プロローグ
エタると思います。
その日、会社から帰宅した加藤淳司はマジック&ブレイドオンラインをプレイしていた。
いつものように日課をこなした後、ギルドメンバーとチャットをしていたところ、自分が見たこともない場所にいることに気がついた。
「よーいちさんの運のなさは異常、とって・・・・・・あれ?」
持っていたコントローラーがない。
椅子に座っていたはずなのに、月明かりしか光源がない暗い森と思しき場所で淳司は佇んでいた。
(え?え?)
淳司は呆然自失となった。
ふと自身を省みると、手先がモフモフとしており、スティックのようなものを握り締めていることに気が付いた。
(ぬお、これは・・・・・・)
そう時間は掛からず、淳司は自身がマジブレの自キャラと同じ格好であることが判った。
「マジブレの世界に・・・・・・?」
淳司は異世界転生物の読み物が大好きだった。
異世界転生物はいくつか種類があるが、ゲーム内に入るパターンとゲームにそっくりな世界に転生または転送されるタイプがある。
淳司はそのどちらかであると推定した。
「俺のかっこ、完全にアリスだな。鏡ないけど顔も一緒なのかな。おっぱいはまあアリスだなこれは。」
淳司はアリスというキャラでマジブレをプレイしていた。
女性キャラクターである。
所謂ネカマプレイをしているわけではなかった。
以前プレイしていたオンラインゲームで男性キャラクターの装備があまりにもアレだったので、それ以来女性キャラクターを使うようにしているのである。
アリスでは主に回復職の神官でプレイしており、現在淳司が着用している服や装飾品はアリスが装備していたものと同様だった。
「システムコマンド・・・・・・なし。ステータスウィンドウ・・・・・・なし。・・・・・・マジか。」
ここがマジブレの世界なら使えるであろう、システムコマンドやステータスウィンドウ呼び出しを試してみるが、頭の中で念じてみても反応はなかった。声に出しても同様だった。中空で指を突き出しても変化はなかった。
「魔法はどうだ。『コッチ!』お、なんかエフェクト出た。」
マジブレの魔法を試してみる。対象の防御力を上昇させる呪文を唱えてみると、淳司は土色の光に包まれた。
「うーむ。まあマジブレ確定だな。まだ夢の可能性もあるけど。」
"世界の検査"を行っている淳司の元に魔物が迫っていることに、淳司はまだ気が付いていない。




