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大介上京する

 俺は今夜行バスに乗っている。この春から通う学校に行くために上京しているところだ。俺の生まれた所は人外魔境とか言われている田舎だ、人口40万程度の地方都市だったので人口の半数以上が高齢者でしめられており高校を卒業しても働く場所等ない僻地だ。いや・・・働くところは有ると言えば有る、初任給12万でボーナス昇給無しのブラック企業だが、そしてこの人外魔境では公務員が貴族としてもてはやされている様な所だ。だから俺は東京に行くのだ、そして大学を卒業してホワイト企業に就職するのだ。


 深夜バスに乗って高速を走る、流石に眠くなって来たので寝ることにする。明日の昼頃には大学に着くはずだ、そして俺の大学生活が始まるはずだ。では皆さんお休みなさい。


「東京ってスゲ~!」


 俺は東京に着いて早速感動していた。東京は高さ20m程の壁に囲まれていて入口は槍を持った兵士が守っている所だったのだ。


「流石は東京、テーマパークみたいになっているのか。俺の住んでるところにはこんなもの無いよな、金が掛かりすぎるアトラクションだ」


 入口の兵士に身分証明書を見せろって言われたので俺は運転免許証を見せた。そうしたら物凄く変な顔をされた。田舎では運転免許が無いと簡単に死ねるので皆持っているのだ。


「何だこれは?ギルドの身分証明書は持ってないのか?」


「田舎から出てきたばかりでギルドとかには入っていません」


「そうか田舎から出てきたばかりなんだな、何をしに来たんだね?」


「東京魔法学園って所に春から入学するんで来ました」


「ほう~、見かけによらず優秀なんだな。証明するものを何か持っているか?」


 俺はバックから入学案内を出して兵士に見せた。そうすると簡単に納得して東京にいれてくれた。東京ってのは流石に大都市だけあって簡単には入れてくれないようだ。それに公務員のはずの兵士まで真面目に仕事をしてるようなので感動した。田舎では公務員は貴族なので仕事なんかしないからな。


 石畳の町並みをジロジロ見ながら歩いて行く。東京って大都会なので大きなビルばかり建っていると思っていたがここら辺は2~3階建の木造の建物ばかりだった。車も全く走っていない、皆徒歩とか馬車ばかりだった。

 やっぱりあれかな?都市計画とか有って車の乗り入れ規制とか建築物の高さ制限とか有るんだろう、それで街並みが中世のヨーロッパか明治初期みたいになってるのだろうな、流石は都会って所だな。


 一見して昔風に見えるが中々おしゃれな場所だった。それに俺の住んでいたところは車で30分も走れば人よりも狸の方が多い様な場所だったのでここより遥かに田舎だったのだ。


 3時間くらい歩いただろうか、俺はやっと魔法学園に着いた様だ。田舎者なので3時間くらい歩くのは平気だった、車が無ければ歩いてコンビニまで3時間とかは普通だしな、田舎って奴は。勿論俺は田舎の中でも県庁の直ぐ傍に住んでいたからコンビニは歩いて5分の距離に複数ある都会っ子モドキ(笑い)なんだがな。


 そして学園の入口にも兵士が立っていた。やっぱりあれか?東京って物騒だから警備が厳重なのか?それともオリンピックが近いから警備が厳しいとか?

 まあどちらにしても鍵をかけずに外出するのが普通だった俺の住んでいた所とは違う様だな。田舎が鍵を掛けない理由は人が居ない事ともう一つ、家の中に金目の物がないからだ。なにせ皆貧乏だからわざわざ盗みに入っても米と野菜位しか無いのだ。それによそ者が来ると凄く目立つのだ、人間よりも狸や猪の方が遥かに多い土地だからな。


「すいません、学園の寮に行きたいんですけど・・・」


「うむ、君は学生さんかな?身分証明書は持ってるかね?」


「入学案内なら持ってます」


 俺はまたもや入学案内を衛兵に見せた。運転免許証はダメみたいだからしょうがない、東京には東京のルールって奴が有るのだろう、俺の住んでた田舎にも色々なローカルルールがあったからしょうがない。郷に行っては郷に従えって言うしな。


「凄いな君は特待生なのか!随分優秀なんだろうな」


「いえそれ程でもないです」


 そう、俺は特待生で入学するのだ。理由は簡単、家が貧乏だから学費免除の学校にしか行けなかったのだ、そして俺が入れそうな学校はここしか無かったって訳だ。一応旧帝位には入れる学力は有ったが、旧帝で特待生は無理だった。授業料免除の学校の寮に入ってバイトで寮費を払って学校に行くという壮大な計画を俺は持っていた。体力だけは自身が有るのだ、勉強は嫌いだけどな。


「寮はここを真っ直ぐ行って右側にある3階建ての建物だ。頑張れよ少年!」


「ありがとうございます」


 人の良さそうな衛兵さんに見送られて俺は寮へと向かった。これから卒業まで4年間暮らす所だ、友達が出来れば良いな。まあ出来なくても平気だけど、俺はボッチが大好きだからな。


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