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25話

「ミーシャ、アーシャ。危険があるかも知れないが付いてくるか?」

「もちろん付いて行くッスよ!」

「どこへ行くんですか?」

「お前達がオークに襲われた大岩の辺りだな。もしかして、抵抗が有るかな?」

「ジークさんが行くなら怖くは無いですよ」

「何しに行くんスか?」

「スティーブの話では強い魔物を食べると、食べた魔物も強くなるらしいな。ほら、あの時、一匹だけデカイ奴が居ただろう?奴を食って強くなった変異種が居るかも知れないから調べに行くんだ」

「私とジークが居るから多分大丈夫だと思うけど気を付けてね」

「分かったッス!」

「はい、頑張ります」


村長とスティーブに一言声を掛けてから出発する。俺達がこの村の最高戦力だからな。


スティーブの話を聞いた後、ミーシャとアーシャが大岩の塚でオークの群れに襲われた時に、上位種らしきオークが居た事を思い出したのだ。

たいして苦労無く倒せたので忘れていたが、もし、ヤツを食った魔物が強化されているなら危ないかも知れない。

村長が言うにはオークキングとの事だが、ほぼ雑魚扱いだったので、食べた魔物もそこまでは強くないだろう。念のため、俺達で確認して来ようというワケだ。



今回はミーシャの嗅覚に頼るつもりで声をかけた。何せ、大岩から、村人の血の臭いを嗅ぎ取った程だ。気配の察知は随一だろう。

変異種がいた場合はサーシャも鑑定の魔法を使ってもらう予定だ。

二人にはミスリルナイフを持たせてある。今度相応しい武器を用意しようかな?


「さて、ミーシャ、特殊な臭いは感じるか?」

「結構遠くに感じるッスね。あの山の方ッスよ!」

「しばらく平原が続くわね。距離は分かる?」

「ここから村くらいの感覚ッス」

「ミーちゃん、相手が何者かまで分かる?」

「断言は出来ないけど狼だと思うッスよ。強そうな臭いの近くに狼の臭いがするッス!多分、群れになってるッスね」

「ジーク?この二人、大丈夫かしら?」

「見つかってからは走って逃げるのも難しいかも知れないな。二人はどうする?思ってたより危険な様だが」

「行くッス!狼の変異種を見てみるッス」

「あたしも鑑定してみたいです」

「分かった。一応、気を付けろよ?」


俺達は気配を探りながら近付いて行った。

アーシャが無言で大きな木を指差した。どうやら目標を見つけたらしい。

パトラが一足先に動く。獣人二人が後から続いて、俺が二人を護衛する。自然と隊列になるのは面白いな。


パトラが手前の木をかけ登り、俺は見失った。間も無く群れの近くの木から奇襲を掛ける。

どうやら木を伝って接近していた様だ。狼の群れはようやく俺達に気付いた頃だ。

しっかし、あの狼の群れの真ん中に突撃って度胸が凄いな!さすがだ、バトルジャンキー!


「グルゥラァァァ!」

「おうおう、血しぶきが舞ってるよ。ヤベえな!」

「あ!2匹こっちに来たッス」


俺は無言で蹴り殺す。自慢のグレイブは置いて来た。ゴルドさんに引き渡すまでに傷を付けるワケには行かないからな。今回の武器は木の枝だ。さすがに硬質化してあるが・・・。


「ジークさんも呆れる強さですよね?」

「金華猫よりは自然だろう?ほら、もうボスとタイマンしてるもの」

「じゃあ鑑定してみますね!」


初めて見たが狼はおそらく動物だろう。

だが、ボスは魔物になってる様だ。デカイ!軽自動車位の大きさだ。色も他の狼と違って毛皮も白っぽくなってるし・・・こんな動物は居ないよな?


「パトラさん!気を付けてください!強敵です!」

「確かに強そうだが、それほどか?」

「出来ればジークさんも援護をお願いします!」

「そこまでか!?分かった!」


まずは周りの狼を薙ぎ倒して行く。5匹しか残って無かったけどな。

パトラと狼のボスは攻防を一進一退していた。良く見るとパトラは無傷、ボスは傷をおっている。しかし、決定打が無い。この体格差だ。間違って一撃をくらうとマズイだろう。


俺はボスの足元に穴を開けた。

ボスはすぐに気付いてバランスを整える。たが、パトラはその隙を見逃さない!

一瞬で間合いを詰めて猫キック!かわいいな!飛び退きざまに尻尾で電撃を食らわす!

ボスはその場に倒れ込んだが油断はしない。金華猫のパトラと渡り合える程の強敵だ。


「ジーク、首を切り落として頂戴!」

「いいのか?俺がトドメを刺しても」

「私は十分満足したわ!」

「そ、そうか・・・」

何も言えなくなった。


心も魔物化してきたパトラさんはほっといて、俺は木の枝を構える。一部だけミスリル化して有るので、そこをボスの首に当てる。

魔力を込めて、一撃で振り落とす!


「私も切れ味が欲しいわね・・・」

「どこまで強くなるんだ?」

「魔王より!」

「怖いよ!」


「アーシャ、結局、この魔物は何だったんだ?」

俺はおびえるウサギの獣人に尋ねた。


「白銀狼でした!パトラさん!ジークさん!どれだけ強いんですか!?」

「俺はほとんど戦って無いよ」

「私も苦戦って程では無いわね」

「凄いッス・・・二人共、凄いッス!!」


パトラのドヤ顔!

気持ちは分かるが、イラっと来た。


「さて、これからどうしようか?」

「食べるわよ!強くなれるかも知れないし!」

「あたし達も食べてみて良いですか?」

「もちろんよ!獣人にも変化が有るかも知れないし」

「んじゃ、バーベキューの準備だな」


アーシャが枝集め。

俺は枝の硬質化。

ミーシャが解体と調理。

パトラが周辺の警戒。

いつもの通りに準備を進める。


「幻獣を食べる日が来るとは・・・」

「アーシャ?この程度なら、ただの魔物よ?」

「え?でも、鑑定魔法では・・・」

「いい?私ですら、まだ進化の途中なの。能力で言えば赤ちゃんかしら?成長してから、初めて相応しい強さになるのよ!」

「だからパトラは強さを磨いているんだ。この強さで序の口っていう事らしいな」

「これで?この強さで赤ちゃん?・・・流石、幻獣ですね!」

「肉が焼けたッスよ!」

「「「「いただきます」」」」


この『いただきます』は俺とパトラが自然とやってたら、獣人の二人も真似をしてた。5日くらいで村人が皆で真似してた。不思議。


「不味い!」

「おかしいッス!納得いかないッス!いつもよりも丁寧に焼いたッスよ!?」

「あいつを思い出すわね」

「あいつ?というと?」

「俺とパトラは前にメタルなスライム、スライムの変異種を食べたんだ」

「聞いた事が有るッス!ウチが聞いてるのはスライムを食べるスライムッス!金属を柔らかくしたような皮を持つ、食べれないスライムッスよ!」

「そうなんだ。ジークさんとパトラさんはそのスライムを食べたんですか?」

「食べたわ。そして、物凄く不味かったわ!」

「そして、進化したんだ、パトラは」

「あなたもこの邪悪な模様が浮かんだのよね?」

「邪悪っていうな!」

「・・・そ、それは・・・」

「そうよ。いい?私とジークの進化の方法は絶対に他の人に言っちゃだめよ?」

「約束出来るな?」

「はいッス!!絶対に言わないッス!!」

「あたしも誓います!拷問されても、他の人には絶対に言いません!」

「お、おう」

「ありがとう。二人を信じるわ」


「と、いう事で不味いのを我慢して食うぞ」

「獣人にも何らかの変化が有るかも知れないわね」

「ジークさんと同じ模様が欲しいッス!」

「パトラさんみたいな強さが欲しいです」



不味かった。ひたすら不味かった。元は狼のはずなのに青臭い。苦い。ゴーヤか?生ゴーヤか?ゴーヤチャンプルーならイケるか?


「なんか口が熱いッス」

「喉にも・・・ん!んん!・・・ヒリヒリします」

「スライムの時もそうだったの」

「俺も感じてるぞ?パトラは?」

「少し体が火照るくらいね」


俺達は白銀狼の肉を食べてからすぐに村に向かった。

確か前回は大きな魔力に包まれて睡魔に負けたからな。この魔物や動物が徘徊する場所でそれはマズイ。




急ぎ足で家に帰ってきたら、そのままベッドにダイブして体を休めた・・・。




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