魔王の終わり
この世は一人の男によって支配されていた
男は生まれてから1度も負けたことが無い
しかしその伝説も今宵終わろうとしていた
ある男がベットに寝ていた
その横にはメイド姿の女性が立っていた
「いい夜だな」
「そうですね魔王様」
「俺が持っていたのは力だけだった。この力を使い国を支配した、敵を殺した、勇者と戦った」
「はい」
「しかし誰一人として私に勝てなかったし、日に日に勝負を挑むやつが少なくなっていった」
「はい、存じております」
「そして人が私から離れていった」
「そうですね」
「最後まで残ったのがお前だけだ」
「魔王様に仕えることが私の使命だと思っておりますから」
「そうかそうか、お前は私に意見する唯一の者だ。他の者は怯えて私に賛同するばかり、お前は特殊だな」
「そんな私を魔王様は許してくださったのでしょう?」
「昔、お前が私の前に来た時はこうなるとは思わなかったがな」
「私も魔王様にこれ程長くお仕えするとは思いませんでした」
「先程は使命とか言ってたくせにそれが本音か」
「ええ」
「お前はこの後どうするんだ?お前は不死身だ、やることがなくなってしまうだろう?」
「あなたが目覚めるまで待ってますよ。そしてまた貴方に仕えるとしましょうか」
「次産まれてくる時は俺も不死身がいいな。お前と一緒に永遠にいられる」
「もうそろそろお休みの時間ですよ」
「わかっておる。俺はどこにいようとここに戻ってくるからここの管理は任せたぞ…エリーシャ」
「かしこまりました。お休みなさい。ジルガ様」
この日人々は歓喜した
恐怖の象徴がいなくなったと
これで自由になったと人々は歓喜した
その中でもただ一人この者の死に涙し、また会える時の期待を胸に待ち続ける者がいる
その者はその場を永遠に管理する
主人の帰宅を長く長く気が遠くなる程待ち続ける