表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨と...  作者: 無依
1/1

雨は晴れる

拙い文章ですがよろしくお願いします。

僕、天水(あまみず)時雨(しぐれ)には高校で付き合っていた彼女がいた。


彼女の名前は双葉(ふたば)芽愛(めあ)


双葉芽愛は綺麗なサラサラのセミロングが似合う黒髪で、笑顔が可愛い女の子だった。


芽愛とは高校2年からずっと同じクラスで、高2の初夏ぐらいに付き合い始めた。



眩しい夕日が差し込む夕焼けの教室だった。

誰もいなくなった教室でそんな雰囲気だったと思う。いつの間にか芽愛は距離を詰めて、僕の目を真っ直ぐに見つめていた。


「好き」


とただ一言だけ。僕の耳に響いてきた。僕も僕で芽愛のことを嫌いじゃなかった。女子の中でも1番中が良かったし、一緒にいて楽しかった。付き合うならこんな子がいいなと懸想したこともある。僕もきっと好きだったんだろう。


「僕も」


だから僕もただ一言好意を伝えた。


彼女の顔は照れて赤いのか夕焼けで赤いのか分からなかった。

僕の顔も赤かった、彼女がそれに気づいたのかは今となっては分からない。


そうして僕達は付き合い始めた。


今思えばすごいことだなと思う。もしどちらかが拒絶したら今まで仲良くしてきたことができなくなってしまう。変化は必ず良い方向に向かうとは限らない。僕達の変化は良いものだった。友達から恋人へとランクアップしたのだから。



最初は手を繋いだり、顔が赤くなったり、照れまくったり、愛い恋人だった。僕は初めてのことばかりで上手く接することができなかったかもしれない。


「可愛い」


芽愛はそう言って僕をからかう。可愛いだったとしても彼女に言われると途端嬉しくなった。


彼女には経験があったのかもしれないが僕は聞かなかった、聞きたくなかった。


でもそんな時間も楽しかった。深く彼女を知れたり、彼女が僕に合わせてくれたり、あーでもない、こーでもない、とりとめのない会話すらも、心ときめく逢瀬だった。


誕生日やクリスマス、バレンタインなどのイベントにはプレゼントを贈りあったり、お返しをしたり。恋人らしい事を一通りしてきた。


ペアアクセサリーや、マフラー。手作りチョコなど、安価なものだったけどそれでも僕達は、僕は幸せだった。



そしてその変化は悪いものでもあった。



いつだったろう。


それが当たり前でなくなったのは。


いつだったろう。


彼女の手が怖くなったのは。


いつだったろう。


彼女に話しかけられる度、上手く言葉に出来なくなったのは。


いつだったろう。


僕が僕でなくなるような気がしたのは。



嫉妬。


独占欲。


そんな醜い感情がだんだんと僕の心を塗りつぶしていった。


芽愛は元から男女構わず人気がある、いや誰とでも仲良くなれる器量がある。

だから女子に囲まれるだけでなく、男子と話すこともままあった。



本当にいつからだったのだろうか。


芽愛と会話をする男子に嫉妬し始めたのは。


本当にいつからだったのだろうか。


「痛いっ、時雨」


彼女の手を強く強く握りしめてしまうほどに強くなった独占欲が現れたのは。



その時やっと僕は我に返った。そして思い知った。僕の自分勝手な感情で知らぬ間に芽愛を傷付けていた事を。そんな自分がとても許せなかった。

彼女が好きという感情が彼女を傷付けた。それだけが僕の事実。


そこからは急速に浮かれていた熱が冷めていった、いや違う、無理やり冷ました。


だんだんと交わす言葉も減り、触れ合うことも減っていき。


卒業と同時に僕達の関係は自然消滅した。

卒業最後の日に、僕達は最後の邂逅を果たした。僕は申し訳なさでいっぱいいっぱいだった。


「ごめん」

「...」


芽愛は何も言わなかった。きっと愛想をつかしたんだ。その時の表情は分からなかった、見えなかった、いや、うん、見なかった。僕に彼女を真正面から見る勇気はなかった。



僕は僕から君を守るために....



いや、きっと僕の為だけに彼女から離れた。



そうして僕達の約2年の淡い恋は終わった。



ご一読ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ