表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幾つもの夜を超えて  作者: 七草せり
33/36

イタリアへ。

トントン拍子に話が進み、結婚。


そして夕馬はイタリアへ……。


急展開の上、ゆっくり二人で過ごせていない。

結婚した実感もない。


パートで復職したが、イタリアが気になる。


ので、医師の許可をもらい私もイタリアへ。


夕馬には内緒。

何かいきなり行くのもどうかと思うけど、予め言ってもし断わられたらって思ったし。


夫に会うのに遠慮するのはなんだけど。



私は空港へ向かうタクシーの中、色々な思いを巡らせた。



空港に付き、カウンターで手続き。

荷物を預け、時間まで待つ。


「お世話になってる方に、 お土産買った方がいいよね……。 相手はイタリアの人。 当たり前だが……」


私はお土産が売ってる店に入った。


外国人うけする土産って何だろ。

店内をうろつき、日本人形を手にした。


雛人形だ。

二人並ぶ人形が、ケースの中に入っている。


お手頃なサイズだし。


私はそれを購入した。



搭乗時間になり、搭乗口へ向った。


手荷物検査など受け、パスポートを見せた。


パスポートを戻され、名前の欄をまじまじと見つめる。


名前変わったんだ。私……。

改めてだが、病院で呼ばれる時も『高野さん』


保険証も変わった。

色々名前変わると面倒だが、嬉しさが込み上げる。



飛行機に乗り、離陸を待った。


久しぶりに夕馬に会える喜びは、私の胸を弾ませた。



長い時間が過ぎ、いよいよイタリアへ到着した。


入国審査や、荷物の受け取りを済ませ空港の外へ。


青い空が澄み渡り、太陽が眩しい。


少し眠いがタクシーで夕馬の住む家まで行く。


教えられた住所を、運転手に伝えた。

もちろん英語。


イタリア圏の言葉は分からないし。


簡単な英語なら仕事がらつかえる。


タクシーの運転手さんは、陽気な人で色々話してくれた。

まさにイタリアだ。



ナポリにある夕馬の家に着いた時、どっと疲れが出た。

しかし、やはり嬉しい。


夕馬は街の外れに一軒家を借りたらしい。


見上げればアンティークな家で、歴史を感じる。

送られた鍵をカバンから出し、ドアを開けた。


木のドアもお洒落だし、鍵も不思議の国さながらの鍵だ。


一軒家と言っても二階建てではない。


平屋と言うべきか。


しかし中は広く、十分過ぎるし勿体ない。


私は荷物を持ち中へ入った。


大体の間取りはパソコンから送られてきてるので分かる。

しかし、実際はやはり違う。


寝室と思われる部屋に荷物を置き、カバンの中を開いた。

夕馬の服を先日買ったのでそれを取り出し、クロゼットの中へしまう。



寝室はベットとクロゼット、小さなタンスがあり、タンスの上には可愛いスタンドが置かれていて、私達の写真もあった。


「ふふ……」


一人嬉しくなり、ベッドに寝転んだ。


夕馬の匂いがする。

早く会いたい……。


壁の時計を見たら、もう夕方近い時間だ。


夕馬はカフェだろう。

いきなり行く?待ってる?


何て思いキッチンへ向った。

キッチンの横には少し大きめのテーブルがあった。


「相変わらずきちんとしてるなぁ」


冷蔵庫を開け、水を取り出す。


外国は水道水はあまり飲まないって聞いたから、水はあるだろうと思ったのだ。


私は処方された薬を飲んだ。

体調は悪くないが、薬は欠かせない。


食前の薬も飲まなければならない。



夕馬の家の部屋を見て回り、キッチンから続くソファへ座った。


ソファもアンティーク調で質が良い。


ソファとセットのテーブルも小さめでお洒落だ。


私はテーブルの横に積まれている本を手に取った。


全てコーヒーの本だ。


パラパラページをめくりながら、夕馬の世界を開幕みる。


「ふーん。 色々あるんだ……」


改めて、コーヒーが好きなんだなと思う内に、眠気に襲われた。



気が付くと、外が暗くなっていた。

窓から月が見える。


私はパッと起き上がった。



「あ、 起きた?」


「夕馬……」


キッチンで何かをしている夕馬が目に映る。


思わず駆け寄り飛びついた。


「連絡くれたら迎えに行ったのに。 急なんだよ。 全く」


「だって。 だって連絡して断わられたらイヤだったし……」


「はあ? 自分の嫁が来るの嫌がる訳ないじゃん。 ったく、 どこまで遠慮する?」


きつく抱き締められた。


やっと感じる夕馬の温もり。

数ヶ月振りなのに、何年も離れていた様に感じる。


「飯食うだろ? 今からじゃ店開いてないし、 オレのお手製パスタとスープを奥様に」


テーブルに料理を運んだ。


手作りペペロンチーノと具沢山の野菜スープ。


「さ、 食べよう」


席に座り食べ始めた。


本当に久しぶりに二人で食事。

泣きそうになる。


「夕馬、 少し太った?」


「やっぱり? こっち来て色々店回ってコーヒーだのスイーツだの研究したからな」


自分の頬を触った。


研究か。

やはりあの子も?


敢えては聞かないけど、気になる。


「風生は痩せた? ちゃんと食べてる? お前はすぐに手を抜くからな。 でも嬉しいよ。 やっと来てくれた。 あ! 病院だけどちゃんと調べるてあるから」


「うん。 日本の病院の先生に紹介状貰ったよ。 何かこっちに日本人の先生いるんだって。 で、紹介状貰ったの」



パスタを口に運びながら話した。


「へー。 なら安心だな。 言ってた病院かも知れないし」


「取り敢えずね。 今回は様子見に来ただけだから早く帰るよ」


「えーっ! 何だよ。 ゆっくりすればいいじゃん」


不貞腐れた?


おかしい。


「だって、 仕事あるし色々片付けしないとだし」


「うーん……。 何とかするよ。 風生の荷物こっちにあるし。 見た?」


「あ……。 見てないや」


さっきクロゼット開けたけど、私の荷物なかった様な……。


「えーっ? 左側だよ?」


「左?」


「うん。 右がオレ。 左が風生。 寝室の荷物しまっといたから」


全く……。人の荷物触るかな?


でも、左か。 さっき見なかったな。

適当に開けただけだから。


「あ! ありがとう。 服。 明日着てく」


ちゃっかりって言うか……。

夕馬らしいや。



食後。久しぶりに二人でソファで寛ぐ。


私は夕馬にもたれて離れない。

夕馬はコーヒーの本を読んでいる。


静かな時間が過ぎていった。


眠る時は夕馬の腕の中。


きつく抱き締めて。寂しかった……。

私の頬に触れる手が温かい。


この温もりがないとダメだ。


背中に手を回し、二人抱き合う。


幸せの時間がゆっくり流れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ