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9話

俺は精神的ダメージを受けた!痛恨の一撃だ!


何が辛いのか?生き物の命を奪った事、同族殺しの罪を背負った事。


・・・ではない。ゴブリン達の体が抉れ、千切られ、押し潰され、中身を撒き散らし散乱している。絵面がヤバい!最初の洞窟もグロかったけど、今回もエグい!


「思ったより使い勝手のいい魔術ね。」

「それどころではないんだが。主に俺の吐き気が。」

「威力と痕跡は予想外だったけど、ほとんど抵抗無くミンチになったわね。」

「しばらくハンバーグは食えないな。」

「元々食べる予定も無いけどね。」

「しっかし、何がどうなってこんなにぐちゃぐちゃになったんだ?」

「あなたが魔術を放った時に・・・」


どうやら最初の2、3発はゴブリンを押し退けたり、押し潰したりしたらしい。問題はゴブリンが身動き取れなくなって地面や壁に張り付いてからだな。ゴブリンに直接穴掘りしたらしい。そりゃあ、俺の穴掘りの魔術は掘り出すってよりは掻き分けるに近いんだけどさ、まさか皮膚を掻き分けるなんて・・・。


「しかもあなた、10回位連発してたわよ?」

「無我夢中で分かんなかった。」

「なら、力加減もしてないのね。そりゃ穴掘り魔道具も立派な攻撃になるはずよ。」

「子供のおもちゃなんかでゴブリンを殲滅出来るとは・・。」

「まぁ、ゴブリンだからね。なんなら大人のパンチ1つで死んじゃうのよ?」

「最弱種族代表は伊達じゃないな。」

「その魔道具はスコップだけじゃなく、あなたの最高の武器にもなったのね。」

「相手が固定されたら攻撃魔術に早替りだな。」

「でも調子に乗らない約束よ?」

「大丈夫。目の前でゴブリンが脆くも崩れ去ったんだからな。明日は我が身だ。」

「魔力の容量もかなり増えた様ね。」

「自分じゃ分かんなかったけどな。」

「そんだけ連発出来たら自分の魔法も使えるんじゃない?」

「とりあえず朝まで寝てからだな。」


正直なところ、朝から洞窟探検に魔道具実験、身の上話して空堀作り。そんでこのゴブリン襲撃で魔術連発の上、グロ映像。体も心もくたくたになっていた。アクビをしながら定位置に戻り体を丸める。10秒で落ちる。


ようやく体が楽になった。朝日が眩しい。深夜まで飲み歩いてから迎えた朝のようだ。

あぁ、ビールが恋しい!

朝の習慣になってきた川での水浴び、洗濯の後は朝ご飯。今日のメニューにスライム。


・・・。スライム?

「サチさん、サチさん、今日の朝ごはんはスライムさんですか!?」

「あなたのお陰で大量よ?」

「俺の?」

ハッと気付いて空堀を覗き見る。底一面にスライムが敷き詰って震えている。俺は恐る恐る後ろのケットシーに振り返り尋ねる。

「スライムって食えるのか?」

「むしろデザートね。」

「へぇ、かじりつくの?」

「猫の私がスプーンを使うと思うの?」


言ってるそばからサチはスライムにかぶりついた。その後は少しずつ啜っている様だ。

さっそく、俺も真似してみよう。


旨い!薄い塩味の煮凝りみたいだ。1匹だけだと足りなくて空堀からもう1匹おかわりした。


「これなら毎日でも食えるな!」

「こんなに大きな罠なら、本当に毎日捕獲出来るかもね。」

「昨日のゴブリンがエサになったんだよな?他の動物でもいいのか?」

「魔物の死骸が一番集まるの。」

「エサを用意しなきゃな!」

「そこが問題なのよ。エサを用意出来るならそのまま食べればいいじゃない?」

「物によるな。スライム程の美味は珍しいだろう?」

「それに魔物1匹でスライムが集まるとも限らないの。」

「なるほど、これは難しいな。エサはゴブリンとかの食えない魔物に限定するか。」

「本当はゴブリンも食べれるんだけどね?美味しくは無いと思うけど。」

「そ、そうか。」

「とりあえず空堀の底のスライムは非常食にしとくわね?」

「そうしよう。」


非常食って言ってるけど生きてます。スライムのイケス?なら、そのまま噛り付いたら踊り食いかな?逆に火を通すとかありかな?もしくは、きな粉を付けてわらび餅風に・・・。


「私もスライムを美味しく出来ないかな?って考えたけど、明日食べる獲物を考えてたらどうでも良くなったの。平たく言うとスライムを食べ続けるなんてタダの贅沢よ?」

「そうっすか、残念です。」


そこまで追い詰められた生活は勘弁して欲しいな。

なんて考えてたら、サチがどこかに歩き出した。


「どっか行くの?」

「ちょっと付いて来て?あなたの次の修行よ。」

「次の?次って何やるの?」

「多分だけどあなたは魔法が使える様になってると思うの。少し離れたところで試し打ちしましょう。」

「分かりました!先生!」


遠くに俺の住みかが見える辺りまで来た。

「じゃあ、今日は腕輪を外して魔力を込めてみて?」

「こうか?」

俺はサチが居ない方に向いて魔力を集める。

なんか打ち出した感じはある。が、周りに何も変化は無い。

やっぱりな、そんな事だろうと思ったよ。俺は魔道具の時に懲りたんだよ。期待をするだけ無駄だってな。ゴブリンって種族は慎ましやかに生きるべきだ。そう、俺は身の程をわきまえている。



・・・なのに、何故か涙が止まらない。

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