表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

ルームメイトは王子様

 今俺の前には金髪のイケメンがいる。俺の寮生活のルームメイトなのだそうだ、流石東京外人が普通にいる事に感動した。俺の地元で金髪はヤンキーしかいないからな。


「やあ初めまして、僕はアーサー。よろしくね」


「サンキューベリーマッチ。マイネームイズ大介」


「何で変な言葉使ってるの?」


「なんでェ、日本語喋れるのかよ」


「最初から日本語なんだが・・・」


 アーサーはキラッと歯を光らせながら笑った、高身長で金髪のイケメンだった。おまけに何処かの国の第5王子とか言っていた、東京って王子とかも普通にいるんだな。都会ってスゲ~ぜ。


「しかし東京ってスゲ~な!豪勢な部屋だぜ」


「ハハハ、ごめんね。チョット魔改造しちゃった」


 この部屋は物凄く豪華なのだ、広さは20畳程で天井にはシャンデリアがぶら下がっている。家具はウオールナットの高級家具、絨毯は足首まで埋まる程のやつだ。ベットは室内なのに屋根が付いてる妙ちきりんな奴だった。これはアーサーの実家が勝手に改造したのだそうだ。でもまあお陰で俺も豪華な部屋に住めるので文句は無かった。


「なに、問題ない。俺は細かい事は気にしないからな」


「君がルームメイトで良かったよ、王子ってだけで普通に接してくれない人が多いからね」


「うむ、そう言えばアーサーは王族だったな。敬語を使った方が良いのか?一応敬語も使えるぞ」


「いや今のままで良いよ、僕は友達が居ないから普通にしてくれた方が有難い」


 俺は自分のスペースを確認してみた。部屋の中程に衝立が有り半分が俺の場所なのだそうだ、アーサー程の豪華さは無いがベッドと机が置いていた。俺の荷物は大型のバック2つなのでベットの下に入れたら引越し完了だった。貧乏人は荷物が少ないから引越しは楽で良いな。


「大介君って何処から来たの?」


「俺はキュウシュウから来たんだ、田舎者だけど宜しくな」


「キュウシュウってあの有名な蛮族の国かい?人外魔境とか言われている」


「失礼なやつだな!そこまで野蛮じゃないぞ。血の気の多いやつが住んでるだけだ」


 ネットでは色々言われているがキュウシュウは良いところだ・・・多分。貧乏人と血の気が多い漢が多いだけだ、歴史的に外敵が多いから戦士が多いのだ。口より先に手が出るだけだ、何も問題ない。


「そうだったのか知らなかった、ごめんね」


「うむ、俺だったから良かったが他の奴なら殴られてる所だぞ。アーサーは運が良かったな」


「えっ・・・・・・それってヤッパリ野蛮人なんじゃ・・・」


「ふむ、そう言えば都会の人間は余り喧嘩をしないんだったな。俺の地元じゃ日常茶飯事、常在戦場ってのが普通だぞ」


 その後アーサーに案内してもらって寮の食堂にやって来た。この学生寮は晩飯だけは寮で出るのだ、朝と昼は自前らしい。俺としては晩飯が出るだけで有難い、一日一食でも生きては行けるからな。


「ここが食堂だよ、晩御飯は6時から7時まで出るんだ」


「へ~バイキング形式なんだな、これなら腹一杯食えるな。一日一食で行けるぜ」


「人外魔境って一日一食なの?」


「いや、普通は2食だな。金持ちは3食たべるらしい」


「へ~そうなんだ。勉強になったよ」


 ここで俺は改めて東京の凄さを知った。この食堂にはコスプレした人間が沢山いたのだ。ネットでレイヤーが沢山居ることは知っていたが、人外魔境にはヤンキーと年寄りしか居なかったので本物は始めてみたのだ。

 猫耳や尻尾がある奴、角が生えてるやつ。目が赤かったりする奴はカラーコンタクトをしているのだろう。人外魔境ではカラコンを付けている人間は居なかったが、レイヤーが装着するのは知っていた。俺は情報通だからな。


「ほう、流石は東京。レイヤーが多いな」


「レイヤー?レイヤーって何だい?大介君」


「ぷぷ、レイヤーを知らないとは王子って俺より田舎もんだな。レイヤーってのはコスプレする奴らのことだぜ。尤も俺も実物は始めて見たけどな」


「へ~、人外魔境じゃ獣人の事をレイヤーって言うのか。勉強になったよ」


 話が噛み合って無いような気はするがまあ良いや、細かい事を気にする奴は小物だ。俺達キュウシュウ人は細かい事は気にしない、面倒だからな。

 寮の晩飯は美味しかった、バイキングなので好きなものが大量に食べられて幸せだった。ここは天国みたいな所だと思った。その後部屋に帰り風呂に入って寝た、本当は各部屋には風呂は無いのだが王子が無理やり付けたらしい、本当に王子って有能な奴だった。


「お休み大介君、明日から頑張ろうね」


「おう!お休み王子。良い夢を」


 さて明日から学校だ、俺は記憶力には自信が有るので学校には不安が無かった、しかし、俺は貧乏なのだ。特待生なので授業料は免除だが、寮費は自力で稼がなくてはいけないのだ。つまり明日からバイトを探して働かなくてはいけない、バイトしなければ野宿になってしまう。


「でもまあ何とかなるよな、大都会だもんな。時給がウハウハなのが有ると良いな」


 人外魔境から出てきた大介は非常に田舎者だった、それに全く周りを見ない男だ。猫耳や尻尾を付けたり3m位ある巨人が居ても全て大都会だから当然と思っていた。

 そもそもここは東京なのか?東京って魔法を教える学校が有るのか・・・・・・いや!そもそも地球に魔法って有るのか?


 そんな当然の疑問も大介には関係無かった、彼にとって大切なのはバイトのみ。バイトして金を稼がなくては学生生活がいきなり詰むのだ。人間食べなくては死んでしまう、死んでしまえばそこで終わりだ。つまり死ななければチャンスは有るって訳だ、他の事は仔細な事なのだ。人生で一番大事なのは食べる事。他の事は食べられる様になった後で悩む事にしよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ