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ハイゲーマー・ブラックソウル  作者: 火野ねこ
四章
86/200

【086】強敵への


 一


 場所はギルド拠点内部。


 魔法の“伝令/メッセージ”によって鹿羽から呼び出されたリフルデリカは、とある大部屋を訪れていた。


「――――呼んでくれたのは嬉しいけれど、いいのかい?」

「どういう意味だ?」

「必要なことだったとはいえ、僕は君に中々酷い仕打ちをした筈さ。もしかして、そういうのを楽しむ才能が君にあったとか……」

「人を勝手にドM認定するんじゃねえよ。――――確かにあの時はムカついたし、なんなら今も顔面をぶん殴りたいレベルでムカついているけどな。そんなことしたって意味無いだろ? それに、ローグデリカのことを一番知っているのはお前なんだから、お前が協力してくれないと困る」

「……そうかい。なら、僕は協力しないといけないね」


 鹿羽の言葉に、リフルデリカは苦笑しながらそう言った。


「あー、鹿羽君をイジメた子だー。いっけないんだー」

「……どうしてマリア氏がここにいるんだい? 彼女は必要ないだろう」

「いや、どう考えても必要だろ……。みんなを仕切っているのは事実上麻理亜だからな?」

「えっへん。私がリーダーなんだからー、リフルデリカちゃんも私の指示には従わなくちゃいけないんだよー」

「彼女を組織の長から引きずり下ろすにはどうすれば良いかな?」

「どうしてそんなに噛み付くんだよ……」


 鹿羽は呆れた様子で呟いた。


「それじゃあ、ローグデリカ捕縛作戦の打ち合わせを始めよっかー。とは言ってもー、シャーちゃんが用意してくれたプランから選ぶだけなんだけどねー。はい、資料どうぞ」

「――――読めない文書を渡されても困るんだけれど」

「あら、ごめんね。まさか文字が読めないとは思わなかったからー」

「カバネ氏」

「口頭で説明するから我慢してくれ……」


 二


 場所はギルド拠点内部、廊下。


「S・サバイバー・シルヴェスター。怪我は……、もう良いんですか……?」

「然り」

「なら、良いんですけどね……。足を引っ張ってもらっては困りますから……」


 G・ゲーマー・グローリーグラディスは、廊下で偶然会ったS・サバイバー・シルヴェスターに対して取り澄ました様子でそう言った。


 そして、G・ゲーマー・グローリーグラディスは咳払いをして喉の調子を確かめると、目の前のドアを数回ノックした。


「――――G・ゲーマー・グローリーグラディスです……。召喚に応じ……、参上致しました……」

「S・サバイバー・シルヴェスター、召喚に応じ、ここに参った」

「来てくれたか。入ってくれ」


 鹿羽のものと思われる声を聞いたG・ゲーマー・グローリーグラディスは、そのままドアのノブに手を掛けた。


「失礼します……」

「失礼するでござる」


 二人が入室した部屋は、主に会議などが行われる大部屋だった。

 そこには鹿羽に加えて、麻理亜、そしてリフルデリカの姿もあった。


「誰だっけ。ああ、そうだそうだ。シルヴェスター氏とグローリーグラディス氏だね。もしかして残りってこの二人かい? てっきり、シャーロットクララ氏やブラックバレット氏なのかなと勝手に思っていたのだけれど」

「C・クリエイターは別の仕事があるから駄目だ。B・ブレイカーに関しては確かに迷ったんだが……。不測の事態に対しても直ぐに動けるように、B・ブレイカーはここで待機させることにしたんだ。それに、仮にローグデリカが楓と同じ能力を持っていたとしたら、あまり相性は良くないしな」

「今回で決着をつける必要性は必ずしもある訳じゃないからねー。まー、リスクの分散ってところかしらー」

「僕は短期決着を提案するけどね。まあ、相手が相手だ。慎重に検討を重ねることをお勧めするよ」


 リフルデリカは淡々とそう告げた。


「カバネ様。申し訳ございませんが……、メイプル様に関する話題でしょうか……?」

「L・ラバーから何も聞いていないか?」

「はい……。至急ここに集まるように、とだけ……」

「呼んで来てとしか頼んでいなかったからねー」

「そういうことなら、一から説明しないといけないか」


 鹿羽はそう判断すると、G・ゲーマー・グローリーグラディスとS・サバイバー・シルヴェスターの二人に説明を始めた。


「――――知っているかもしれないが、楓の体調不良の原因が特定出来たんだ。原因はローグデリカっていう奴で、ある意味楓のそっくりさんというか、ドッペルゲンガーみたいな奴になる。奴の詳しい目的は不明だが、少なくとも俺達と敵対しているのは事実だ。そこで、ローグデリカの捕縛作戦を実行に移そうと思っている。G・ゲーマーとS・サバイバーには、この作戦の中心的な役割を担ってもらいたい」

「要は一緒に戦って欲しいだけねー。鹿羽君やリフルデリカちゃん曰く、相当強いらしいけどー。実際問題どうなんだろー」

「そうやって油断を招くような言動は慎んでもらえないかい? シルヴェスター氏もこの僕も、事実彼女に負けているんだ。決して侮って良い相手ではないよ」

「それってリフルデリカちゃんが弱いっていうことじゃないのー?」

「そうかい。そう出るか。いいよ。喧嘩なら買おうじゃないか」

「落ち着けリフルデリカ……。麻理亜も煽るな」

「はーい」

「今のは彼女が悪いだろう」

「落ち着けって……。何でそんなに仲が悪いんだよ」

「ほら落ち着きなってー」

「麻理亜」

「ごめんなさーい」


 麻理亜は気楽な様子でそう言った。


「――――まあ、そういうことだ。厳しい戦いになることは避けられないかもしれないが、無駄な犠牲は出したくない。それじゃあ、二人にも作戦の詳細を説明するからな」


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