Part1:JKとコーヒー
フリーイラスト その1【JKとコーヒー】
線画バージョン
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彩色例
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シチュエーション例・ショートショート
「ねぇ、帰りに1杯付き合ってよ」
なんだ、その仕事帰りのサラリーマンみたいな誘い文句は。もうちょっと、女子高生っぽい可愛い誘い文句はないのかよ。
「今日から、新しい限定ドリンクが出るの。1人じゃ寂しいから、付いて来て」
誘う相手は別に俺じゃなくても、よくない? 友達いないのか……なんて、思うよりも先に喜んでいる俺がいる。
彼女はいわゆる「幼馴染」であり、俺の秘密の初恋相手。
何気なく同じ小学校に通って、当たり前のように同じ中学校で過ごして、当然のように同じ高校の制服を着ている。
「あまり長くならないんなら、いいよ?」
「本当⁉︎」
そうして、今日も何かに引きずられるように、差し障りのない返事をする。
いや、でも……やっぱり、カフェって女の子同士で行くもんじゃないの? その辺、どうなんだ?
だけど、いつもいつも……不貞腐れた態度とは裏腹に、彼女の穏やかな笑顔に引っ張られっぱなし。本当は嬉しくて、仕方がないんだ。ただ……ちょっと、思いを伝える勇気がないだけで。
「うふふ。今回の新作ドリンクはキャラメル味なのです!」
「それはいいけど……これ、めっちゃ、甘くない?」
「それがいいの。それに……ただ、一緒に来たかっただけだし」
「えっ?」
最後の方は小さくてよく聞こえなかったけど、これは要するに……新作ドリンクは「口実」って事だろうか?
そんな彼女の真意を確かめたくて、隣を見れば。……言葉はなくても、はにかんだ笑顔を見るに、聞き間違えでもないみたいだ。
「……ま、たまには甘いのもいいか」
「そうでしょう、そうでしょう!」
ニコッと笑う彼女を直視できなくて、何かを誤魔化すように甘いキャラメルコーヒーを啜る。今だったら、甘い気分も、多分真っ赤になっているだろう顔も……熱々の新作ドリンクを言い訳にできるに違いない。
うん。……たまには、甘いのも悪くない。




