運命に抗う先生と川のように身を任せる私
「あー眠い、眠すぎる」
「ヒナタちゃん、本当に眠そうだね」
「まーねー昨日漫画読み漁って気付いたら四時だったんだ」
「ちょっとしか寝てないね」
驚いたように彼女、夏野緑ちゃんが言う。この子、おっとりしてるから癒されるんだよね・・・
「何の本読んでたの?」
「・・・エンゼルバン○」
「ずいぶん渋い本だねー」
中学生でわかるんだね、この本。
「私は北斗の券読んだよー」
「そっちも十分渋いわ」
「こんな紙切れ一枚で当たるなら、当たりなどいらぬ!ってセリフ泣いちゃったー」
「泣く要素が見つからない」
などとわいわいしゃべっていと私はふと思った。
眠い、このままでは授業はできない。そして北斗の券でのキメ台詞。
流れに身を任せ、人を翻弄させ、私は蝶のように舞い飛ぶ!
雑魚キャラのセリフだ・・・よし。
今、私は流れに身を任せている。
そう、それは川の流れに乗っているように。
無心であり、それでいて己の意志で。
心は清らかで、濁りの無い――何か邪悪な気配!
「そこの寝ている奴にぃぃ!!チョーク喰らえ!!」
「全力で回避!!」
首だけよけると頬すれすれにチョークが飛んできた!あぶな!!
目覚めると、授業中だったことに気付く。私は先生に言う!
「先生!清らかに寝ている生徒にチョークを投げるのは良くないです!」
「いや、寝ているお前が悪いだろ。今は授業中なんだが」
「大人はそうやって屁理屈を言うんだから!!いいです!お母さんに言いつけるんだから!」
そう言って私はカバンを持つ。
「ま、待て!最近モンスター何とかがやばいから!それだけは!!謝るから!!」
私は途中まで聞いていたが最後まで聞かないで教室を飛び出した。
「あ、あああ!!お、俺の教師生活が終わる・・・!!」
「先生」
「何だよ!このクラスのやつは俺を見下すのか!ちくしょー!!こんな学校・・・」
「あいつ、ただ単にサボりたくてそう言っただけです。」
「な、何!?だが・・・はっ!」
流れに身を任せ、人を翻弄させ、私は蝶のように舞い飛ぶ!
雑魚キャラのセリフが思い浮かぶ。なるほど・・・と呟き
「あいつには、修羅の道を与えよう・・・覚悟だ!小坂井ヒナタ!」
次の日、説教をもらい一学期中先生のパシリに任命された。
そして成績表は一教科だけ評価できません、と前代未聞の通知表をもらい、魔王に殺されそうになった。