グッドモーニング、魔王様
「ね、姉ちゃん・・・追い返した・・・」
「グッジョブ」
息を切らせながら弟は私に報告し、私はねぎらった。
「あいつら・・・朝からこんな目に・・・くそっ」
弟である小坂井ナツは忌々しげに言う。
ここで弟の紹介をさせてもらおう。
弟である小坂井ナツは中学一年生でかなりのイケメンだ。周りからは似てないにもほどがあるだろう、とももっぱらの評判だ。
・・・私、そんなに、顔悪いのかな・・・多分私の顔は普通でナツがイケメン過ぎるだけだ・・・きっと・・・!
そんなイケメンナツの特徴、いや残念な部分は
「あいつら・・・金持ってなかったら、相手にしてないぜ・・・」
金の亡者であることだ。経済の歴史や金を扱っているものにはかなり詳しい。
あれはナツが小学一年生の頃、
「お姉ちゃん、今から神武景気が来ないかなー」
と習ってないはずなのに言っていた。私は
「ん?んーきっと来るよー」
と知っているふりをしてその場をなんとか過ごした。・・・今でも思う、神武景気って何だろ?
まあそれはいいとして、とりあえず学校の準備をしなければ。アレ(幼馴染)のせいで朝が台無しだ。とりあえず私たちは着替えて一階に降りた。
リビングに着くと、魔王(母)が机に君臨していた。
「あんたら、遅い。早く、飯」
「グッモーニン」
「ここは米国じゃない。さっさと作れ」
「はい、魔王さま」
「小遣い、減らそうか?」
それはかなり私たち中学生にはかなりキツイ。だが
「そもそも小遣いもらってないよ・・・」
「うるさい蠅だねぇ」
理不尽すぎるぜ魔王様!しかも自分の子供を蠅扱いとはさすがだ!
この通り、母はかなり俺様というか独裁者様だ。父に言わせると
「昔はかわいかったんだ、昔は・・・昔に戻りたい・・・」
・・・まあ、人生いろいろってやつだよね!女も色々ってやつだよね!
涙が出そうだぜ・・・袖で目を拭うと
「俺、目玉焼きとウインナー焼くから姉ちゃんご飯よそってサラダ作って。」
ナツが仕切り始めた。こいつ、こういうところ偉いよな・・・とりあえず朝ごはんを作ることにしよう。
朝食に目玉焼き、味噌汁、サラダ、納豆と並べる。魔王はすごい勢いで食べ、ナツは上品に少しずつ食べる。・・・こいつら、本当に親子か・・・?
そんな疑念をよそに、10分かけ朝食を終える。歯磨きをして、鏡の前でにっと笑って
(今日こそ良い一日になりますように!)
と心の中で唱える。ナツがカバンを持って
「早く行こうぜ」
と私に言う。さあ、今日こそは!
扉を開けると
「「お早う」」
変態が目の前で笑っていた。
うん・・・今日もろくでもないな。
ちなみに朝食を作った後の魔王の感想は
「あんたら、もっと料理の勉強しなさい・・・げっぷ。夜はキムチチゲ希望・・・げふ」
私たちにおふくろの味というやつは体験できないようだ。