32話
「ありがとうジーク!」
「パトラさんの食器をオリハルコンにしたんですね?」
「そうよ!・・・あげないわよ!?」
「いや、いいです」
「お気に入りだもんな」
「特に、ジークが手を掛けてくれてるからよ」
「お?嬉しいね」
「私の宝物になったわ」
「オリハルコンですしね」
「・・・そうだ!アーシャ、ミーシャを呼んで来てくれるか?」
「はい」
「何をするつもりなの?」
「皆に武器を渡そうと思ってね」
「どうしたッスか?」
「ミーシャ、これからはこれを使わないか?」
「ゴルドさんに貰ったダガーッスか!?」
「少し待ってろ」
俺はダガーをオリハルコンに変質させる。
「ミーちゃん、鑑定してもいい?」
「お願いするッス」
今度はアーシャが魔法を放つ。鑑定の魔法だ。
「完全にオリハルコンで出来てますね!しかも!名前が付きました!」
「名前?ダガーに?」
「世界が認める性能って事だと思います」
「それで?名前は分かるのかしら?」
「シルフィード・・・です」
「シルフィード・・・格好いいッス!今日から抱いて寝るッス!」
「「「危ないからやめなさい!」」」
「無念ッス」
「なあ、アーシャ。治癒促進の魔道具を武器にしないか?」
「あの杖を?・・・いいですよ!オリハルコンですよね!?」
「もちろんだ」
「やったー!!」
魔道具の硬質化は2回目だ、実は先に照明の魔道具を1つ、オリハルコンにしてみた。
魔道具としての性能は問題無かったので、今度は本番だ。
「ふぅ。これでいい。さて、アーシャ。鑑定してくれ」
「分かりました!」
やはり、自分の武器になるからだろう。
アーシャのテンションが高い!
「この子も名前が付きました!」
「この子って・・・まぁいいか。それで、名前は?」
「はい、ウンディードです!!」
「おお!」
「楽しくなって来たな!」
「テンションあがってきたわね!」
「そしてパトラ!」
「えっ!?私は武器を使わないわよ?」
「パトラにはこの指輪をプレゼントだ!」
「障壁の魔道具じゃ無いの!?・・・どこに着けるの?」
「尻尾か耳飾りか・・・どっちがいい?」
「そうね・・・本当は薬指が・・・耳ね!尻尾は電撃で壊しちゃうかも知れないわ」
「分かった。この指輪はイヤリングみたいにもなるんだ」
「着けて頂戴?」
「待って、先に鑑定だ」
俺は残っている魔力をほとんど注ぎ込んだ。
あれ!?光ってるみたいだ。
「ジーク?」
「パトラさん!ズルいッス!」
「パトラさんのだけ、淡く光ってます・・・」
「何だろ?」
徐々に光が落ち着いて、他のオリハルコンのようになった。
「びっくりしたわね?また、変なモノにしたかと思ったわ」
「変なモノって・・・まぁいいか。アーシャ、鑑定を頼む」
「任せてください!」
「魔道具、障壁付与。名前はイージス?」
「「「おお!」」」
「イージスの指輪ッスね」
「硬そうで安心だ。さぁパトラ。着けるぞ?」
「ドキドキするわね。優しくしてねジーク?」
「変な妄想するなよ!っとオッケーだ!」
「ありがとう!大切にするわ!」
「おうよ!だからって無茶すんなよ?」
「ふふっ!そうね!」
「さて、アーシャ。最後にこれを頼む」
「例のグレイブですね!・・・いつの間にオリハルコンに?」
「皆に大工道具を作ってもらってた時だな」
「全然気付きませんでしたよ」
「脳筋ハゲに見られない様に布を巻いておいたのよ」
「何言われるか分かんないからな」
「そうですね!・・・それでは行きます!」
何となく、時間が掛かってるな・・・長くね?
他のは一瞬だったのに・・・。
「はぁ、はぁ、鑑定出来ました」
「大丈夫か?」
「ふう、・・・もう大丈夫です」
「そ、それで?」
「魔道具、障壁付与、名前は・・・フリード!」
「「ん?」」
俺とパトラは首をかしげた。
ジークの武器がフリード?ジーク・フリード?
「・・・なかなかシャレの分かる世界のようね」
「・・・ジーク・フリードね」
「フリード!いいッス!素敵ッス!」
「魔法を使った後で雑音というか・・・なんか邪魔が入ったんです。一体なんだったんでしょうか?」
「・・・何となく心当たりがあるけどな」
「そうね・・・ゴブリンのゴッド的な奴ね」
「ゴブリン?ゴッド?」
「「気にしないで」」
「・・・分かりました」
俺のゴブリンの呪縛は、神的な何らかの関与が疑われる瞬間だった。
だからどうした?って感じだがな!
意外と、フリードって気に入ったしな!
「サイクンにミーシャの・・・シルフィードとフリードの鞘を作って貰おう」
他の魔道具を使ってみようかな?加熱と冷却ね・・・
後は水の出る魔道具が2つ。照明の魔道具が8つ、結界の魔道具か・・・。
水の出る魔道具と照明は自宅用と外出用だからイタズラしないでおこう。
まずは結界を試そうかな?
「パトラ、結界の魔道具を試してみないか?」
「うふふふ・・・ジークからの指輪・・ふふ」
「パトラ?鏡の前で何してんの?」
「・・・えっ!?ジーク?呼んだ?」
「あ、ああ。結界の魔道具を試して欲しくてな」
「いいわ。どのくらいの魔力を込めればいいのかしら?」
「それも含めて試してみようか」
「なら、徐々に魔力を込めるわね」
パトラは水晶球のような、結界の魔道具の前に座る。そして右の前足をかざして魔力を送る。
「へぇー!凄いわ、これ」
「どんな感じ?」
「そうね・・・レーダーが近いかしら?ここから放射状に波が広がるイメージね。多分空堀の内側なら楽に感じ取れるわね」
「プライベートなんて関係無いってシロモノだな!」
「どこまで広がるのかしら?」
「無茶して壊すなよ?」
「分かってるわよ!」
パトラは改めて集中を始めた。体が金色に輝き出した!そして瞳も光を帯びて来た。
「あ、これ以上は無理ね」
「どこら辺まで広がったんだ?」
「そうねぇ・・・ノースノートの街は把握してるわよ?」
「交代してみようか」
パトラが水晶の前から横によける。俺が代わりに手をかざす。
「何だか温かいな。どれどれ?」
なるほど。パトラの表現は的確だな!
ここから、ドクンドクンと脈打つ様に感覚が広がる。
「パトラの魔力を使ったおかげで、俺にも触るだけで感覚が掴めたな。後はいつまでも保つのかを調べて・・・ん?」
「どうしたの?」
「ちょっと待っててくれ」
何か、引っ掛かった。何だろ?・・・どこだ?
「・・・この村からそんなに離れて無いな」
「さっきから一体何の事を言ってるの?」
「大岩の塚の辺りかな・・・間違いない!」
「ジーク!?どうしたの!?凄い汗よ!?」
「パトラ!ヤバいの見つけたかも!」
「だから何を見つけたのよ?」
「分からない・・・が、明らかにデカイ魔力だった!」
「えっ?そんなのがあったかしら?気付かなかったわよ?」
「動く気配は無かったからかな?今日は休んで明日、見に行こうか」
「ええ、付き合うわよ」
「頼む。違和感があったのは多分、岩の下だと思うんだよ」
「地下って事?」
「おそらく、な」
「楽しみね!強い奴がいるかもね」
「俺、今日は魔力が残って無いから早めに休むよ」
「そうね。万全にして挑みましょう」
「二人にも声を掛けておいてくれないか?」
「分かったわ」
翌朝、四人と一匹で出発した。行き先は村長の家。
村長に大岩の塚の事を聞きに足を伸ばしたんだ。
だけど、結果は空振り。村長でも大岩の下に何かが有るなんて聞いた事が無いそうだ。
他の3人にも結界の魔道具で探って貰った。
パトラすら、地下の反応に驚いていた。
獣人二人は地下の反応を感じ取った後は青い顔して震えていた。
今まで何度か通った場所だが、塚までの道は何故か重苦しく感じた。
意識してみると異常な程の魔力だ。
それが今の今まで気付かなかったんだ。
とんでもない!自然の魔力に擬態していたとは!
塚にたどり着く。大岩の前に立ち、皆に声を掛ける。
「まずは俺が岩をどける。パトラはいつでも動ける様に待機、ミーシャとクロマルは嗅覚を駆使して周辺の警戒、アーシャは相手に鑑定の魔法だ」
「「「了解」」」
穴堀魔術で大岩を押し退ける。物凄い音と一緒に大岩か転がり出す。そして、俺達は慎重に岩のあった地面を調べる・・・。
「見た目は普通ですね」
「ああ、普通だな・・・普通?・・・普通!?」
「ジーク?」
「これは異常だ!」
「どこが異常なの?」
「あの大岩の下が普通に見えるハズ無いだろう!?」
「・・・あっ!!草が生えてるワケが無いわね!!」
「なるほど!・・・確かに今の状況は異常ですね!見た目が普通な事が異常だと気付きませんでした!」
「ここの魔力に気付いた時と同じだな!不自然な事が自然に感じてる・・・一体、何が起きているんだ?」
何か、恐ろしいモノがある。もしくは、居る。
それに気付かないのは、最も恐ろしい事だ!
「ミーシャ、何か匂いはするか?」
「土の匂いしかないッス」
「でも、物凄い魔力を感じるわね!」
「・・・次は土を掘り出すぞ、準備はいいか?」
俺は皆を振り返る。皆はうなずいて返す。
俺は左手の腕輪に魔力を込める。と、同時に右手のフリードにも力が入った。
「・・・出てきたぞ」
それは大きな・・・何だ?
魔術式らしき物が描いてあるが、大き過ぎて何だか分からない。
あえて言うなら、壁。だろうか?
「そうだ!アーシャ、鑑定してくれ!」
「あ、はい!」
すぐに駆け寄り、魔法を発動。
嫌な予感がして、アーシャを支える。
案の定、アーシャの体から力が抜け、崩れ落ちる。
大丈夫かな?呼吸は若干荒いが、呼吸も脈も規則正しい。
とりあえず抱えて近くの木の下で休ませた。
パトラが穴を監視する。ミーシャには周りの警戒を続けて貰った。
しばらく待つと、アーシャが意識を戻した。
「アーシャ、大丈夫か?」
「・・・ジークさん?・・・ここは?」
「さっきの穴の近くだ。アーシャ、まだ休むか?」
「・・・いえ、大丈夫です」
アーシャがゆっくりと体を起こす。
「一体、何が起こった?」
「あれは・・・あれは、触れてはいけません!ああ!!パトラさん!離れて下さい!!」
パトラは音もなく飛び退いて穴から距離を取った。
「あれが何か分かったのか?」
「あの穴の下には・・・魔王が居ます!!」
「魔王だって!?」




