14話
いよいよ俺の能力を測る時が来た。力加減を間違えない様にしないとな!もしかしたら辺り一面を火の海にしてしまうかも知れないしな!
と、調子に乗って期待して、いつもいつもゴブリンという種族に裏切られる。そう!俺は学習した!期待はしちゃいけない!・・・悲しい。
「まずは身体的なところを調べましょう」
「あいよ。走ればいいか?」
こんな感じで瞬発力、筋力、体力、ジャンプ力と順調に調べていった。
結論から言おう!人間よりも高い水準だった!もはやこれは進化と言えるのではないか!?
「どうだ!?俺の能力は!?」
「これは凄いわよ!そうね、大体ジェネラルゴブリン位の能力はあるんじゃないかしら?」
「・・・そうか」
「あら、嬉しく無さそうね?」
「正直複雑だな。コレでもまだゴブリンの枠の中ってレベルなんだろ?」
「あなたゴブリンでしょう?」
「違わないデス」
「その中では間違い無く上位に居るわよ?嬉しくないの?」
「出来ればゴブリン以外になりたい!」
「無理よ!馬鹿なの!?ゴブリンがゴブリン以外の何になれると思っているの!?もう一度言うわ!馬鹿なの!?」
「サーセンシタ」
「はぁ、もう諦めなさい!何よりもこの短期間で一気に強くなったんだから喜ぶのが一番よ?」
「そうだな、欲張りは良くないな」
「これから一番気になる魔力を測るんだから元気出しなさいよ!」
「分かった。・・・良し!じゃあ気合いを入れよう!」
俺はパーンと自分の頬を張った!
痛かった。そりゃあ、筋力上がってたしな!
今は魔力量のチェックだから今までと同じ事、つまり穴堀りの魔術を試す。
気合いを入れて魔力を込める!
「ふん!」
「きゃあぁぁ!!」
「ヤベ!大丈夫か?」
「だ、大丈夫。びっくりしただけたから」
「俺もびっくりだよ・・・」
俺の腕輪の先には人が1人スッポリ埋まる程の穴が空いていた。
更に穴の体積の分、土が脇に盛り上がっていた。サチからしたら自分と同じ位の土の津波に見えただろう。そりゃびっくりするわな。
「予想だにしない威力ね」
「俺もこんなになるとは思わなかったよ」
「硬質化の魔法も試しましょう?」
「力加減に気を付けなきゃな」
「違うわ!思いっきり魔力を込めるの!」
「大丈夫なのか?」
「あなたの魔力チェックなのよ?」
「まぁ、硬くするだけだから今度は安全かな?」
せっかくなので武器としてフック付きの棍棒を粘土で作る。夢中になりすぎて夕方になってしまった。・・・あれ?この世界って昼が短く無いか?時計が無いから良く分からんが・・・。
「良し、出来た!」
「ふーん、なるほどね。切れ味の悪い薙刀みたいね。ちょっと歪んでるけど」
「あっそうなの?薙刀なんて見た事も無いから知らなかったよ」
「昔、ちょっとだけ習ってたのよ」
「猫なのに?」
「日本にいる時よ!馬鹿なの!?」
「ふーん。・・・『昔』ね。何年くらい前?」
「えーと・・・ん?もしかして年齢の詮索かしら!?」
そんなに毛を逆立てて怒らなくてもいいじゃない?金華猫の威嚇は怖かった・・・。
それじゃ、気を取り直して硬質化魔法を掛けますか!サチが言うには思いきり魔力を込めてもいいらしい。
俺は息を深く吸ってゆっくりと魔力を練り上げて身体中に巡らす。充実した所で息を吐きながら魔法を打ち出す!
「らぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
自分の魔力が空っぽになるまで目一杯出し切った。
「はぁ、はぁ、・・・んぐっ!どうだ?昨日と違うか?」
「ゴブリンのハァハァは気持ち悪いわね!」
「やかましいわ!全力を込めたんだよ!」
「どれどれ?・・・こ、これは!」
「何だよ?期待しちゃうよ!?」
「凄いわ!これ、ミスリルよ!」
「・・・ナ、ナンダッテーー!?」
「何でふざけてんのよ?」
「いや、ミスリルってゲームのイメージしか無いから良く分からんし・・・」
「そう言えばそうね。いい?ミスリルはこの世界には実在するの!ゲームの知識とあんまり変わらないんだけどね。鋼鉄より硬くて、宝石より魔力を通し易い、魔法の鉱石よ!」
「おぉ!本当にゲームみたいだ」
「街でも一年で数回しかお目に掛からない貴重な素材なんだけど・・・」
「そうか、ラッキーだな!」
「そんなに簡単な話じゃ無いのよ!あなたはその貴重な素材を『魔力だけ』で産み出したの!」
「俺って凄いんじゃん?」
「馬鹿!あなたねぇ!人間達にこの魔法が知られれば・・・どうなるか想像出来る!?」
「・・・捕獲されて、売られて、ミスリル製造機として一生・・・」
「・・・どうやら、理解したようね」
どうしよう?人間が何よりの天敵になったみたいだ。ゴブリンってこんなに生きるのが難しいんだな・・・。いや、俺だけか!?




