不調の理由
体調不良。
翌日、会社を休み病院へ行った。
近くの総合病院。 かかりつけにしている。
受け付けを済ませ、一応内科を受診希望。
順番待ちの為、科の前の長椅子に座る。
待ち時間、長そうだな。
これだけで疲れそう……。
自販機でミネラルウォーターを買い、再び椅子に座った。
人が多い。 色んな人が順番待ちしていた。
様々な人間模様が、ここにもある。
そんな事を考えながら順番待ちをしていたら
割と早く呼ばれた。
内科の中へ入り、荷物を置き、先生の前の椅子に座った。
「今日はどうしました?」
流れ作業的な台詞。
「はあ、 最近目眩などがありまして。 食欲もなく……」
少し神経質そうな中年男性医師。
私に色々質問する。
「分かりました。 取り敢えず検査しましょう。 血液検査と……」
検査か。 まあいいや。
私は看護師さんに促され、検査室へと向かった。
「検査が終わったら、 カルテを持ちまた来て下さい」
仕事、忙しいんだなぁ。 そりゃそうだ。
人多いし。
少しの愛想もない、医師と看護師。
ちょっとは笑って欲しいな。 などの感想を
抱き、検査を受けた。
「では、 左手から血を抜きますね」
こちらの技師さんは、笑顔だ。
優しい感じの男性技師。
丁寧に血を抜かれた……。
検査が終わり、再び内科へ。
先ほどの看護師さんにカルテを渡した。
「結果が出るまで、 お待ち下さい」
再度待たされる。
仕事の事が気になったので、私は外に出て
電話をかけた。
一日以上ぶりに、ケータイの電源をオンに
する。
「うわっ」
思わず声が出てしまった。
メールと不在着信が半端ない。
夕馬からのメールと着信。
家電使っていたから、ケータイ見てなかったなぁ。
私はメールをチェックした。
イタリアの話などを聞く為、あの子と食事する事になった。から、私が急に早退した理由の質問。 家にいるのか。の確認などのメールがギッシリ。送られていた。
こないだは、家来たのに。
やはりイタリア娘と話をしたり、忙しかったのだろう。
私は返信せず、会社へ電話した。
隣人直通電話。内線だから、会社の人しか出ない。
「もしもし? 」 不機嫌そうな声が出た。
「あ、 私……。 ごめん。 忙しいよね? 今検査終わって、 結果待ちなんだ。 あの書類が気になって」
「ああ。 あれ? まあ大丈夫でしょ。 で? 検査するなんて、 あんたこそ大丈夫?」
意外に優しい言葉を投げかけた。
「うん。 多分ね。 結果でたら言うよ。 じゃあ宜しくお願いしますね」
「あっ! ちょっと待ちぃ! あんた、 高野君と何かあるでしょ? 昨日あんたが早退した後に、 高野君から色々聞かれたけど? 何で聞く? って言ったら、 心配だからって。 付き合いしてんの? あんた達。」
「う……。 うん。 ごめん……。黙ってた」
「やっぱりねぇ。 で? 大人しく、 あの娘と高野君を見てたんだ。 かなり。 あたりまくりだよ? あの子!」
「そうらしいね。 分かってる……」
「はあ。 弱気だねぇ。 若い娘相手に。 まあでも。 高野君、 私にあんたに電話しろって
うるさくて。 笑っちゃったよ。 意地悪、可哀想じゃない?」
「別にそんなつもりは……」
「まあ、 いいけどさ。 今日の事も言ってないんでしょ? 全くさ。 電源入れたら? いちいちうるさいから」
隣人のお小言などを聴き、電話を切った。
疲れたな。
しかし、夕馬。 気にしてたんだ……。
メールと着信。 電話をじっと見つめ、電源を
切った。
病院だしね。
暫くして、検査結果を聞くために、また先生の前に座った。
「結果が出ました。 率直に申します。 精密検査を受けて下さい。 貧血が酷いです。
色々考えられます。 仮定ですが、ホルモンバランスが崩れているかと。 病気かどうかは、
再検査してから、 精査します。 暫く安静に
して下さい。 仕事なさってますか? 休んで下さい。 えーと、 検査日ですが……。まあ
早い方が良いかと思いますので、 明後日予約して下さい。 ご質問は?」
物凄く丁寧かつ迅速な結論と判断に、質問はありません。
「特に……。 明後日予約します」
そう述べ、内科室を後にした。
検査予約と会計を済ませ、家路に……。
何かの病気かなぁ。 病院を後にしたら、不安になった。
やだなぁ。何かあったら……。
昼下がりの道をトボトボ歩く。
太陽はまだ高い位置にあり、憎たらしいくらい眩しい。
食欲などない。
大人しく自宅へ帰った。
会社の上司へ電話を入れ、事情を説明。
建て前の心配をされ、会社を休む事に。
再び隣人に電話。
同じ説明をする。
「ねえ、 本当に大丈夫? 仕事は心配いらないから、 ゆっくり休みなよ? 高野君には話したの?」
「まだ。 忙しいと思うし、 別に話す必要ないかなって」
「変に意地になっても、 仕方ないよ? 甘えなきゃ。 彼女なんだし。 そういうのは、きちんと話すべきだと思うけど?」
思いがけないアドバイスをもらった。
「うん。 はっきりしたらね」
曖昧な返事をし、電話を切った。
はーぁ。 何なんだか。 私って。
夕馬に心配させたくない。 今、いらぬ事を
言う必要はない。
ケータイの電源、入れないまま。
意地っ張りで、偏屈な私。
理解する人は、まだ遠いか。
夕馬の夢を応援して、ひたすら待つ女に。
交差する思いは、まだ定まらない。
夕馬、来るわけないな。 色々忙しくなるだろし。
今日も食事かな。
一人ぼんやり考える。
と……。
玄関のチャイムが鳴った。
誰だろ? 私は玄関のドアを開けた……。
バッとドアが思い切り開けられ、夕馬が中へ飛び込んで来た。
余りの事に言葉を失い、呆然と夕馬を見た。
「どういうつもり? 着拒。 電源オフ。 会社休むし、 訳分からないんだけど?」
怒ってる……?
「とにかく! 荷物持って! オレ家連れて行く」
ズカズカ上がりこんで、そうまくし立てた。
「ま 、 待ってよ! いきなり何? やだよ。 私行かない! 」
「明後日病院! オレ休み取ったから。 風生のお隣さん、 口軽いね。 まあ、 最初は話してくれなかったけど、 誰か紹介するって言ったら、 話してくれた。 色々ね」
空いた口が塞がらない……。
私は夕馬に逆らえないと思い、荷物をまとめ始めた。
「何で言わない? 信用ない?」
「だって、 だって夕馬は今……」
「オレに頼らない理由はあの事? オレが悪いの分かってる。 でも! オレに頼って欲しいと思う。 勝手だけど。 死ぬ程心配したし」
震える手で、私の手を握った。
二人、色んな思いを抱えてる。




