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再戦!!

バトル、再開です。

「私から話せることは、これで全部よ」

「・・・ありがとうございます」

 ひどい頭痛もようやく引いた。ガラシャが礼の言葉を述べると、紫は彼女の目の前に、空間の隙間を作りだした。

「これは?」

「ホワイトのいる空間に通じるスキマよ。ここから直行便で行けるわ・・・ところで、アリスはどうする?連れて行くのかしら」

 紫の問いに、ガラシャは首を横に振って答えた。

「これは(わたくし)一人の問題です。彼女を巻き込むわけにはいきません・・・一応、アリスにはあなたから伝言をお願いします」

「分かったわ。じゃあ、行ってらっしゃい」

 その言葉を背中に聞いて、ガラシャはスキマに足を踏み入れた。



「ここは・・・!」

 夢の中で見た光景、かつてラシャだった頃自分が収監されていた監獄だ。

「お帰り、ラシャ」

「ホワイト・・・」

 暗闇の中から、ホワイトがランプを片手に現れた。

「ラシャは過去の名前です。その名で、(わたくし)を呼ばないでください」

「おっとこれは失礼。その様子だと、あの人から全て聞いたようだね・・・ところでガラシャ、仲間は連れて来なかったのかい?」

「私事に仲間を巻き込むわけにはいきません。それより、魔理沙は無事なのでしょうね?」

 ガラシャが聞くと、ホワイトの瞳の奥が渦巻いた。

「ああ、無事だとも。ほら」

 彼がランプを部屋の一画に向けると、そこには魔理沙が壁に寄りかかっていた。

「魔理沙!!」

 ガラシャは叫んで、彼女の方へと駆け寄った。その様子を、ホワイトは無感動な目で見つめている。

「うう・・・ガラシャ・・・か?」

「しっかり・・・もう、大丈夫ですから」

 その時、魔理沙の目が恐怖に見開かれ、

「ガラシャ!危ない!!」

「えっ?」

 気づいた時にはもう遅かった。ガラシャはホワイトに背後から首を掴まれ、持ち上げられていた。

「・・・感動の再開は済んだようだね・・・」

「ぐ・・・があ・・・・!」

 ホワイトのもう片方の腕から、杭状のビームが発生する。

「杭符“パイルバンカー”・・・ガラシャ、覚悟はいいかい・・・?」

 彼が杭を打ち込もうとした、その時、

「“上海人形”」

 無数の弾幕が、背後からホワイトを襲った。

「ぐあっ!」

 不意を突かれ、ガラシャを手放す。その隙にガラシャは、魔理沙を助け起こして彼から距離を取った。

「ごめん、ちょっと遅れたわ」

 そこにはアリスと、上海人形がいた。

「ア、アリス!?紫さんからの伝言は・・・」

「ええ、ガラシャを全力で助けろ。そう言われたわ、だから・・・こうして駆けつけたってわけ」

 どうやら、こちらの頼みとは真逆の伝言を届けてくれたようだ。

「はあ、紫さんってば・・・」

 しかし、ため息をついている余裕はなかった。

「不意打ちとは汚いな・・・まあ、僕も他人のことは言えないか・・・」

 ホワイトがこちらを、その混沌とした瞳で射抜くように見据えている。

「・・・だが一人増えたところで、何も変わりはしない。絶望しろ」

 言うと、虚空からスペルカードを出現させた。

「アリス気をつけろ!・・・あいつはスペルの発動に合わせて・・・姿を消す・・・!」

 ガラシャに肩を貸してもらいつつ、魔理沙は警告した。

「何ですって?」

 しかし、またもや手遅れだった。突如、アリスの目の前にホワイトが姿を現した。

「遅いよ・・・神速“極地三連打”」

 目にもとまらぬ二連続の掌打がアリスを襲う。三撃目に彼はアリスの背後に回り、裏拳と共に光弾をぶつけて彼女を吹き飛ばし壁に叩きつけた。

 ・・・ように見えた。

「ふう、この程度では相手にならな・・・!?」

 しかし壁に埋まっていたのは、アリスの作った人形だった。

「いつの間に入れ替わって・・・おっと!!」

 そこへ弾幕がいくつも飛んでくる。アリスと上海人形に加えて、他の人形も一緒に撃っているので、かなりの量だ。ガラシャは魔理沙に肩を貸しているせいで戦闘に参加できていないが、それを補ってあまりあるほどである。

「くっ・・・こんな数・・・!」

 ホワイトは巧みな体さばきで弾幕をかわすが、その量に押され始めていた。弾がいくつも彼の体をかすめ、ローブに傷を入れていく。

「ほら、もっときびきび避けなさい」

「言ってくれるね・・・君って人は・・・!」

 彼の手に、スペルカードが握られていた。

「・・・狂乱“爆壊白掌”」

 ホワイトの姿が消え、一瞬の後には人形が一体粉砕されていた。

「!? これは・・・?」

 驚く間もなくまたひとつ、人形が砕けた。彼がどこから攻撃しているのか、まるで見当がつかない。

 その間にも、アリスの人形はどんどん破壊されていく。

「でも、僕の狙いは・・・君じゃないんだよ!!」

「はっ・・・」

 ホワイトの姿が、アリスの目の前にあった。彼は彼女の襟首を捕らえると、その手に弾幕を収束させ、そして爆発させた。

 アリスの体が煉瓦の床に崩れ落ちる。

「そ、そんな・・・アリス!!」

 彼女は、そんなガラシャの叫びを聞くこともなかった。


やっぱりホワイトマジキチ

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