Part6:花魁
フリーイラスト その6【花魁】
線画バージョン
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彩色例
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シチュエーション例・ショートショート
「何を泣いているんだ?」
男は遊女に尋ねる。
「別に、何もございませんよ。ただ、目に芥が入っただけでありんす」
遊女はシャラリと、簪の揺れものを鳴らしながら答える。
そうして、彼女は雫の意味をはぐらかしたまま、力ない笑顔を浮かべるけれど。
そんな彼女の「健気」な様子に……委細は聞くまいと、男は盃を傾けながらホゥと息を吐く。
「まぁ、いい。お前とは話ができるだけでいいのだから。艶っぽい言葉を聞かせろとも、言わんよ」
「左様で? まぁ、なんとご奇特な。ほほ……でしたら、わっちも涙を拭わねばなりませんね」
「やはり、お前のそれは涙だったのではないか。全く……私の前で、無理はせんでいいぞ。……泣きたい時は泣けば良い」
男の不要なまでの気遣いに、遊女はいよいよホロホロと涙を流す。
ヨヨヨと涙を流す彼女の目元は白粉が剥がれて、なんとも無様な様子だが。
……その上を伝う涙は人の体温をしっかりと残した、美しい雫であることに違いない。