手紙の行方
私はベッドの中でうつらうつらしていた。
玄関のドアが開く音が聞こえ、窓の外を
見た。
暗い……。 夜か。
夕馬、帰って来たんだ。 そう思ったが、私はベッドから出なかった。
異様に身体が重い。 動きたくないな。
足音がこちらへ近付いてくる。
「風生? 寝てるの?」
ガサガサっと何かの袋を置き、私の眠るベッドへやって来た。
寝たふりに限る。
私は無言を通す。 ギシッと音がし、夕馬が
ベッドの上に乗った。
私の前髪をそっと撫でる。
「起きてるんだろ? 食べる物買って来たから、 食べよう」
耳元でそう言った。
仕方ない。起きよう。 私はゆっくり起き上がった。
「顔色悪いな。 食べられる?」
「あんまり……」
ソファへ座り、答えた。
夕馬は、サンドイッチや飲み物などを買って来た様だ。
自分は、お弁当。
「飲み物だけでも飲まないと」
袋から、ペットボトルを取り出した。
ミネラルウォーター。 夕馬の気遣いを感じるが、手紙の事が気になって仕方ない。
ミネラルウォーターを飲み、夕馬をじっと見た。
支度をし、買って来たお弁当を食べる夕馬はまだ手紙には気付いていない。
貴方の横にありますよ。 お手紙……。
食事が終わると、私の方へやって来た。
「病院行った方がいいんじゃない? 何か心配だしさ」
肩を抱き、そう言った。
「平気よ。 直ぐに治るでしょ」
うつむく私。 夕馬の温もり、複雑な気持ちにさせる。
「明日、 会社行ける? 」
「行くよ。 忙しいし」
コツンと頭をぶつけた。
「何? どうしたのよ。 いきなり」
「風生が心配なだけ」
本当なの? 出かけた言葉を呑み込んだ。
あの子と仲良くしてるんじゃないの?
醜い嫉妬。
私の中から出ていかない。
「風呂入ってくるから。 寝てなさい」
そう言って、お風呂場へ行った。
手紙は、どうするのかな。
敢えては見ないのか。
テーブルの上の手紙。 気付いてるでしょ?
気になったが、私から言わない。
再びベッドへ潜る。 自分の嫉妬心は、ここまで凄いものなのか。
嫌になるな。本当……。
お風呂から出た夕馬。テーブルの手紙を見ている。
私は黙ったまま。ベッドの中、夕馬を見つめた。
ため息一つつき、ベッドへやって来た。
「風生。 あのさ……。 手紙、 見た?」
私の隣に潜りながら、そう言った。
ドクン。
心臓が早鐘をうつかの様になる。
「見た……。 誰からきたのかをね」
「怒ってる、 とか?」
私をギュっと抱き締めた。
ズルい奴め。 抱き締めればいいと思ってるのか。
でも、振りほどけない自分も自分だ。
夕馬の息が首筋にかかる。
逃げられない私。 この場からも、色んな物からも。
「ごめん……」
力強く抱き締める。 絡まる足、私の身体に触れる夕馬。
好きだからこそ、色々考えてしまう。
「何が、 ごめんなの? 理由ある訳?」
私の質問に躊躇しているのか。中々答えな
い。 全く、アホ夕馬。
「言いたい事は、 口にしなきゃ伝わらないのよ? 分かる? ねえ」
胸の中に顔をうずめた。
聞きたくないけど。 はっきり聞きたい。
どっちなんだか。 私にも分からない。




