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Part3:老執事

フリーイラスト その3【老執事】


線画バージョン

挿絵(By みてみん)

URL:https://37616.mitemin.net/i711797/


彩色例

挿絵(By みてみん)

URL:https://37616.mitemin.net/i711800/


◆◆◆

シチュエーション例・ショートショート


「今日であなたの淹れた紅茶とお別れなのは、寂しいわ」


 手慣れた様子で執事が差し出す紅茶を口に含めば。香りも渋みも、何もかもが大好きな風味が口いっぱいに広がる。だけど……多分、この味を心ゆくまで楽しめるのは今日が最後。だって、私は明日から別の家の人間になるのだもの。


「ねぇ、爺や。どうしても……付いて来てはくれないの?」

「申し訳ございません、お嬢様。私は当家の家令にございます。この家を離れる訳には参りません。それに……」

「あぁ、その先はいいわ。……どうせ、王家のお茶も美味しいはず、って言いたいのでしょ?」

「その通りにございます」


 でもね、私は知っているの。向こうの執事は気位が高いだけで、何もかもが爺やに及ばないって事くらい。


「……お嬢様。此度のことは、今生の別れになる訳ではないのですよ。いつでも、遊びにいらっしゃって良いのですから。しかも、明日の門出はお嬢様の努力が実った結果でもあります。王家との婚礼は非常にめでたく、栄誉ある事。私も鼻が高いです」


 爺やは私を慰めるように、そんな事を言ってくれるけど。でもね、私はそれも知っているの。王家に輿入れしたら、滅多な事では帰って来れない事くらい。事実上、一生のお別れになるかもしれないわ。


「もぅ、折角の紅茶が……なんだか、しょっぱいわ。悪いのだけど……もう1杯、お願いできる?」

「えぇ、もちろんですよ。お嬢様のお気が済むまで……何杯でも淹れて差し上げます」


 1杯、2杯……いくらでも。

 ……あぁ。大好きな爺やの紅茶が塩辛くなくなるのは、果たして……何杯目かしら?

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― 新着の感想 ―
[一言]  優しそうなおじいさんですね。  老執事というと、ヒゲのダンディな、じつはめちゃくちゃ強くて、(全盛期より体力が劣るので)短期決戦なら最強クラスキャラ。そんなイメージに侵食されてました(汗)…
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