鏡
「「女、28歳、OL、趣味は読書、好みの男性は顔が良い人です。」」
出会い系アプリで自分の自己紹介を書き込むのは6度目だ。
公開というボタンを押せば、その15秒後に後悔がくる。
子供のころに読んでいた恋愛漫画のようにときめく恋をして結婚を迎えたいと思っていた。
でも、そんなのは妄想で。妄想を待っていたらもう28歳。
いつしか、推しのグッツを集める出会い系アプリを利用する女になっていた。
自分でも何やってるんだろうとは思うけども...
今日もアプリでお目当ての男性を待つ。ディズニー映画のお姫様のように。
まだあの子たちは顔が良くて、性格が良いから。
自分は違う。ブス。性格悪すぎ。
そんなことを考えていたら、アプリの通知がくる。
期待はしていないけれど、送って来た人のプロフィールを見る。
だけど、見た瞬間死ぬかと思った。
いや、心臓は3秒ぐらい停止したかもしれない。
なんと写真には、昔の貴族のような豪華な服を着た可愛い顔の男の子がいた。
自己紹介文は何にも書かれていない。
いや、違うな。漫画の写真でも利用したんだろうな。
まぁでも、暇だし相手してあげよ。
「こんにちわ」
「プロフィールの写真って漫画とかアイドルの使ったんですか?」
「それならやめたほうが良いですよ。勘違いする子もいますし。」
『家の鏡に入ってください』
「あの、話聞いてます?写真変えたほうがいいって...」
『早く入ってください』
「何言ってるんですか?鏡に入れるわけないでしょう。」
『入る前にお聞きします。あなたの理想の自分はどんなものですか?』
「え...顔は可愛くて、痩せてて、スタイルよくて、性格良い」
『教えてくださってありがとうございます。それでは、鏡の中にお入りください。』
冗談だろう。鏡の中に入るなんて。
でも、前に読んだことがある本では鏡の中に入って別の世界に行く。
自分もそういうことが?
怪しいけど、興味あるし入ってみよ...
ベットの横の鏡に頭から入る。
吸い込まれるように。鏡の中に入った。
気が付くと、自分は鏡の前に立っていた。家の鏡じゃない。
宝石が散らばっている金色の鏡。
そして、鏡の中に写りこむ自分はあの「理想の自分」だった。




