、狼におばあちゃんのお家まで運んでもらうのですが……もう、彼に運んでもらう必要はありません。だけど、このまま彼を森に置いていったら、すぐにバレてしまうことでしょう。実はおばあちゃんが死んでしまっていることに。


「よし! だったら……狼さ〜ん!」

「お? 呼んだか、赤ずきん」

「あのね……私、引っ越すことにしたの……」

「そうなんだ? それじゃぁ、おばあちゃんはどうするんだ?」

「おばあちゃんは大丈夫よ。親戚の人がお迎えに来るから」

「へぇ……そっか。それじゃ、その間に……」

「あっ、だから! 狼さんがおばあちゃんを見てくれる必要もなくて!」


 先回りで「必要ない」と言われて、狼はシュンと耳を垂らして悲しそうな顔をします。その様子に……やっぱり、彼も連れていくべきだと、赤ずきんは決断するのです。

 だって……彼はとっても、赤ずきん好み。彼の毛並みを堪能できなくなるなんて、彼女にはもう考えられない事でした。


「でも、ね……私、狼さんとは一緒にいたいの。だから、一緒に引っ越さない?」

「はっ? 何を言っているんだ、赤ずきん。イマドキ、狼男は珍しくないのかもしれないけど……色々と、話をぶち壊してない? 童話的に」

「別にいいじゃない。狼さんのモフモフがあれば」

「そもそも、根本からズレている気がする。でも……赤ずきんがそう言うんなら、まぁいいか」


 理解はできないけれど、納得はしたほうがいいだろうと、狼はあっさりと割り切ります。本当は彼だって、知っているのです。赤ずきんがお見舞いが嫌で、おばあちゃんに少しずつ毒を盛っていたのを。でも、狼は狼で、本当のことを告げようとはしません。

 だって……赤ずきんはとっても、狼好み。彼女にブラッシングをしてもらえなくなるなんて、彼にはもう考えられない事でした。


(毒林檎だなんて、明らかにオハナシを間違えている気がするけど。いずれにせよ、ククク……これで、赤ずきんは俺のモノだ。これからは毎日、ナデナデしてもらえるな)


 送り狼から正式な同居人に昇格して、彼女のブラッシングを想像しては、狼もご機嫌です。

 ……何も解決していないし、完全によろしくない結末を迎えそうですけれど。2人にとっては、自分達が幸せならそれでいいのです。何せ……物語の勧善懲悪は読者が望んだ事であって、彼らが望んだ事ではないのですから。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お久しぶりです。なかなかなろうに来れずすみません。 イラスト集面白いです。 色をつけると目を見張りますね。 色彩がとっても個性的だし、布とか毛並みの質感とか、これ、本当に色鉛筆で書けちゃう…
[良い点] 赤ずきん、お前!! (笑) 最初に「逃げている」となっていたのは「オオカミ」からではなく、「親族」もしくは「警察」からだったのか! [気になる点] 「送り狼」の意味とは。(笑)
[一言] ……ぢどーぎゃくたいとやんぐけあらー……めすがきちゃんとおーかみぶったおつむゆるいわんこくん…………トーヨコ系のふらちなそーぞーをしてしまいますた m(_ _;)m
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