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ハイゲーマー・ブラックソウル  作者: 火野ねこ
四章
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【091】赤く染まれ②


 一


 結論から言えば、鹿羽はローグデリカに押し負けていた。

 半月に及ぶ不眠不休の厳しい修行をもってしても、鹿羽はローグデリカを圧倒出来ないでいた。


 “逆に言えば”、鹿羽は押し負けているという状況に持っていけるほど強くなっていた。

 S・サバイバー・シルヴェスターやG・ゲーマー・グローリーグラディス、リフルデリカが稼いだダメージによるもの、そして麻理亜の的確な支援によるものも大きかったが、確かに鹿羽は剣を振るい、ローグデリカを相手に戦っていた。


 そして鹿羽は、勝利への道筋が見えていた。


(――――攻撃がワンパターンになっている……。流石に前に出て攻勢に出ることは難しいが……、このまま我慢強く耐えていれば、必ずチャンスがある筈……っ)


「はああああああああ!!!」

「くそ……っ!」


 衝撃で地面が抉れるほどの攻撃を、鹿羽は舌打ちしながら何とか受け流した。


 鹿羽は一回一回ローグデリカの攻撃に剣を合わせるたびに、リフルデリカとの戦いを思い出していた。


(――――リフルデリカとのあの苦行が無かったら、多分一秒ももってなかっただろうな……。ムカつくし勝てないし、戦い方も傾向も何一つ役に立っていないが……、一応はアイツのおかげ、か……)


 鹿羽は我流の剣術に身を任せながら、ローグデリカに抗っていた。


「――――<三重詠唱/トリプマジック>+<白の断罪/ホーリーランス>」

「――――っ!」


 鹿羽とローグデリカの二人の元に、光の槍が降り注いだ。


 鹿羽とローグデリカの動きを完全に予測し、間を縫うように放たれた麻理亜の魔法だったが、ローグデリカにはことごとく命中しなかった。


「くそ――――っ」


 そして、麻理亜の攻撃によって生じた僅かな隙を狙って果敢に繰り出された鹿羽の攻撃もまた、ローグデリカには届いていなかった。


 傷付き、もはや動くことさえ困難な筈のローグデリカであったが、なおその圧倒的な強さは健在だった。


(おか、しいだろ……っ! HP無限チートって言われた方がまだ信じられるわ……っ!)


 鹿羽は心の中でそう吐き捨てた。


 ローグデリカは確かにダメージを負っていた。

 ローグデリカが激しく剣を振るうたび、鮮血は彼女の服を伝って地面へとしたたり落ちていた。

 剣が交錯し、少なくない衝撃がお互いの肉体を傷付けるたび、ローグデリカは苦悶の表情を浮かべていた。

 決してローグデリカに余裕がある訳ではなかった。


 しかしながら。


 負けてはいけない、戦い続けなければならない、と。

 そんな狂気のような強い執念がローグデリカの身体を突き動かしていた。


「もう、良いだろ……っ! 一体何がお前をそこまで駆り立てるんだよ……っ!?」

「――――言った筈だ……っ! 私はもう止まれないと……っ! 敵がいる限り私は戦い……っ! 欲しいもの全てを手に入れる……っ!」

「そうかよ……っ!」


 鹿羽は吐き捨てるようにそう言った。


 二


 何度も剣が交錯した。

 鹿羽とローグデリカは、ただお互いに剣を振るった。


 そこに言葉は必要なかった。

 もはや阿吽の呼吸とまでいえた命のやり取りは、金属がぶつかり合うような音だけを響かせて、ひたすら続いた。


 どれだけの時間が経過したのか、鹿羽は手を休めることなく、しかしながら語り掛けるように沈黙を破った。


「――――お前も楓なんだろうな」


 鹿羽の言葉に、ローグデリカは一瞬驚いたような表情を浮かべた。

 しかしながらローグデリカの剣が止まることはなく、そして鹿羽の剣も同様であった。


「…………」

「俺の知ってる楓は、馬鹿で、勉強を全然しないで、でもギリギリ俺達と同じ高校に受かって、地頭はそんなに悪くなくて、ゲームが滅茶苦茶上手くて、中二病で……。――――あと、なんだろうな。やっぱり馬鹿だったな」

「説得のつもりか……っ?」


 ローグデリカは苛立った様子でそう返した。


「そんなんじゃねえよ。ずっと一緒にいたつもりだけど、多分、俺の知らない楓がいたんだなーって、そう思うだけだ」

「――――――――失望したか。私はお前がどう思おうとも構いはしない」

「だから違うって。俺はただ“友達”としてお前の力になりたいし、出来れば相談に乗ってやりたいだけだよ。――――言いたくないならしょうがないし、まあ、どうにもならないことも多いだろうけどな」

「……」


 ローグデリカは黙ったまま、ただ剣だけを振るった。


 そして鹿羽は遂に受け流すことに失敗し、大きく体勢を崩した。


「――――――――駄目だったみたいだな。出直すわ」

「逃がすと思うか?」

「逃げねえよ。こう見えて約束をすっぽかしたことはないからな。――――いつもの放課後みたいに、お前の元に遊びに行くさ」

「……っ」

「あと、まあ……。このタイミングで、しかもお前に言うのは間違いかもしれないけどな……」


 鹿羽は一瞬躊躇うような様子を見せると、意を決したように口を開いた。


「――――――――俺、けっこう楓のことがす「メイプルスペシャルアルティメットブレイク!」


 瞬間、ローグデリカと同じ姿をした少女が、鹿羽の目の前にいたローグデリカを殴り飛ばした。


「――――――――は?」


 鹿羽は一瞬何が起きたか理解出来ず、間抜けな声を上げた。


「鹿羽殿! 危ないところであったな! 我! 反逆の天使メイプル! 今ここに復活したぞ!」


 ローグデリカと同じ姿をした少女――楓は満足そうにそう言い放った。


「え、なに?――――か、楓? ちょっと待って。――――は?」

「奴は我と同等の力を持つ……っ。だが安心せよ! 我がいれば万事解決であろう!」

「いや、話聞けよ……」


 鹿羽は呆れた様子で呟いた。


 鹿羽は目の前にいる少女が確かに楓であることを確認すると、少しだけ苦い表情を浮かべながら口を開いた。


「一応聞いておくが、本当に楓なんだよな?」

「無論! シャーロットクララに転移魔法でココまで飛ばしてもらったぞ!」

「……体調は大丈夫なのか? だって、あんなに――――――――」


 鹿羽の口調は楓の身を案じているようだった。

 そして鹿羽はただ、楓のことが心配だった。


「――――鹿羽殿。まだ戦いは終わっていない。話は後である」


 しかしながら楓は鹿羽の言葉を遮ると、ローグデリカが吹き飛んだ先を真剣な表情で見据えた。


 そして、少女の笑い声が響き渡った。


「――――はは……っ、ははははは! 遂にお前までやって来たか! 臆病で何も出来なかったお前が! 私を殺す為に!」


 楓に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられたローグデリカは狂ったように笑い、そして吐き捨てるように言い放った。


 対する楓は真剣な表情を崩さないまま、語り掛けるように口を開いた。


「――――随分とボロボロであるな。もう一人の我よ」

「お前に何が出来る……っ。何も出来なかったから……っ。私がここにいるんだぞ……っ」

「認めよう。我は弱く、このように己を偽らねば満足に言葉を交わすことさえ叶わぬ。それを気付かせてくれたこと、深く感謝しよう」

「それで克服したつもりか……っ? 私という存在から目を逸らし……っ、偽物と罵ったくせに……っ」


 ローグデリカは吐き捨てるようにそう言った。


「訂正するぞ。もう一人の我よ。お主のその想いも、我のこの想いも、共に真実であろう。我はその真実に目を逸らし続けてきたかもしれぬ。でもこれからは違う。お主を認めて、我は次に進む。我の……、否! 私の望む世界の為に!」

「――――ふ、ふざけるなああああああ!」


 ローグデリカの怒声が響いた。


 そして、剣が交錯した。


 三


 楓とローグデリカの戦いは苛烈を極めていた。

 とは言っても内容はひどく単純で、ただ、お互いの剣で斬り合っているだけだった。

 無論、天が裂け、地が割れるほどの剣のぶつかり合いを、単純という言葉で済ませられるならばの話だったが。


(楓は病み上がりだった筈だ……。いきなり彼女と戦うなんて無茶だ……)


 目の前で突如始まった戦いに、鹿羽は黙って見ていることしか出来ないでいた。


 そして、それではいけないと強く思っていた。


 楓とローグデリカ――両者が激突している中心地に向かおうとした鹿羽だったが、そんな鹿羽の腕を掴む形で、麻理亜は鹿羽を制止した。


「はーい。鹿羽君はどこに行くつもりなのー?」

「ま、麻理亜……?――――離してくれ。このままじゃ楓が……」

「えい」

「うおっ!?」


 直ぐに麻理亜を振り切ろうとした鹿羽だったが、逆に引っ張られ、鹿羽は麻理亜の胸に倒れこんでしまった。


「――――っ!?」

「鹿羽君、今アドレナリンがドバドバ状態でピンときてないかもしれないけどー、すっごいボロボロだよ? そんな状態じゃ何も出来ないってー」

「いや、そんなこと言われてもな……。ぐっ!? いってえ……」

「ほらー」


 鹿羽は身体の至るところから血が滲んでいることに気付き、初めて自分が酷く傷付いていることに気が付いた。


「――――カバネ氏。極めて不本意だけれど、今回は彼女の言う通りだよ」

「り、リフルデリカ……」

「君は良くやった。そもそも半月でローグデリカと戦うこと自体、無謀も良いところだよ。その点で言えば、君は少しばかり馬鹿だったね」

「何なんだよお前……」


 呆れた様子で言った鹿羽に、リフルデリカはクスクスと笑った。


「――――あれがカエデ氏の本気か。見事なものだね」

「そりゃーねー。なんたって楓ちゃんはマスターズの全国大会に出場してるんだからー。とっても強いんだよ?」

「一回戦負けだけどな。いやでも、まあ、強いのは間違いないが……、“これ”とは話は別だろ……」

「ふむ。僕には少し事情が分からないけれど、もし何か光るものがカエデ氏にあるのなら、通ずるものもあるのかもしれないね」

「…………」


 鹿羽と麻理亜とリフルデリカは、苛烈を極める戦いを見守っていた。


 そして、楓の剣がローグデリカに届こうとしていた。


 三


「はあ……っ。はあ……っ。はあ……っ」

「――――素晴らしい太刀筋であるな。流石はもう一人の我といえる」

「黙れ……っ。お前が私を否定するというのなら……っ。私がお前を殺し……っ、私が唯一のお前になってやる……っ!」

「我はお主の敵ではない。――――そして、お主は我の敵ではない」

「戯言を……っ!」


 忌々しそうに吐き捨てたローグデリカに対し、楓は笑った。


「はああああああああ!!!」


 ローグデリカは剣ごと砕かんばかりに、何度も何度も剣を叩きつけた。

 一方楓は力負けすることなく、逆に切り返すように斬撃を繰り出した。


「ぐ――――っ」

「――」


 剣先がローグデリカの頬を掠め、僅かな鮮血が舞った。


「――――っ」

「――」


 斬撃を受け流すことに失敗し、少なくない衝撃にローグデリカは苦悶の表情を浮かべた。


「――――は――っ」


 そして、一際大きな金属音が響き渡った。


 ローグデリカが握り締めていた長剣が宙を舞い、そのまま落ちた。


「勝負はついたようであるな」


 楓はローグデリカに剣を向け、宣言するように言い放った。


 対するローグデリカは間髪入れずに右手を差し向け、魔力を集中させた。


「――――<業炎/フレイム>っ!」


 剣を失ってもなお戦意を失わなかったローグデリカだったが、噴出した炎は一瞬にして掻き消され、そのまま消えた。


「――――無駄な足掻きとまでは言わぬ。だが、お主が一番良く分かっているであろう」

「はあ……っ。はあ……っ。私は……っ。私は諦めない……っ。剣を失い……っ。手足を斬り落とされようとも……っ。私はお前達の首を噛み千切ってやる……っ」

「分かってはいたが、やはり強情であるな……」

「はあ……っ。――――<業炎/フレイム>っ!」


 炎が再び噴出した。

 しかしながら、その先にはもう楓の姿はなかった。


「――――――――迅雷」

「が――――っ」


 剣の“みね”がローグデリカの腹部を捉えた。

 その一撃は相手を殺さないように手加減されたものだったが、傷付いたローグデリカを沈めるには十分だった。


 ローグデリカは、静かに膝をついた。


「もはやお主に勝ち目はない。お主は負けたのだ。だから――――――――」

「――――ふふ」

「……っ」

「ははは。はははははは!!!!」


 剣を失い、もはや立ち上がることさえ出来なくなったローグデリカは笑い声を上げた。


「――――殺せ! 殺せばいい! これでお前は勝者だ! お前の欲望を代弁した私は永遠に消滅し! お前は今まで通りの人生を取り戻すんだろうな!」

「……」

「せいぜい目の前で指をくわえているといい! お前の欲しいものはもう永遠に手に入らない! 臆病なお前ではな!」


 責め立てるような口調だった。


 一瞬楓は悲しそうな表情を浮かべると、ローグデリカを見据えたまま静かに口を開いた。


「――――知ってるよ。だって自分のことだもん。貴女の言う通り、私の欲しいものは手に入らないかもしれない」


 反論されるとは思っていなかったのか、ローグデリカは驚いたような表情を浮かべると、直ぐに否定するように文句を口にした。


「……っ! 敗北者が……っ! 反吐が出る……っ!」

「でも、私は諦めないよ。諦めてなんかない。――――貴女のおかげで、私は自分の為に頑張る大切さに気付けたんだよ」

「はっ!――――上辺だけの言葉で! どれだけ自分を偽るつもりだ!」

「…………ねえ。私は貴女を殺したくない。貴女は私で、私は貴女。私達は二人で一人でしょ?」

「よくそのセリフを口に出来たものだな! 誰よりも私を憎み、殺したいと望んだお前が!」

「否定しないよ。それに、私は今も貴女の方が間違ってると思う。欲しいものを手に入れようとすることは良いことだけど、その過程で誰かを傷付けちゃダメだよ」


 楓は諭すようにそう言った。


 しかしながら、ローグデリカは怒りを爆発させるように叫んだ。


「じゃあどうするというんだっ! 全員が幸せになれる世界だとでも思ったかっ!? お前がっ! 一番良く分かっているからっ! 私がここにいるんだぞっ!」


 それに楓は動ずることなく、更には微笑みながら語り掛けた。


「――――うん。だから一緒に考えよ? 二人で考えたらきっと良いアイデアが思いつくよ」

「……っ」


 ローグデリカは信じられない言葉を聞いたかのように、絶句した。


「――――――――お前は……、馬鹿だ」

「よく言われる。だって勉強難しいし、つまんないんだもん」

「大馬鹿だ……っ。何の為に……っ、私は……っ」

「自分の為でしょ?――――違うか。私達の為に貴女は頑張った。やり方は間違ってるけど」

「…………っ」

「ねえ。一緒にやり直そうよ。私はそうしたい。――――もう一人の私は嫌なの?」


 一人の少女は、もう一人の少女にそう語り掛けた。


 もう一人の少女は顔を歪ませながら、静かに俯いた。


「――――ゲームばかりしていた」

「そうだね」

「――――ずっと傍にいてくれていた」

「そうそう」

「――――この時間が永遠に続くものだと思ってた」

「思ってた思ってた」


 ローグデリカの言葉に、楓は共感するように頷いた。


「――――違っていた。私が欲しかったものは、私を欲しい訳じゃなかったんだ」

「……」

「私以外のやり方で手に入るというのか? お前は誰一人傷つけることなく、それを手に入れようと言うのか?」

「――――そうしたいと思ってる。いや、そうするよ」

「その手段も根拠も確証も確信も無いのにか?」

「心読まないでよ。しょうがないじゃん。馬鹿なんだし」


 楓は頬を膨らませながらそう言った。


 決して譲らない楓の態度に、遂にローグデリカは観念したように首を左右に振った。


「…………そうだな。お前は馬鹿だ」

「貴女も馬鹿だけどね」

「……ふ」

「あ、笑った」

「……呆れただけだ。――――――――そうか、そうだな……」


 ローグデリカは顔を上げると、自嘲するように呟いた。


「これからお前が勝てばいいだけの話、か……。殺さずとも、奪わずとも、最初から勝ち取ればいいだけの話だ。――――簡単な話といえば、そうだな……」

「一緒に、でしょ?」

「……はは。そうだったな」


 ローグデリカは、苦笑しながらそう頷いた。


「――――楓!」


 会話を交わしていた二人のもとに、鹿羽達がやって来た。


「……鹿羽殿」

「楓、大丈夫なのか?――――それに、彼女は……」

「我は大丈夫である。もう一人の我は、もはや戦えぬであろう」


 楓は膝をついたまま動かないローグデリカに視線をやりながらそう言った。


「とどめは刺さなくていいのかしらー?」

「……っ」


 麻理亜はやけに通る声で、そう言った。


 突如発せられた麻理亜の言葉に、ローグデリカは忌々しそうな表情を浮かべた。


「……麻理亜殿。もう一人の我が多大な迷惑を掛けたことは本当に申し訳なく思う。だが我らは約束したのだ。これから共に、二人で頑張っていくと……。だから――――」

「なーんてね。冗談だよ楓ちゃん」

「ま、麻理亜殿……」

「楓ちゃんが……、そうね。“楓ちゃん達”が一生懸命お話ししてたの、私はちゃんと見てたよ?――――それに、もう一人の楓ちゃんの気持ち、私はちょっとだけ分かるからね」


 麻理亜はローグデリカに視線を移すと、静かに微笑んだ。

 対するローグデリカは複雑そうな表情を浮かべるのみだった。


「――――その、なんだ。“楓”。お前はどうしてこんなことをしたんだ?」

「鹿羽殿。この件に関しては、後ほど我の方から説明しよう。だから今は――――」


 ローグデリカに向かって質問を投げ掛けた鹿羽に対して、楓がそう言い終えようとした瞬間。


「――――お前と一緒だよ。鹿羽」


 ローグデリカははっきりとした声で、鹿羽にそう告げた。


「俺と……、一緒?」

「いつか分かる時が来る。いや、共感は出来ないかもしれないが……、きっと理解出来る日が来る筈だ。――――もう一人の私は、それを望んだのだからな……」


 ローグデリカはそう言うと、ローグデリカの肉体が淡く輝き始めた。

 その周りには光の粒子が漂っており、どうやらローグデリカ自身が光の粒子へと変化しているようだった。


「どういうことだよ。それって――――」

「そして、今のお前がひどく野暮なことを聞いていることも分かるだろうさ。――――――――もう一人の私よ。そう言ったからには、決して違えるなよ」

「無論。そのつもりである」

「――――なら、良い」


 ローグデリカは満足そうに言うと、ローグデリカの何もかもが光の粒子へと変化して、そのまま消えてしまった。


「か、楓……?」


 鹿羽の呟きが、虚空に響いてそのまま消えた。


 ローグデリカとの戦いが、終わった。


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