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ハイゲーマー・ブラックソウル  作者: 火野ねこ
三章
64/200

【064】何者の自己紹介


 一


 場所はギルド拠点内部。

 鹿羽、麻理亜、A・アクター・アダムマン、B・ブレイカー・ブラックバレット、E・イーター・エラエノーラ、G・ゲーマー・グローリーグラディスの六人の前で、リフルデリカは自己紹介を行っていた。


「――――――――僕の名前はリフルデリカ。ただの魔術師さ。どうやらリフルデリカ教皇国っていう国があるらしいけど、僕とは無関係の筈だから、気にしないでおくれ。実を言うと、僕はカバネ氏の厚意に預かってここにいるんだ。だから、僕も彼に最大限協力するつもりでいるよ。えっと、こんなもので良いのかな?」


 リフルデリカは、鹿羽の方を振り向いてそう問い掛けた。


「……ということだ。信用するには怪しい奴だが、敵じゃない。少しでも怪しい動きを見せたら、即、各自の判断で牢屋にぶち込んでもらって構わないが、仲良くしてやってくれると嬉しい」

「新鮮な紹介ありがとう。僕も皆と仲良くしたいな。流石にこの僕も牢屋は好きではないからね」


 そう言うと、リフルデリカは軽く笑った。


「――――しかし、カバネ様と似ていますね……」


 B・ブレイカー・ブラックバレットは、姿かたちが鹿羽と酷似しているリフルデリカに対してそう言った。


「本人曰く、ただの偶然らしいけどな」

「そうは言ってないさ。確かに、魂として彷徨う前もこの姿だったし、カバネ氏との関係も思い当たる節は無いけれど、偶然という言葉で片付けるには偶然が過ぎる。これはきっと、明らかな根拠に基づく必然だよ。絶対にそうだ」

「そう思う根拠はあるのかしらー?」

「……だから、これからそれを研究して結論を導き出すんじゃないか。仮説をつつくだなんて、非建設的だとは思わないかい? 君に、僕の仮説を否定する根拠があるなら話は別だけどさ」

「聞いただけじゃない。そんなに怒らなくてもー」

「ふん。そうかい」


 リフルデリカは麻理亜に対して、不満げな態度を崩さずにそう言った。


「と、まあ……。麻理亜とは馬が合わないみたいだが…………」

「ふむ。なにゆえ、そこまでミス・マリーを嫌うのです? お会いしてそこまで、時間が経っている訳でもないでしょうに」


 A・アクター・アダムマンは不思議そうな表情を浮かべながら、リフルデリカにそう問い掛けた。


「そうだね。マリア氏に非は無いさ。あくまで僕の大嫌いな人に、とてもよく似ているってだけで」

「それでは、貴女様の一方的で不当な振る舞いである、という認識で宜しいですか?」

「それで構わないよ。マリア氏や君達には、僕を非難する権利がある。無論、僕にも彼女を嫌う権利はある筈だけどね」

「うー、私悪くないのにー」

「ほら。こういう飄々とした、割り切った態度が気に食わないんだ。全然気にしていないくせに」


 リフルデリカは心底忌々しそうに、麻理亜を睨みつけた。

 その態度に、B・ブレイカー・ブラックバレットとG・ゲーマー・グローリーグラディスは、リフルデリカに対して厳しい視線を投げ掛けた。


 そして、厳しい視線を投げ掛ける二人を代弁するかのように、E・イーター・エラエノーラが口を開いた。


「ふわ……。貴女が、マリー様を嫌うの、良くないと思う……。謝って」

「……そうだね。確かに不当に相手を嫌うのは良くないことだ。重ね重ね、謝罪しよう。悪かったよ」

「何度も何度もイジメられてー、麻理亜ちゃんの心はボロボロなんですー。口先だけの謝罪じゃー、傷付いた私の自尊心は癒されないかなー」

「…………それじゃあこの僕に、何を求めるって言うんだい?」

「牢屋で一週間謹慎するっていうのはどうだ?」

「せめて君だけは僕の味方でいておくれよ!」


 リフルデリカは、鹿羽の発言に対し、悔しそうにそう吐き捨てた。


「まあ、麻理亜もリフルデリカもその辺にしてくれ。――――という訳で、リフルデリカがこの拠点に住み着くことになった。C・クリエイターもこのことは承知している。残るL・ラバー、S・サバイバー、T・ティーチャーには、C・クリエイターの方から伝えてくれるそうだ。楓には俺の方で伝えておく。敵ではないと自称しているが、変なことをする可能性は十分にある。皆、それを承知した上で、何かあった時は然るべき対応を取ってくれ。以上だ」

「まあ、その辺りが妥当な対応だろうね。手放しに歓迎されるのも、おかしな話だ。僕は僕で、みんなの信頼を勝ち取れるように精進するつもりだよ。――――という訳で、これからよろしくお願いするよ」

「……忙しいところ、急に呼び出して悪かった。各自、仕事に戻ってくれ」


 A・アクター・アダムマン、B・ブレイカー・ブラックバレット、E・イーター・エラエノーラ、G・ゲーマー・グローリーグラディスの四人は、鹿羽の言葉に深く頷いた。


 そして、鹿羽、麻理亜、リフルデリカの三人は、この場から立ち去った。


(――――魔術師、リフルデリカ……、ですか)


 小さくなっていくリフルデリカの背中を見据えながら、少女――G・ゲーマー・グローリーグラディスは、リフルデリカに対してある感想を抱いていた。


(魔力量は大したことありませんが……、相当な技量の持ち主のようですね……。C・クリエイター・シャーロットクララの監視の下、下手なことは出来ない筈ですが……。私の方でも……、警戒はしておきましょう……)


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