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私の日常どこへ行く  作者: はしこ
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謎の女占い師、もう占い師じゃねえよこれ・・・

夕暮れの海岸、真っ赤に染まる海の波際で私はイケメン男子と走っていた。

これは、私の夢見るシチュエーションだ。

――ヒナター待てよーあははー

――やだー待たないーあははー

――待てよーヒナター

――いやだーその手に持ってるロープがある限りどこまでも逃げるー

――待てよーまてよまてよまてよマテマテ待てマテ

――あははー怖すぎて笑っちゃうーマジで誰か


「助けて!!」

私はそう叫んだ。笑い声が起こった。寝ぼけ眼で周りを見渡すと、ここは慣れ親しんだクラスではないか。担任の尾崎先生が静かに問う。

「・・・何か言うことはないか?」

何か言うこと・・・そうだ、ここは言っておくべきだ。

「良かった!!夢で!」

「そっちか!!ホームルームで寝るな!!まず謝れ!!」

私はけだるげに

「あーさーせんしたー」

謝ったが先生は表情を変えず

「・・・そう言えば、プール掃除は人が足りないと言っていたな・・・」

「先生、誠に申し訳ありません。どうかお許しください。」

「お前のぶれ方はどっかの局次長と通じるものがあるな・・・」

びみしんぼうですね、はいわかります。昔は反抗してたのに今は社主の犬になってるもんな・・・

「今日のホームルームは終わりだ。みんな、気を付けて帰れ。」

言うとみんなカバンを持ってわいわいと教室から出る。いつも私にくっついてくる悟は女子に囲まれて何か話している。ちっ・・・リア充が。

「緑ちゃーん、つっきー、かえろー!」

「うん!」

「桜さんが一緒でもよろしいですか?」

「もちろん!あ、大地君誘う?」

つっきーが真っ赤な顔で俯く。あーもう、この子かわいすぎ!!

「大地君―!一緒にかえろ!」

「うん!帰る!!なー公園に寄ろうぜ!リアルかくれんぼしたい!」

「リアルかくれんぼ?」

聞いたことがない。それに中学生でかくれんぼって・・・やるものなのかな?とりあえずルールを聞いてみよう。

「それってかくれんぼとどう違うの?」

「基本一緒!でも隠れるところの範囲がないところ!」

「鬼になった人がかわいそうだね・・・」

「そいで鬼は全員見つけるまで帰っちゃいけない!」

「それ、考えた人が鬼だわ」

絶対やりたくないな・・・思ったけど鬼が見つけないと帰れないってことは隠れる人も帰れないってことか・・・まさに鬼畜!!

「まあ普通の鬼ごっことかでいいよ」

大地君の考える遊びは何故こんなにも未知なるものか、と考えてしまう。

「鬼ごっこ?あれだよね、お互い鬼となってシュラになるんだよね!」

「何でこの子は基本的な遊びすらわからないの・・・!」

馬鹿なの?ねえ、この子バカなの?

「だ、大地君、それ、誰に教えてもらいました?」

つっきーが耐えかねて聞いてみる。大地君は不思議そうな顔をして

「何かマスクして自宅警備員っぽい人!」

あいつ(山田さん)か―――!!!ほんと、悪影響しか与えてないあの男!私は真剣な目で

「もう、存在すら忘れた方がいい」

「え、そこまでするの?」

大地君が間違えた知識を覚えないため、言う。彼は存在するだけで凶器、いや、妖刀となる。村正とかそんなんじゃない。もっと凶悪で最低の凶器となる・・・!

「ねーねー帰ろうよー」

緑ちゃんが袖をひっぱる。

「あ、そうだね。とりあえず大地君、遊びは私たちが考えるから大地君は実行して」

大地君は目をキラキラさせて

「うん!わかったー!」

・・・この子、純粋に育ってほしい。周りが周りだけに、切実に思った。





「わー!公園だー!わー!わー!」

「初めて公園に来た5歳児か!」

大地君にツッコんだ。一緒に来ているみんながほほえましく見ている。ほんと、子供だな・・・心配するほどに。かわいいし、さらわれたりしないかな・・・ま、だいじょ

「ふむ、君はヒナタ君の友達、だな」

・・・ぶじゃない!!私は全力で走る。

「山田さん・・・この子と関わるの、やめてください」

「ふむ、このシチュエーション、赤子ができたまま姿を消して十年ぶりに我が子を連れた女性と夫がでくわした・・・燃えるな」

「やめろ、想像したら殺したくなるくらい気持ち悪い。」

「それは殺したいほど好き、と言いたいのかな?」

「・・・」

「ヒナタちゃん、静かにコンパス持たないで。」

緑ちゃんが声をかけてくれたおかげで私は正気を取り戻した。山田さんが私をじっと見ていたがちらっと時計を見て驚く。

「これは・・・私は去ろう。ではまた会おう、ヒナタ君」

そう言って足早に去った。緑ちゃんは目を丸くして

「何か用事があったのかな・・・」

「いや、多分あれは、セーラーサンの再放送の時間に気付いたんだよ・・・」

「ふーん、助かったね」

「うん、かなり」

ってか何気に毒はいてる、緑ちゃん。つっきーは

「あの御方は・・・ヒナタさんのことを・・・?」

「本気かは知らないけど、害悪」

「迷惑通り越したな・・・」

タツ君が驚いたように言う。

「まあいいや、それより何して遊ぼうか・・・って」

電柱に何かいる。何かでっかい水晶玉持ってる。あれは・・・

「みんな、行こう。そしてこの公園は一生来てはいけない」

「え・・・?どうしたのですか?ヒナタさん・・・?」

「お困りのようですね」

「!!」

大地君以外が息を呑む。いつの間にこんな間合いを詰めたんだ・・・!?

「でしたら、占いをしますよ。」

ニコニコしながら女性占い師は言う。・・・来てしまった・・・!

「え・・・占いって・・・」

興味を持ったのか、緑ちゃんが恐る恐る尋ねる。占い師は一瞬目を光らせ

「なんでもです、恋愛も、将来も、金運もなんでもただで・・・占いますよ」

「た、ただ・・・!」

「行こう、この人当てにならないから、マジで行こうよみんな!!」

「ふふふ・・・さあ占いますよ、あなたからいいですよ、どうぞ」

「え・・・健康面を」

「そうですか・・・まあ当分元気かと。あと風邪を一、二回引く程度ですね」

おい、それ占いじゃねーぞ。ただの勘と当然のこと言ってるだけじゃねーか。てか

「何で・・・水晶玉使わないんだよ・・・!」

そんな言葉を無視してつっきーに向く。

「わ、私は・・・その、恋愛運を・・・」

「・・・!!」

隣にいるタツ君がびくっとする。気になるんだろうなー。

「恋愛運ですか・・・うまくいくとお告げが聞こえます。」

「・・・!!」

お告げって・・・何か占いと違うんじゃね?

つっきーが真っ赤になって嬉しそうに頬を隠す。タツ君も乗り気なようで

「お、俺も、恋愛運を・・・!!」

「あ、ふられます」

「・・・」

おい!一言でさらっと言うな!!確かにフラれるかもだけど、はっきりと言うな!それ占いじゃねーよ!もうただの預言者だよ!

一人で遊んでたほこりまみれの大地君が駆け寄ってきて

「何やってんの!?俺も混ざる!!」

占い師は見てから、一言

「この子はバカです」

「それは納得するわ」

この占い師・・・ただ者ではない・・・!

「さあ、次はあなたですよ。ヒナタさん」

「うえー・・・」

占い師は今まで使わなかった手を水晶にかざしうんうん行ってそれから、劇画チックな顔になり

「な、なんてことでしょう・・・」

とか言いだす。私は嫌になったがもう逃げれない。聞くことにしよう。

「あなたは、かのノブの生まれ変わり・・・そしてあなたにはさまざまな試練が待っている・・・試験、受験、試験、受験、試験、受験、試験、じゅけ・・・」

「おい待てや。何回私は受験するんだ。大学?高校?」

「どちらも・・・」

「いくらなんでも高校ぐらいは行けます!」

「ふふ、強がっても無駄よ。」

「行けます!ねえ!みんな!!」

大地君「そうだ!俺と同じ学校行くぞ!!」

つっきー「・・・今から必死で頑張りましょう!!」

タツ君「・・・みんな勉強教えてくれるぞ」

緑ちゃん「死ぬ気で頑張れば少しだけ可能性があるよ!!」

・・・何か、涙が出てきた。占い師さんはふっと笑って

「いい友達ね(笑)」

「ば、バカにしないでええええ!!」

私は泣きながら公園を走り去った。


その夜、二時まで勉強して午後三時まで寝てしまい、母と担任にめっちゃ怒られた。


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