人類には使用不可能の速さをもって
お題:凛とした粉雪 必須要素:人間使用不可 制限時間:15分
火星には雪とか降らないのかな?
ある日私はそのような頭の悪いことを考えた。
だって、火星に住んでるとはいえ、私だって元々は地球人なのだし、十二月にもなれば地球ではクリスマス文化が盛んになるのだし、それを考えないわけにはいかない。
私だってたまには、
「今年はホワイトクリスマスだー!」
みたいに浮かれたいのだ。
大人になってもサンタクロースという何かしらの(本当にいるとは思ってないが)イベント発生で何かしらのいいことを想像するのは人間として生まれたからには当然だろうと思う。
むしろ、
大人になってからの方が、クリスマスに寄せる期待は大きくなったかもしれない。
何かいいことがありますように。
みたいなことを十二月になると考える。
子供の頃はクリスマスは何かもらえると、勝手気ままに当たり前だと思っていたので、ありがたみが無かった。
だいたい、
そもそも、
地球では今も雪が降るのだろうか?
降ったとしても、
どうせ人口のものだろう。
今や火星に住める位に、文明が進んだのだし、もしかしたらもう雨も雪も風も台風だって思いのままなのかもしれない。
私は火星に住んでいる。
今火星で私は、巫女をやっている。
巫女だ。
未来にあまりそぐわない職業だ。
火星だって人間の過剰な開拓によって、今や地球と何ら変わらない。
私だって、それを今は何らおかしいこととは考えない。
そもそも、火星で巫女をやるなんてことを考えたのは、セーラームーンのせいだ。
火星の人いたでしょ?
あれに憧れたからだ。
でもアレは名前であって本当に火星にいるわけではないことを
最近理解した。
無念。
火星の生活も地球と何ら変わらない。
私はなんの為にここにいるのか?
サンタ。ねえサンタ。
サンタでも誰でもいいから教えてください。
私に何かプレゼントをください。
明日からも続く単調に耐えうるだけの生きる活力をください。
絶望しかけた私が目を少し閉じて、再び開けると。
私の目の前にマーズの人形と、窓から粉雪が降るのが見えた。
ああ、凛としたいい粉雪だ。
凛とした粉雪ってなにさ?雪が粉みたいだから粉雪なのに。もう状態はわかってるのに、更に凛としたってなにさ?