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オタ教師と身に覚えのないお弁当

 都会のある高校にて――、

『ウメタク~聞いてよ。好きピの愛が重くて困っててさぁ――』

(相談する相手間違えてんぞ。こちとら独身貴族様だ。嫌味かコラァ……)

『梅田くーん、またテストの採点間違えてるじゃないか』

(それ、アンタが俺に押し付けた仕事だろーが……、ハラス教師め)


 さえないアラサーの高校教師【梅田拓也】は、生徒からはナメられ、上司からはボロ雑巾のように扱われ、おまけに貧乏。

 そんな彼の唯一の癒しがオタ活だった。家に帰ってアニメ観ながらSNSで呟いたり、推しの声優コンテンツのお渡し会に行ったり、それだけで学校での苦労なんてどうでもよくなる。

 そんなある日……

(うわっ、もうこれだけか??)

 声優イベントのチケット代を払おうとしたら拓也。作っていたオタ活のための貯金口座の残高が底を尽きかけていることに気が付く。

(ここ数か月、出費がかさんでたっけ。来月には推し声優のファンクラブ会費の支払いがあるし。給料日は三日後。余計な出費はしたくない。となると……)

 拓也は断食することを決意した。


 ――断食から二日目、お昼休みの少し前。

(二日だけで、こんなにしんどいのか……)

 昨日丸一日、そして今朝の朝ご飯、計四食の食事を水のみで乗り切った。

 はたから見れば馬鹿なことをしていると思われるだろう。

だが、オタ活は生き甲斐。生き甲斐があるから報われない仕事もがんばれる。梅田拓也はそういう人間だ。

 生き甲斐と飢えのせめぎ合いの中、お昼休みに、

(はあ……、飯食ってる生徒を見ると余計腹が減る。避難避難――、お?)

 職員室の自分の席に行くと、可愛らしいピンクのナプキンに包まれた、手作りと思われるお弁当が置かれていた。

(ええ……、なにこれ? 誰かからの贈り物?? いやいやいや、怪し過ぎるだろ! 毒でも入ってたら! いや、でも…………)

 空腹に勝てずそのお弁当を口にする。

「…………う、……っ…………うめぇ……!」

――涙が出るほど美味しかった。

 思えば憧れの職業、教師になって都会に出たものの、仕事での嫌な部分が目立ってきて、希望を見失ってきた。

「誰かが俺を思って、届けてくれたのかな」

 拓也はお弁当箱をナプキンできれいに包み直し、机の上に置いて帰った。

 それから毎日お昼休みにお弁当が届くようになるのだが……。

2か月ぶりの更新です

最近なろラジや小説がらみでいろいろありました

詳細は活動報告で……

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