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幾つもの夜を超えて  作者: 七草せり
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シーソーな気持ち

夕馬の家と病院の往復の日々。

出される薬は一向に減らない。


「もう一ヶ月になるのに、 何で薬減らないの? しかも毎回検査だし。 先生は何も言わないし」


私の不満は爆発寸前。


「貧血酷いんだから、 仕方ないよ。 気長に治すしかないでしょ」


夕食の時、夕馬に愚痴った回答。


「そりゃそうかもだけど。 あの先生、 何にも言わないのよ? あり得ない!」


お茶碗のご飯を頬張り、またしても不満を言った。


「まあ、 特に言う必要ないからじゃない? 何かあったら言うよ」


魚の骨と格闘している夕馬。


「それもそうだけど。 仕事行けないのもツライし。 このままお世話になってるのも、 何か悪いじゃない?」


「何? そんな事まだ言ってんの? 全く……。 何度言えばいいんだよ。 風生はここで治療に専念してればいいんだよ。 優先する物は何? 治す事でしょ」


「甘やかす……。 生活費だって大変なんだし。 治療費だって……」


「ほらまた! そういうのがダメなんだ。 身体に良くない。 せっかく水入らずでご飯食べてるんだから。 やめよう」



そのまま話は終わった。


夕馬に甘える事は、確かに有難い。素直になればいいだけ。

でも、フェアじゃないのがイヤだ。


かと言って、こんな身体では働けないし。


やはりこのままお世話になるべきか。


シーソーみたいな私の気持ち。

穏やかになれない。


夕馬はイタリア諦めていないはず。

それを私が邪魔してて。


隣人からの情報では、イタリア娘はご機嫌ナナメらしい。

夕馬と私の関係に、かなり嫉妬して。


あの手この手で夕馬を誘うが、なしのつぶて。


イライラしなさい。

私は知らない。


でも。 夢を諦めて欲しくない。

負担にもなりたくない……。


私はお人好しだと思うが、人の人生を左右したくないだけ。



「風生? 薬飲んだ?」


「うん。 飲んだよ」


「もう寝ようか」



ベッドへ入り、くっついて眠る。


離したくない人だから、自分を貫いて欲しい。

物わかりのいい人を演じる?


安心感は私のエゴなら、この人を自由にさせてあげる?


できる?できない?


抱きしめながら、温もりを感じながら、日々揺れる私の心。


治らない病気の苛立ち。

甘えてる私の捻くれ。


夕馬はいいの?

このままで、本当にいいの?


ずっと一緒にいたい。

このままずっと。


繋いだ手、離したくない。


だけど。シーソーな気持ち。

あっちこっちと、行ったり来たり。


一度抱いた物は、段々大きくなる。

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