Part18:語らい
フリーイラスト その18【語らい】
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彩色例
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シチュエーション例・ショートショート
今日もたくさん移動したけれど。目的地までたどり着くことは、とうとう叶わなかった。だから、今夜の宿泊先は深い深い森の中さ。焚き火をして、スープを作って、途中で狩りをしたモンスターの肉を炙って……うん、とってもいい匂い。
えっ? こんな所で夜を過ごすのは危ないって? しかも、火を焚いたら目立つじゃないか……だって? ハハ、大丈夫さ。君だって、知ってるんだろ? ……僕には、頼もしい相棒がいる事を。
「グルグルグル……」
「うんうん、分かってる。ほれ、こっちのはお前の分だから、お食べ」
「ギャウ!」
どうだい、驚いた? こんなにお行儀よく、食事をするドラゴンなんて、凄いだろう? あぁ、とっても人懐こいヤツだから、そんなに怯えなくていいよ。なにせ、こいつは僕が子供の時から一緒に旅をしていてね。最初は僕なんかより、とっても小さかったのに。いつの間にか、追い越されて、あっという間にこんなに大きくなった。しかも……。
「アキャァ……」
「腹がいっぱいになって、眠くなった? ……体は大きいのに、中身は子供のままなんだから。ほらほら、こっちにおいで。ここだと暖かいよ」
「ギャギャゥ……」
ほーら、この通り。人間を襲ったりしないし、一緒に丸くなって眠ると、とっても安心するよ。だから……お願いだよ。こいつを討伐対象になんか、しないでおくれ。お願いだから、見逃してくれないかな。
この国では一緒に暮らせないと言うのなら。僕はこいつと一緒に暮らせる場所を探して、いつまでも旅を続けるさ。ただただ、出ていくだけ。ただただ、通り過ぎるだけ。……だから、そんなにおっかない顔をしないで。僕達は、ただ……自分達が平穏に生きていける場所を探しているだけなんだから。




