『アルカディア』
遠い砂漠の果て――蜃気楼に浮かぶアルカディア
伸ばした手は遙か届かずに砂を掴む
ゆらめくアルカディアの威容に胸打たれつつ、
往く道の儚さに涙も涸れる
嗚呼、アルカディア
真実の理想郷
その姿を見る我は狂うたか
幻を見せる神の児戯に惑うたか
嗚呼、アルカディア
眩惑の理想郷
果てなき砂漠に浮かぶ蜃気楼
何処へ往かば辿り着くのか
何処に往かば巡り逢えるか
もはや己の正気すら疑いを待たず、
血潮を流すもアルカディアはまさにそこに見えたり
己の不明を呪うべきか
神の児戯を詛うべきか
果てなき砂漠に浮かぶアルカディア
虹の橋さえ見つけられると思えるほどに狂おしい
嗚呼、アルカディア
ひとの息吹にさえ宿る虚城
血潮を吸いし砂を噛みしめつつ我呪う
アルカディアの蜃気楼を見いし眼を我詛う
希望を見せしアルカディアを我呪う
絶望を齎せしアルカディアを我詛う
否、蜃気楼に惑わされし己自身をこそ呪詛うべし