表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
左遷艦隊  作者: マーキー
左遷されたエリート
4/50

基地

 多田野は第12独立艦隊の旗艦となるヨーテイの中に入った。

 士官学校の練習艦以来の揺れに少し足を取られながら、多田野は司令私室を探し当てる。

 司令とはいえ、基地を持たない多田野にとって、今日から、この艦が基地となる。

 多田野は自らの居城となる部屋を見回し、質素ではあるもののベットに小さい書き物机、洗面台まであり居住性は良さそうだと少し安心した。

「失礼いたします。提督。神城です。」

 提督という呼称にどこか、こそばゆさを感じながら、多田野はドアをあけた。

 彰子の横にツインテールの可愛らしい少女が隠れるように立っている。軍服を着ているということは18才にはなっているはずだったが、まだ、学生だといっても通じるような幼い顔立ちをしていた。

「申し訳ありません。副官と男性の従卒は確保出来ませんでした。井上麻里奈伍長です。司令の従卒としてお使いください。」

 彰子は申し訳無さそうに頭を下げた。

 扶桑帝国海軍において、従卒は同性の下士官が務めるのが慣例となっていた。

「人員配置で、なにか問題が。」

「遠藤司令の仰ったように人員不足により、副官を務められる階級の者は皆、各部署の責任者を務めておりまして艦の運営ギリギリの人数しか…。僅かな補充兵も昨今の女性進出運動の高まりで女性ばかりでして…。」

 井上が不安そうにこちらを見て、話の行方を見守っていた。軍令部も人員配置について黙認している以上、こんな辺境の艦隊に正規の人員自体回す気はないのだと、半ば自嘲気味に考えなおした多田野は、目の前のこの少女には何も罪はないと井上に微笑みかけた。

「自分は気にしない。井上伍長。よろしく頼む。」

「はい。提督のお役に立てるよう努力します。」

 井上の顔が明るくなった。

 彰子がほっとしたように井上の肩を叩き、それからまた姿勢を正した。

「司令。甲板上に当艦の全乗組員と他の2艦の艦長以下主だったものを集めました。着任の挨拶をお願いいたします。」

 多田野は仕事が出来る部下を持ったことを嬉しく思いながらも、早速、提督という仕事に面倒臭さを感じ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ