第三章 失敗と成功
お待たせいたしました。第3章のスタートです。
僕の前に黒いワゴン車が止まった。中からは、服装が黒で統一され、サングラスをかけた三人組が降りてきた。
「大野慎二様ですね?この度は、ご利用ありがとうございます!」
一番背の高い男が、サングラスをとり、不気味なくらいの笑顔で僕に言った。そして名刺を僕に差し出してきた。名前は”千野”さんと言うらしい。残りの二人も同じように名刺を僕に差し出した。一番小さい人が”岡谷”さん。一番太っている人が”諏訪”さんと言うそうだ。でも、そんな格好で、そんな言われても、物凄く違和感を感じる。
僕は、依頼料の入った茶封筒を、千野さんに渡した。
「まいどどうも!では中へどうぞ。」
そう言うと、彼らは、僕を車の中に誘導した。僕はためらうことなく、車に乗りこんだ。
「では、先日の打ち合わせ通りでよろしいですね。」
千野さんが日程の書かれた紙を僕に見せながら言った。僕は、同意の意味で軽く頷いた。それを確認した千野さんは、エンジンを始動させ、黒いワゴン車を発進させた。
出発してから約5分、車は清子ちゃんの家の少し手前で止まった。
「大野様。少しここで待っててくださいねー。」
千野さんが笑顔でこう言うと、残りの二人を引きつれて清子ちゃんの家の方に向かっていった。でも待っていてくださいと言われると、僕は余計に様子を見てみたくなる。僕は車のドアを開け、ゆっくりと、清子ちゃんの家に近づいた。そして家のドアに耳をあてた。
「ここにいるのはわかってるんだよ!」
家の中から怒鳴り声が聞こえた。多分、千野さんの声だろうな。それにしても迫力ある声だな。
「きゃぁー!!」
この悲鳴、清子ちゃん!?一体何してるんだよ。僕がそう思ってると、人がドアの方に歩いてくるのが聞こえた。僕は急いで車の中に戻った。
「ガチャ。」
ドアが開いて、千野さんが中から出てきた
「お前ら!!清子をどこに連れていく気だっ!!」
車の中だから聞きくいけど、この声は多分、石井くんだろう。
「今は分からないだろう。だがお前にも、時期に分かることだ!」
こう言った後、千野さんが誰かを抱えながら車に戻ってきた。ワゴンの扉を開け、抱えてきた人物を僕の隣に座らせると、千野さんは言った。
「じゃぁ、行きましょうか。」
千野さんは、不適な笑みを浮かべながらワゴンを急発進させた。
「残りの二人は置いてっていいんですか?」
「大丈夫ですよ、大野様。心配なさらなくても。」
僕の問いかけに、千野さんは当然の様に答えた。僕は、自分の隣に座っている清子ちゃんの顔を見た。恐らく睡眠薬でも飲まされているのだろう。ぐっすり眠っている。これで僕は清子ちゃんを手に入れたわけだ。でも、こんな方法を使って良かったのだろうか。僕の心には、少なからず罪悪感があった。
あれ、僕、眠ってた?いつのまに。今何時だろう・・・、7時23分?もう朝になったのか。でも、あんまり明るくないなー。そういえば、ここってどこ?薄暗くてよく見えない。少なくとも僕が指定した場所ではないことは確かだ。四方が壁に囲まれてて、出口らしき物は2箇所しかない。しかも、どっちの出口も鍵が掛かっていて、そう簡単に出られないようだ。
僕が脱出方法について、あれこれ考えてていると、僕は部屋の壁に、二人の人影を見つけた。僕は、のっそりと、その人影に近づいてみた。
「どっどうなってるんだ?」
僕は、今、自分が見ているものが、とてもじゃないけど信じられなかった。予想外だった。
”おはようございます。今日は、1月31日、木曜日です。”
テレビは、そう伝えている。”さやこ”が誘拐されてから、もう4日も経つのか。あの時、俺にもっと冷静に行動していれば、連れ去られることもなかったかもしれない。あの後、俺は一日中、”さやこ”を必死に探しまわった。けど小さな手がかりすら見つけられなかった。警察にも捜査を依頼した。でも、まだ居場所は見当もつかないとのことだった。
とは言っても、他人から見れば、何の変化もない日常に見えることだろう。なぜなら、俺の席の隣には、いつもの様に、清子の姿があるからだ。
4日前の事件で唯一の救いは、あの時、清子がトイレに入っていた事だ。だから、奴らには気付かれず、清子は誘拐されなくて済んだのだ。あれから4日間、俺も清子も、いつも通りに学校に行って、部活をこなしてきた。そうして4日前の悲劇を忘れようとした。
今日も、今までと同じ様に、俺は誰もいない教室に入って清子の事を待っていた。
「おっおはよう。」
清子が教室に入ってきた。俺は今までと同じ様に挨拶を返した。
「あのさ、健ちゃん。」
清子が俺に聞いてきた。俺が何かあったかと聞き返すと、清子は予想外な言葉を俺にぶつけてきた。
「私、また増えちゃた。ごめん。」
テスト勉強の次は資格試験の勉強てな感じで更新が、かなり遅れてしまいました。今回はかなり短めに作ってあるので少し物足りないかもしれませんね。本当にすみません。