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AIRPORT 1 Complete Edition : 東京国際空港管制保安部  作者: Sully Hughes


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20/22

Chapter 9 Part 1

一夜が明け、羽田空港に朝の光が差し込む。昨日の混乱が嘘のように、空港内は平穏を取り戻していた。だが、管制官たちの胸中には、まだ昨夜の緊張が色濃く残っていた。

________________________________________


管制室では朝のミーティングが行われ、佐藤が皆を前に口を開いた。

「みんな、本当にご苦労だった。一丸となって空港を守るために働いてくれたこと、感謝している。みんなの迅速な対応がなければ、もっと大きな混乱になっていただろう。」

その言葉に管制官たちは静かに頷き、疲労の中にも誇りを滲ませた表情を浮かべていた。佐藤は続けて、公安の倉木から受け取った報告を伝える。

「倉木さんから報告だ。昨日逮捕された犯人グループの一味について取り調べが始まっている。奴らが使ったサイバー攻撃のプログラムも解析が進められているが、詳細については機密のため伏せられた。今後の捜査のため、これ以上の情報は現時点では共有できないそうだ。」

内田がため息をつきながら苦笑した。

「公安の機密情報ってやつね。結局、俺たちは蚊帳の外ってわけか。まあ、そうだろうとは思ったけどな。」

三津谷が彼の肩を軽く叩き、励ますように言った。

「うちらの仕事はそういう情報を追うことじゃなくて、空の安全を守ることだろ。」

「……ですね。」

内田も納得するように頷き、表情を和らげた。

________________________________________


ミーティングが終わり、業務開始前。窓際に立っていた真奈美に、片山が声をかける。

「真奈美、昨日はよくやった。」

真奈美は少し照れた様子で微笑み、頭を下げる。

「ありがとうございます。」

その背中に三津谷が声をかけ、篠田と内田も同調した。

「もちろん俺たちもサポートしたけどな。」

「真奈美は片山さんが来てから本当に成長してると思うよ。」

篠田が優しく微笑み、内田も軽く頷く。

「そうだな。もう“新人”なんて言えないな。」

「いやいや、まだまだです!」

真奈美は恥ずかしそうに手を振ったが、その顔には嬉しさがにじみ出ていた。

その時、休憩室から鈴木が飲み物を手に戻ってきた。

「なんだか和やかな雰囲気ですね。」

片山が静かに言葉をかける。

「鈴木も、昨日はよくやってくれた。」

「いや、俺はただ指示通りに動いただけですよ。でも、真奈美には驚かされましたね。あんな危機的状況で、あれだけ冷静だったとは。自分も追い抜かれないように頑張らないと。」

「鈴木さんまで……みんなで褒めすぎじゃないですか?」

真奈美は照れくさそうに答えたが、その声には喜びが混じっていた。

鈴木が茶化すように微笑みながら言った。

「そこは素直に受け取っておくんだよ。」

そう言って彼女の肩を軽く叩いた。

片山が最後に静かに口を開く。

「まあ、これからも頼りにしてるぞ。」

「はい!」

真奈美は真剣な表情で頷き、力強く答えた。

________________________________________


管制室内は通常の業務が始まり、各席に座った管制官たちがモニターを注視しながら航空機の動きを把握していた。片山はヘッドセットを調整し、冷静な口調で指示を送る。

「JAL102、こちら東京タワー。34Rから離陸を許可します。」

「東京タワー、こちらJAL102。34Rから離陸を開始します。」

滑走路では、出発する航空機が次々とエンジン音を轟かせ、夜明けの空へと力強く飛び立っていく。地上から見上げれば、青空に吸い込まれるように上昇していく機影が美しく映えていた。

一方で、到着便の管理も順調に進んでいた。真奈美は到着機に的確な指示を出し、スムーズな着陸をサポートしている。

「ANA215、こちら東京タワー。34Lから離陸を許可します。」

「東京タワー、ANA215。34Lから離陸を開始します。」

真奈美の声は落ち着いており、その表情には昨日までの緊張を乗り越えた自信が漂っていた。片山はそんな彼女に小さく声をかける。

「いい感じだ。」

「ありがとうございます!」

真奈美は一瞬笑顔を見せ、すぐに次の交信に集中した。

________________________________________


空港全体も、再び平常を取り戻しつつあった。出発ロビーでは、旅行客やビジネスマンがチェックインカウンターに列を作り、到着ロビーでは家族や友人と再会した人々が笑顔で抱き合っている。子どもを抱き上げて喜ぶ父親や、到着した留学生を涙ながらに迎える母親の姿もあった。

そんな光景をよそに、管制室では一瞬の気の緩みもなく、淡々と業務が続けられていた。

佐藤は管制室を一巡した後、窓際で滑走路を眺めながらつぶやいた。

「今日も忙しくなりそうだな。」

片山もその隣に立ち、空に消えていく機影を静かに見つめる。

「そうですね。でも、この仕事はやりがいがあります。」

佐藤は頷き、少し笑みを浮かべながら静かに言った。

「昨日みたいな日が続くのはごめんだが……今日もよろしく頼むぞ。」

「はい。」

片山は短く力強く答え、再び席に戻る。その背中には、羽田の空を守る者としての確かな覚悟が漂っていた。



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