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女神様はご多忙です2

「目覚めよー勇者、目覚めよー……」

甲高い声で何度も何度も床に寝そべる男に声をかけ続ける女がいた。

長いさらさら金髪ヘアーに、大きな胸まさに理想体型のその者は、女神であった。

「おーい聞いてる?」

彼女は、男の前に立ち耳もとで先ほどよりさらに大きな声を上げた。

いらだちを抑えられなくなり、少し態度が悪くなった女神は”女神”とは思えない程の表情を浮かべてた。

女神が気がふれているのではない。

このような状況が数時間続いているのである。

「もう最悪、残業確定本当に嫌だ。これで4日連続なんですけど。」

不機嫌そうな独り言が、2人だけの空間にこだました。


「うっ、うるさいなあ……ここはどこ……?」

男はついに目を覚まし、ゆっくりと目をこすりながら立ち上がった。

「遅いわ。もう何時だと思ってるの?もう夕方よ夕方、帰る時間なの!」

けたたましい怒号がシーンとした空間に響き渡った。

男は、理解で着ない状況に驚き茫然としていたが、突然叱られたことに怪訝な表情を見せた。

「いきなり、怒るってなんなの?あなた誰、何そういう系の店かなんかなの?すいませんけど、俺金持ってないんでじゃあ帰ります。」

男は、後ろを振り返り出口を探して周りを歩き出した。

「ふふっ帰る場所なんてあるかしら……」

「どういうことだ。」

「ここは現実と異世界をつなぐ間、私の許可なしに入口も出口も出現しないの。あなたは死んだのだけど勇者の素質があるから蘇ったの。勇者となり魔王を討伐すること。これがあなたに課せられた第二の人生。」

女神は、両手を大きく上に広げ、得意げな顔で、男に淡々と説明した。

「俺が勇者……死んだ……冗談だろ。そうかあいつが気がふれてるんだそうだ。」

彼は自分自身の置かれた状況を理解できずにいた。

「いいのいいの、そういうの。あなたは初めてかもしれないけど私にとって何十回目なの。はいこれ。」

女神は、男に書類を差し出した。

ふてぶてしくたたずんでいるその姿はもはや女神ではなくおっさんのようであった。

「なんなのさアイツ、うわながっ」

その書類には文字がびっしりと書かれていた。

「この書類をご覧になった場合契約が成立したとみなします。この紙を持った時点であなたはもう勇者です、自覚を持ち書類に同意しなさい。だと、こんな無茶苦茶な契約あるか。」

「あーら、もうあなたは勇者なの、ごちゃごちゃ言ってないでさっさと魔王倒しに行ってきなさい。あっあなたの能力とか武器とかは説明がめんどくさいから、その書類に書いてるからね。じゃあね」

女神は笑いながら勇者の足元にワープホールを出現させ下に叩き落とした。

「ちょっ待って、心の準備が……」

勇者の悲痛な叫びはもう彼女の耳に入らない程、数秒で遠くへと飛ばされた。


--


「ふう、今日の労働終了。時間はもうこんな時間じゃない。家でゆっくりできないじゃない。勇者部に配属されて2週間、飛んでもなく大変な仕事だわ。続けていける気がしないわ……」


この話は、異世界に優秀な勇者を派遣するために日夜悪戦苦闘する、異世界派遣会社ブラストで働く、女神の物語である。


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