迫り来る白き脅威
魔理沙が捕まってしまった!!
その頃、博麗神社の内部。
「霊夢に魔理沙・・・二人とも、大丈夫なのでしょうか・・・」
沈んだ表情をするガラシャの頭を、アリスは優しくなでながら言った。
「大丈夫よ。あの二人、こういうことには慣れているから」
「そう・・・ですか」
「ええ、今は二人を信じて待ちましょう?」
しかし、アリスは同時に何となく胸騒ぎがしてならなかった。
「(何なの・・・?不安で仕方がないわ)」
あの二人が取り乱していたから、だろうか。それとも・・・
彼女はその考えを打ち消した。自分が弱気になったところで、どうにもならない。ガラシャのそばにいてやれるのは、今は自分だけなのだ。
「(しっかりしないとね・・・)」
「うーん、この辺でいいかな」
「お前、何を・・・するつもりだ?」
ホワイトは魔理沙を片手で持ったまま、結界の近くで足を止めた。
「まだ分からない?まあ、すぐに分かるだろうけど」
そう言うと、彼はもう片方の腕から杭状のビームを発生させた。そして、彼の瞳がまたもや大きく渦巻く。
「さあ、始めようか。・・・“パイルバンカー”まずは一発目」
魔理沙の体に、杭状のビームが打ち込まれた。
「ぐああああっ!!!」
先ほどのものよりも、衝撃が格段に増している。
「はいはい、その調子。もっと叫んでくれよ・・・?」
更にもう一発、打ち込まれた。が、今度は悲鳴を押しとどめた。
「ぐっ・・・お前、まさか・・・」
「ああ、やっと気づいたの。でも悲しいかな、もうどうにもならないのさ」
無表情でそう言うと、今度は二発連続で打ち込んできた。
「ぐうっ、ああっ・・・」
「悲鳴を上げた方が、痛みは減るよ?・・・それとも、もっと痛い方がいいかな」
間髪入れずに次の杭を打ち込んでくる。言葉の通り、衝撃は更に増していた。
「ガ・・・ガラ・・・シャ・・・」
「今、魔理沙の声が・・・!」
突然ガラシャは立ち上がると、玄関の方へと走っていった。
「ま、待ちなさいガラシャ!!」
アリスもその後を追う。
ガラシャは外へ出ると、そこで足を止めてしまった。
「こ・・・これって・・・!?」
白い少年が、魔理沙の襟首を掴んで持ち上げている。そこから少し離れたところで、霊夢が地面にうつぶせで倒れていた。
「ガラシャ!はっ・・・!?」
続いて出てきたアリスも、言葉を失った。
「おお、出てきてくれたよ・・・さあガラシャ、こっちへおいで」
ホワイトの瞳が濁流を通り越して、混沌としたものになっている。
「魔理沙っ!!」
「く・・・来るな、ガラシャ・・・アリス!ガラシャを押さえろ!!」
走り出したガラシャを、アリスは羽交い締めにして押さえ込んだ。
「・・・余計なことを言うなよ」
怒気を含んだ声でそう言うと、ホワイトは魔理沙に杭を打ち込んだ。
「ぐあっ!!」
「魔理沙!・・・アリス!放してください!!」
「あなたが行ったところで、どうにもならないわ!!」
「・・・っ、でもっ・・・!」
アリスにたしなめられ、ガラシャは黙り込んでしまった。しかし、抵抗は止めようとしない。
「ああガラシャ・・・君は哀れだよ。姉を助けたいのに仲間と、その姉に邪魔されて、そこで見ていることしかできないのだから・・・」
相変わらずの無表情でそう言うと、今度は魔理沙の方を見た。
「同じく君も哀れだ・・・妹を守りたいのに、力が足りないばかりに・・・絶望するしかない」
もう一度杭を打ち込む。今まで以上の衝撃が、魔理沙の体を襲った。
「ぐ・・・!ああっ・・・」
そして彼女は、ぐったりとして動かなくなってしまった。
「魔理沙あっ!!」
「ガラシャ・・・っ!」
叫んで飛び出そうとしたが、アリスに強く押さえられた。
「大丈夫、気絶しているだけさ。・・・少々予定は狂ったが、新たな選択肢ができた」
そう言うと、ホワイトは虚空に拳を叩き込んだ。
するとそこの景色だけがガラスのように割れ、真っ黒な空間が出現した。
「ガラシャ、お姉さんを助けたかったら僕の所へ来い。そこの仲間も一緒に来て構わないからね・・・ただ、僕はあまり気が長くないよ」
彼はそう言い残して、魔理沙と共に割れた空間の中へと消えていった。
「魔理沙あああっ!!!」
涙を流しながら、ガラシャは叫んだ。
ホワイトがマジキチ