神様が興味を示したのは、中学校だそうです
完成版
ここは、日本のどこかにある、とあるど田舎の中学校。
生徒は4人。
教師はたったの1人。
これは、学校と呼んで良いのでしょうか?
いや、でもまぁ、学校と呼んでいるのだから、学校なのでしょう。
しかし、やたらこの学校はうるさい。
近所迷惑もいいところでしょう。
さて、少し気になるし、どうしましょうか?
少し覗いてみましょうかね。
あ、自己紹介が遅れましたね。
私は人間からは神と呼ばれている者です。
これから、少し長い付き合いになりそうだ。
どうぞ、よろしく頼みますね。
さて、校舎.....と、呼べるのだろうか?
なんと言えばわかって貰えるだろうか?
説明がとても難しい、そう、あれだ。
高床式倉庫だ、高床式倉庫をご存知だろうか?
説明するには、この建物が1番しっくりくる気がする。
さて、中から何やら声が聞こえる。
相変わらず、うるさいですね。
中を覗いて見ると、男子が2人女子が2人仲良く喋っています。
うん、なかなか普通な子達に見えますが....。
ここでは、会話の内容までは聞こえませんね。
中に入ってみましょう。
あぁ、そう言えば4人の名前を紹介していませんでしたね。
メガネをかけ、一見大人しそうに見えるあの子は、広瀬 たかし。
漢字は無いのかって?
申し訳ない、神様ちょっとバカなんだ。
許してちょんまげ。
さて、もう1人の男子、不良をイメージさせる目つきの悪さと、常に怠そうな表情をしている彼は、川崎 りゅうと。
なんだって?
また聞くのか。漢字は神様ちょっとバカだから、書けないんだ。
だから、許して?
次に行こうか。
何考えてるのかわからない無表情と、四六時中、睡魔に襲われてる顔をしてるのは、長谷部 ひじり。
だから、漢字はもういいって。
物静かそうで、この中で1番常識を持っていそうな彼女は、中久保 ゆうか。
この4人が、この学校の生徒全員だ。
もう午前10時なのに、授業が始まってない、というか教師が来ていません。
まったく、あの子は....何をやっているんだか.....。
と、思いきや何やらドタドタ聞こえてきましたね。
来たようです。
「ごめーんっ!!!寝坊した〜!!!」
「おーうっ!来たな!いずみちゃん!」
「また、寝坊かよ!!そろそろ本当に目覚まし3つに増やした方がいいやろ。」
「Zzz......」
「あ、おはようございます。」
すごいですね.....。一言、喋っただけなのに、誰が何を言ったのかすぐにわかってしまいますね。
あ、そうそうこの学校の唯一の教師、私が祀られている神社の神主さんの1人娘です。
だから、あの子が幼い時から私はあの子を見ています。
朝寝坊する癖は治りませんね。
また、名前を紹介し忘れていましたね。
彼女は黒瀬 いずみ。
さっきも言ったとおり、黒瀬神社の1人娘。
おや、そう言っている間に授業が始まるみたいですね。
観察してみましょう。
「はい、遅くなったけど授業始めますよ!ほら!ひじり!ちゃんとしなさい!!」
「......いずみちゃんだけには、言われたくない。」
グサッ.....。と、音が聞こえましたね。
さとかのクリティカル攻撃。
いずみは倒れた。
いや、先生弱いですね。
「ほら、いずみちゃん始めなくていいの?あとで、みんなでいずみちゃんの3つ目の目覚まし時計買いに行ってやるから!」
「ありがとう、りゅうと.....。」
生徒に慰められてる先生、神様初めて見た。
まぁ、この教師のプライド0って雰囲気が場を和ませているのでしょうね。
これはこれで、立派な教師なのかもしれませんね。
「早く、授業やろー。今日は数学と国語だろー?」
「そ、そうね。はい、みんな数学の教科書36ページを開いて。」
「いずみ先生.....昨日、そこやりました...。」
「あ、あれ...そうだったっけ?」
ほんとに、しっかりしなさい黒瀬 いずみ。
この学校がうるさい原因は生徒だけではなく、先生にも原因があるみたいですね。
「よしっ!今日の授業はここまで!みんなで目覚まし時計を買いに行こー!!」
「うーい。」「はーい。」
「あいよー。」「はい。」
先生も子供と同レベルというより、先生の方が子供なんじゃないでしょうか?
ほんと、大丈夫なんですかね?
この学校。
しかし、目覚まし時計なんてどこに売っているんでしょうね?
周りを見回して見ても、田んぼと畑があたり一面にあるだけですが......。
「すっげー、おい、見てみろよ、たかし。ひじりが立ったまま寝始めた。」
「おいっ!!なんで、起こさないんだよー。1回寝始めると、なかなか起きないの、知ってるだろ?」
「いや、実はそーでもないんだわ。ちょっと見てろよ?中久保さん、頼む。」
「え、私ですかっ!?」
「いや、中久保さんじゃなきゃ、ダメなんだって、ちょい耳貸して。」
何やら、耳打ちしていますがどうしたのでしょう?
おやおや、それに気づかない、いずみちゃんは、1人でどんどん進んじゃってますね。
あの子、道わかるんでしょうか?
たしか、あの子は方向音.......。
いや、考えるのはやめましょう。
神様だって、考えたくない事の1つや2つ、あります。
「え、それほんとにするんですか?」
「いいから、いいから!やってみ?」
「え、えぇ.....じゃ、失礼して.....。」
何をするつもりなのでしょう。
と、思っていた刹那!!
ビターンッ!!!!
強烈な平手打ちが、ひじりちゃんの左頬にクリーンヒット!!!!
「起きんかぁぁぁぁっ!!!!」
続けて、耳元への爆音で追撃!!
これだけされて目覚めない人はいないでしょう。
ビクッ、として起きたはいいものの、現状を把握してない様子ですね、これは。
「なんで、家の起こし方、知ってんの?」
衝撃の一言。
まさか、毎朝こんな起こされ方をされていたとは.....。
長谷部家恐るべしです。
「いやぁ、俺近所のかぁちゃん達と結構、仲いいんだよね。それで、話してたら、ひじりの話になって、その話聞いたんだ。まさか、使う事になるとは思わなかったけどな!」
「それ、私にやらせる意味あったんでしょうか.......?」
「あるに決まってんじゃん!女に起こしてもらってるんだから、女が声かけた方が起きやすいだろうと思って。」
理由めちゃくちゃな上に、大した効果もないと思いますが......。
「うち、起こすのは父親だよ?」
「なんだって!?母親から、その話聞いたんだぞ、俺!!」
「あぁ、母親は私と一緒。起こされる方。」
「父親から毎朝ビンタくらってんのかよっ!!?痛そうだな、おいっ!!」
「あぁ、めちゃくちゃ痛てぇぞ?1回受けてみるか?」
「「「遠慮しときます。」」」
「あれ?そーいや、いずみちゃんは?」
あ、よーやく気付きました。
できるだけ、早く探してあげて欲しいものです。
「ま、いっか。腹が減りゃ返って来るだろ。
」
「そーだな。」「そーですね。」
「そだなー。」
のぉぉぉぉぉぉぉ!!!
ダメですって!!
あの子の方向音痴は筋金入りですよ!?
と、声をかけたくても、私の声は届きません。
「ま、今日は帰ろっか〜。なかなか楽しかったし。」
「ご飯、食べに行こう。今日の晩ご飯、なんだろ?」
「なんでしょうね、何であったとしても美味しいんですけどね!!」
「そーだなー。」
この子達は、同じ場所で同じご飯を食べるようですね。
それは、とても良い事だと思います。
おや、もうこんな時間ですか。
私も神社に戻らなければ。
夕ご飯時、この小さな町からは4人の笑い声が絶え間なく続いていました。
あ、そうそういずみちゃんは、農家のおじさんに拾われて、晩ご飯に間に合ったそうです。
それでは、また。
はじめまして!!
楽しみながらかけたらいいと思っています。
こんな日常、あったら面白いのにな、と思ってますw