少女と忘れ物 その2
前回からの続きです、ではどうぞ。
体から棘球を引き剥がすと、ホワイトは立ち上がった。
「哀れみなど・・・僕には必要ない!そんなものでこの苦しみは消えないからね!!」
「ホワイト・・・」
「そんな目で見るな!それでも僕を哀れむのなら・・・さっさと殺されろ!!」
虚空からカードが出現した。
「こいつはどうかな・・・狂乱“爆壊白掌”」
再びホワイトの姿が消え、連撃がガラシャを襲う。
「(彼の思いを、私が全て受け止める!その力を・・・)」
強く彼女は願い、再びガラシャもスペルカードを手にしていた。
「無痛“ダルウィテッド”!!」
それとほぼ同時に、連撃が全て彼女に直撃した。
「はっはっはっは!さすがに死んだかな?」
ホワイトが姿を現し、高笑いした。が、
「・・・この程度では死ねませんよ」
「はあ!?」
ガラシャは無傷だった。かすり傷一つとして負っていない。
「これでも幾多の拷問に耐えてきた体です、あなどってもらっては・・・」
「うるさい!喋るなよ!!」
ホワイトが姿を消し、一瞬のうちに距離を詰めてきた。そしてガラシャの襟首を掴むと、
「消し飛べ!」
その手に弾幕を収束させ、爆発を起こして彼女を吹き飛ばした。
「はあ、はあ・・・何故だ・・・」
ガラシャに闘争の意志が感じられない。しかしそのことが、何故かホワイトに不安と恐怖の入り交じった感情を起こさせる。
「痛た・・・今のはちょっと痛かったですね」
崩れた壁からガラシャが立ち上がった。
「ほらホワイト、まだ私は死んでいませんよ?」
そして何故か、笑っている。
「何なんだよ君は!!わけが分からない!!!」
「何だこれ・・・」
二人の戦いを見ていた魔理沙は、変な気分にとらわれていた。
「変だな・・・殺し合いを見ている気分じゃないぜ・・・」
どちらかと言えば、
「姉弟喧嘩・・・か?」
「馬鹿にするなよ!まだこいつが残ってるんだ・・・杭符“パイルバンカー”!!」
ホワイトの姿が消える。またも一瞬でガラシャの目の前に現れた。
「さすがにこれには耐えられまい・・・死ねえ!!」
杭を打ち込もうとしたその手を、ガラシャが掴んだ。
「!? しまった、“クリア・マインド”か!!」
頭に血が上っていて、彼女のスペルを完全に忘れていた。
「もうやめましょう、お互いに苦しいだけです」
哀しそうにガラシャが言う。
「黙れ!君に指図される筋合いは・・・」
「やめろと言っているでしょう!?この馬鹿!!」
ぱしん、とガラシャはホワイトの右の頬を平手打ちした。
「何だと・・・馬鹿と言ったな!?君の方がよっぽど馬鹿さ!自分を殺そうとしている相手に、あろうことか哀れみをかけるなんてね!!」
打たれた頬をさすりながら、彼は叫んだ。
「馬鹿にわざわざ馬鹿と言う方が馬鹿ですよ!!」
今度は左を平手で打つ。
「二度も殴ったな!」
ホワイトが今度はガラシャを拳で殴りつけた。殴られたガラシャが叫ぶ。
「女性を拳で殴る輩がありますか!!」
「痛くないなら、別にいいだろう!?」
もう一度殴ろうとすると、その手を掴まれた。
「女性をもっといたわりなさい!!」
彼の手をひねり上げる。悲鳴を上げながら、ホワイトは叫んだ。
「痛だだだっ!黙れ、このまな板!!」
その言葉を聞いて、ガラシャの表情が一変した。
「まな板、ですって・・・?具体的にどの辺りが、ですか!?」
「言うまでもないだろう?」
今度はホワイトが拳で殴られる番だった。
「そのことを言うとは・・・死になさい!!」
ガラシャの目が怒りに燃えている。
「はっ!殺せるものなら殺してみろ!まな・・・」
言い終わらない内に頭を掴まれ、頭突きを喰らわされた。星が飛び散る。
「ううっ・・・!」
頭を押さえながら、ホワイトはふらついた。
「畜生、ガラシャ・・・もう許さないぞ・・・!ぶっ殺してやる!!」
頭を振って正気を取り戻すと、彼はそう宣言した。
「こちらの台詞です!!」
そしてまた殴り合いが始まった。
「あの二人・・・何やってるんだか」
その様子を見ながら、魔理沙は完全にあきれてそう言った。
ホワイト完全にキャラ崩壊ww
しかし後悔はしていない。