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無月島 ~ヒツジとオオカミとオオカミ使いのゲーム~  作者: 天草一樹
第一章:視点はだいたい橘礼人
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A班の事情

A班・・・白石・牧・藤里・音田・伊吹・黒崎チーム


「みんな集まったね。それじゃあこれからの僕たちの行動を話すよ。僕たちA班はこの無月館の中の捜索をする。オオカミ使いの話だと、この館の中には危険な武器がたくさんあるらしい。そこで僕たちが優先してやることは発見した武器をすべて今いるリビングに持っていくことだ。場所だけ特定して、オオカミ使いが現れた際にうまく利用できるように放置しておくっていうのも考えたけど、オオカミ使いにはこちらの動きを把握する術があるみたいだからね。放置するよりも一か所に集めて相手に渡さないようにしたほうがいいと思う。それと、あまり気分はよくないかもしれないけど、単独での行動は慎んでね。誰がオオカミなのかわからない以上、あまり自由に行動してもらうと困るし、オオカミ使いに襲われた際に危険だからさ。何か質問はあるかい?」


白石が主な行動内容を説明し終え、皆の意見を聞こうとする。すると、突然黒崎が意味不明なことを口走った。


「……追われるヒツジが逃げるには、地を掘り空を飛ぶしかない……」

「黒崎さん、それはどういう意味かな?」


 白石が困惑しながら黒崎に聞き返すも、黒崎は答えることなく宙をボーっと見つめるだけで反応しない。

 白石が途方に暮れてほかのメンバーを見ると、牧がめんどくさそうに言った。


「そんな女放っとけよ。それよりどうせやることはオオカミ使いを捕まえることなんだ。お前の指示に従うのは癪だが、さっさとこの館ん中を調べようぜ」

「そうですねぇ、私も天さんに賛成ですぅ。あ、天さんって下の名前で呼んじゃった。うふふ」


 藤里は白石の腕に胸を押し付けるようにして引っ付いている。その様子を見て牧がイライラしたように、白石をせかす。


「ほら、さっさと行くぞ。どうせここにいたって何も始まらないんだ」


 白石は腕に張り付いている藤里に戸惑いながらも、いまだ何も聞いてこない音田と伊吹のほうを向く。


「二人とも、特に意見はないかな? 牧君は早くこの館の中の捜索をしたいみたいだし、意見がないなら今すぐにやろうと思うんだけど」

「はい、意見は特にありません。強いて言うならどこから捜索を始めるのか気になるくらいであります」


 音田がさりげなく質問を加えると、白石は苦笑しつつ答えた。


「音田さん、質問ありがとう。そうだね、とりあえずオオカミ使いが消えた地下から探していこうと思ってるよ。地下はお風呂場や物置とかいろいろ仕掛けがありそうな場所だったしね」


 音田はいかにも納得したというように大きく頷くと言った。


「なるほど。まずはお風呂に入ってゆっくりしたいということですね。それではさっそく向かいましょう」

「あ、私もお風呂入りたーい。確か無月館のお風呂ってすっごく大きくて、めちゃくちゃ気持ちよかった気がするしー」


 藤里が音田に同意すると、二人はさっそくリビングから出て地下に向かっていった。


「あ、二人とも勝手に動かないで! そうだ、伊吹君は何か質問は……」


 白石が伊吹のほうを振り返ると、そこには伊吹の姿はなく、すでに藤里たちに続きリビングから出ようとしていた。

 やや取り残された感じの白石の姿を見て、牧がにやにやしながら白石の肩をたたく。


「どうやらかなり面倒なメンバーを押し付けられたみたいだな。まあせいぜい頑張れよ」


 牧はそう言い残すと、白石を置いてリビングから出て行った。残った白石は、いまだ宙を見たまま微動だにしない黒崎を見て一度大きなため息をついた後、黒崎の手を無理やり引っ張って彼らの後を追っていった。

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